新しい加速器の開発
アッセンブリホール
場所:地図の10 所要時間:約30分
■JLC計画とリニアコライダー試験装置
- JLC計画の骨子は、全長約28kmの電子・陽電子リニアコライダーの建設と、そこでの高エネルギー素粒子実験です。
- 重心系エネルギー250GeVの衝突実験から開始し、加速器の段階的な改良により、衝突エネルギーをTeV領域に上げていきます。
- 実験室内にビッグバン直後の超高エネルギー状態を作りだし、宇宙創成の謎に挑もうというものです。
- リニアコライダー試験装置「ATF」は、電子・陽電子リニアコライダー「JLC」のシステム試験を行うもので、高加速勾配型電子リニアックと超低エミッタンスビームを生成するダンピングリングから構成されています。
- リニアックのビームエネルギーは1.54GeVで、世界最大級の高周波クライストロンを用いて約30
― 40MeV/mの実機として世界最高の加速勾配を達成しています。
- ダンピングリングでは、高性能の電磁石や高周波システムを開発し、従来より2桁小さいビームエミッタンスを実現させます。
- また、これらの先端加速技術は、X線レーザーや次世代加速器科学に共通する技術でもあります。
- JLCの高エネルギー高性能電子ビームは、実は、素粒子実験だけでなく、非常に輝度の高い光(電磁波)の生成にも役立ちます。
- JLCで実現される超低エミッタンス・高密度電子ビームを単色・高輝度の放射を生成するアンジュレータを通すことによって、レーザー光を凌駕する輝度とコヒーレンス特性を持った可視光からX線に及ぶ光が得られます。
JLCが解き明かす世界
【見どころ】
- JLCが解き明かす素粒子物理学
- 世界最強の100MWクライストロン
- 240KV・マルチバンチ電子銃
- 世界最強400MW高周波電力圧縮機
- 1m当たり40 ― 50MV高加速電界型加速管
- アクティブアラインメント加速器
- 超低エミッタンスを生成するダンピングリング
ATF電子リニアック
■大型ハドロン(JHF)計画と加速器試験装置
大型ハドロン計画とは
- 大型ハドロン計画は、世界最大強度の高エネルギー陽子加速器を開発し、素粒子・原子核物理学から、物質科学、生命科学にいたる多様な科学分野で、新しい地平を切り開こうとする計画です。それは、一見ビッグサイエンスに見えながら、小さなサイエンスの集合体というユニークな計画です。
- この計画の基幹設備である大強度陽子加速器は、200MeV陽子線形加速器、3GeV陽子シンクロトロン、50GeV陽子シンクロトロンにより構成されます。
- 50GeV陽子シンクロトロンでは、平均10μAの陽子ビームにより、大強度の中高エネルギーK中間子、π中間子、反陽子、ニュートリノなどのビームを生成したり、偏極陽子、重イオンビーム等を加速し、原子核・素粒子の研究が行われます。
- 3GeV陽子シンクロトロンからの平均電流200μA、ビームパワー0.6MWという世界最大強度のパルス陽子ビームは、大強度のパルス化ミュオン、高性能パルス中性子、短寿命不安定核ビームを生成し、生命科学、物質科学、素粒子・原子核の研究などに用いられます。
- 本計画に対しては欧米各国だけでなく近隣アジア諸国からも非常に高い期待が寄せられており、国内外の多くの研究者により早期実現が望まれています。
大型ハドロン計画のための加速器開発
- ここでは、 200MeV陽子線形加速器のための試験加速器を詳しく見学できます。特に新しい技術を駆使して研究・開発した加速空洞など、ビームテスト装置は圧巻です。
- また、シンクロトロンの開発や天体核物理などを研究する短寿命不安定核ビームの開発も田無分室のパネルで紹介されます。
【見どころ】
- 高輝度の負水素イオン源と高性能ビーム輸送系
- 優れた特性を持つ高周波四重極リニアック(低エネルギー加速用)
- 四極永久磁石をもつドリフトチューブリニアック(中エネルギー加速用)
- 優れた特性の新型結合空洞リニアック(高エネルギー加速用)
- 世界最大級平均電力のパルス高周波源
- 田無分室で開発中の円形加速器と天体核物理実験用加速器などのパネル
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