我々の銀河系外から地球に飛来する、最もエネルギーの高い宇宙粒子線(最高エネルギー宇宙線)の観測研究が注目を集めています。東京大学宇宙線研究所は、日米韓露の多くの大学・研究機関の国際共同研究として、米国ユタ州の砂漠地帯で、最高エネルギー宇宙線の観測(テレスコープ・アレイ実験)を行っています。またピエールオージェ実験が南米アルゼンチンで観測を行っており、これら最新の大規模観測装置によって、数年前まで謎であった最高エネルギー宇宙線の全容が少しずつ明らかになっています。
本コロキウムでは福島正己氏、芝田達伸氏によって、テレスコープ・アレイによる最高エネルギー宇宙線観測の最前線と、高エネルギー加速器研究機構との協力で実現した、電子ビームによる1020電子ボルト宇宙粒子線のエネルギー較正の紹介を行います。この較正実験は、KEKの知的財産と高度技術の移転によってコンパクトな電子ライナック(TA_Linac) を開発し、ユタ州の実験サイト上空に射出して、電子ビームからの大気発光を観測したものです。これによって、高エネルギー宇宙線の野外観測においても、高いエネルギー精度が実現できると期待されています。
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