KEKで行われている幅広い研究を進めるには、大量のデータを処理しシミュレーションを実行するための大型計算機システムや高速ネットワーク環境が必要です。
計算科学センターでは運用している計算機システムやネットワーク、センターで行っている開発研究について、パネルなどを使って解説しておりますので、ぜひお立ち寄りください。
素粒子の世界を体験できる「ワンダークォーク」や加速器の動くしくみを体験できる「波型コースター」、「ボールコースター」など、小さなお子さまでも楽しめる装置をたくさん用意しています。宇宙からやってくる自然放射線を観察できる「霧箱」も人気の装置のひとつ。「霧箱」は加速器で起きた現象を調べる「測定器」という実験装置の基となったもので、これまでにノーベル賞を3つ受賞した装置。宇宙の謎を解くヒッグス粒子の発見につながる研究は霧箱から始まりました。
素粒子物理学分野の国際プロジェクトとして、国際リニアコライダー(International Linear Collider / ILC)の建設が検討されています。直線型加速器で加速した電子と陽電子を衝突させ、ヒッグス粒子をはじめとする素粒子の研究を行います。
ILCでは、世界最高エネルギーまでビームを加速する超伝導加速空洞システムにおいて、9セル超伝導空洞が重要な役割を担います。空洞製造施設(CFF)では、ニオブ(Nb)製の9セル超伝導空洞の製造工程をご覧いただきます。大型電子ビーム溶接機、プレス機、縦型旋盤、化学研磨設備をクリーン環境下に備えています。空洞の製造手順に沿ってご案内します。クリーン環境の設備のため、見学の際は靴の履き替えをお願いします。
エネルギー回収型線形加速器(ERL)は、大強度かつ高品質の電子ビーム生成を目指した試験加速器です。周回後のビームエネルギーを回収して、次のビームの加速に再利用する、新しい加速方式の試験を行っています。
また超伝導加速器技術の特徴を生かして、自由電子レーザーによる大強度光の発生や大電流電子線照射など、加速器技術の産業応用に向けた研究も行っています。超伝導加速空洞、高輝度電子銃、自由電子レーザー、テラヘルツ光源などを見ることができます。
KEK にあるコッククロフト・ウォルトン型加速器は、1972 年の初運転から30 年以上KEK の先端研究を支えてきました。そして2006年に廃止したKEK 12GeV PSの前段加速器として利用されてきました。前段加速器は他の加速器の特徴である繰り返しながら加速する方式とは違い、一度の高い電位差によって一気に加速しています。この電位差を作るための高電圧発生装置、水素ガスから負イオンを造るイオン源、負イオンを次の加速装置まで送り届けるため電位差によって速度を与える加速管が一つの建物の中に設置してあり、大きさを体感して見ることができます。レトロな加速装置をご覧いただきKEKの他の加速器との違いを感じてください。
1時間おきに約15分間特別ライトアップを実施します(10:00~15:15)。また、製作者の森脇裕之教授(多摩美術大学)による解説もあります。
超伝導低温工学センターでは茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設J-PARCやヨーロッパにある巨大加速器施設LHCの加速器に使われている、世界でもトップクラスの超伝導磁石の研究開発を行っています。
磁石の断面モデルや模型を通して、その中身がどうなっているのかを見ることができます。
また超伝導の力によって『浮いてくっつく』超伝導コースター。コースを脱線することなく走り回る「秘密」を体感することができます。
機械工学センターでは、KEKの研究に使われるさまざまな実験装置の製作や、その方法の考案、未来の実験装置の研究を行っています。今年のテーマは、加速器に使われる「材料」と加速器とかかわりが深い「真空」です。これらに関する体験プログラムをいくつか用意しました。さらに、工作機械のデモンストレーションも予定しています。普段は見られない技術の現場をぜひ体感してください。
超伝導リニアック試験施設棟では、超伝導加速器に関連した研究・開発が行われています。地上部には、ヘリウム冷凍機設備や高周波設備、空洞試験設備、電解研磨設備、クリーンルームがあります。トンネルには超伝導線形加速器があり、国際リニアコライダー(ILC)計画で想定されている運転パラメーターでのビーム運転が行われています。また、2023年度からはILC計画に用いるための陽電子源の開発エリアも整備され、回転標的機構などが建設中です。
Belle II実験は、宇宙から消えた反物質や暗黒物質の謎を解明する新しい物理法則の発見などを目指して世界28の国・地域により進められている国際共同実験です。高さ約8メートルのBelle II測定器は、SuperKEKB加速器によるビーム衝突から生み出される大量の素粒子を高精度で捉えます。工事のため、今回の一般公開で測定器の見学はできませんが、展示室でBelle II測定器の10分の1模型や実際に使われているセンサー、加速空洞や磁石を間近で見ることが出来ます。測定器と実験の概要の動画もあります。
SuperKEKB加速器は、地下11mのトンネルに建設された日本最大の円形加速器で、世界最高の衝突性能を実現しています。
富士実験棟へ続く、周長3kmのSuperKEKB加速器の一部(約200m)に入り、実際に使用されている加速器装置を間近で見ることができます。
素粒子の振る舞いを見るためには、特殊な測定器が必要です。世の中には売っておらず、目的に合わせて世界で一つだけの測定器を開発しています。開発中の測定器は、「よくわかった粒子」を打ち込み、その反応を測ります。この施設はエネルギー5GeVまでの電子を使用できます。見学では、開発中の測定器の性能試験のようすを肌で感じることができます。検出器の展示、運動量選別や収束磁石の動作を説明するパネルやクイズなども行います。
1 万分の 1 ミリメートル以下となる世界最小ビームの開発研究を行う世界から注目されている試験加速器です。この最先端施設での研究開発には世界中の大学・研究機関から多くの方々が参加しています。電子を加速する線型加速器、高品質電子ビームを作るダンピングリング、さらに世界最小ビームを研究する最終収束試験ビームラインをご覧いただけます。
フォトンファクトリー(PF)は加速器によって加速させた電子から放射光を発生させる巨大な光の工場です。この放射光を利用して、物質・生命の構造から機能発現のしくみを明らかにする研究を推進しています。PF実験ホール内には放射光X線を使った実験ができるビームラインと呼ばれる装置群が約40か所あります。一般公開では、実験ホール内の見学や、研究者による実験や装置群の解説などを企画しています。
加速した電子の方向を曲げると、「放射光」と呼ばれる光が発生します。楕円形で一周187メートルのフォトンファクトリー加速器は、その放射光を発生させる加速器です。研究に使われる放射光を発生させるにはこの加速器が必要で、まさに縁の下の力持ちです。リングから外側に向かう光取り出し口は特徴的です。エレベーターを降りて、分厚いコンクリートの扉を抜ければ日常とはかけ離れた異世界です。強力な永久磁石が整然と連なる高輝度光の発生装置「アンジュレータ」も見所です。
全長700メートルの電子陽電子入射器は、素粒子実験を行うSuperKEKB や放射光実験を行うPFリング、PF-ARに電子および陽電子ビームを供給する線形加速器です。陽電子ビームの高品質化を担うDR(Damping Ring)を含めた5つのリング加速器に異なった仕様のビームを同時入射するという複雑な運転を実現しています。制御室や地下5メートルに設置された電磁石や加速管本体、地上部の大電力高周波発生装置を間近で見学できます。
私たちの身の回りには常に放射線が飛び交っており、これらは自然放射線と呼ばれています。自然放射線の起源には、地球が形成されたときから存在する天然の放射性同位体や宇宙から降り注ぐ宇宙線、そしてこれらの宇宙線が生成する放射性同位体が含まれます。これらの天然の放射性同位体は、元素の存在比としては非常に低いものの、私たちの生活環境の至る所に存在しています。これら天然の放射性同位体や自然放射線について、展示と測定から考えてみます。