国際会議・ワークショップ

日時: 2012-07-26 - 2012-07-27
場所: 研究本館 小林ホール
会議名: 「背景放射で拓く宇宙創成の物理 −インフレーションからダークエイジまで−」 シンポジウム2012
連絡先: 羽澄昌史 5339
講演言語: 日本語
URL: http://www-conf.kek.jp/cmb/2012/
アブストラクト: 2009年度より研究活動を開始した本新学術領域は、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の偏光度精密観測によるCMB偏光Bモードの探索と原始重力波の発見を主目的としています。
宇宙実験・素粒子実験・天文学・デバイス技術・宇宙素粒子理論など多様な分野の研究者がかつてない規模の共同研究を立ち上げ、この問題に取り組んでいます。国際協力実験(QUIET, POLARBEAR)を進展させ、QUIETからの初期観測結果を出し、POLARBEARの
本格観測を開始するなど、我が国におけるCMB偏光観測を本新学術領域の下で本格的に展開しつつあります。これにより、現代宇宙論の最大課題であるインフレーション宇宙の直接的検証をおこないます。と同時に、加速器実験と相補的な形で超高エネルギーの物理
に光をあて、素粒子と時空の統一的理解に向けた突破口を開くことに挑みます。

また、10年後に世界に先駆けてCMB偏光Bモード観測衛星(LiteBIRD)を実現し、実証的宇宙論研究において世界をリードする成果を上げる事を目指した最先端超伝導デバイス技術の開発研究も進行しています。衛星観測では前景放射をどのようにしてCMBから分離するかが成功の鍵となりますが、その方面での新しい知見も論文として発表しています。さらに、究極理論を探る上で鍵となるインフレーション宇宙についての観測的予言に関する研究論文も数多く発表しており、本新学術領域から新しいアイディアを世界に向けて発信しています。
 
本領域では、CMB観測と密接に関わる宇宙赤外線背景放射 (CIRB)の観測実験も研究の柱の一つです。星や銀河は、初期宇宙の量子論的揺らぎが進化したものだ、というのがインフレーション理論の驚くべき帰結です。これを確かめるには、宇宙進化の初期段階であるダークエイジの観測が肝心です。赤外線はこれを観測するのに適しています。ロケット実験CIBERの打ち上げとデータ解析、赤外線天文衛星「あかり」の赤外背景放射ゆらぎに関する解析結果発表など、この分野でも、着実に成果を上げつつあります。

この会議では、本学術領域を構成する5つの計画計画のそれぞれについて、これまでの研究成果と今後の予定を示し、活発に議論する予定です。また、領域の重要な構成要素である公募研究の進捗状況の発表も、ポスターを中心におこないます。

会議は広く研究者に開かれたものとします。これまで本新学術領域に携わっていなかった方も歓迎ですので、興味をお持ちの方は、是非ご参加ください。

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