測定器開発室セミナー

日時: 2010-12-10 15:30 - 16:15
場所: 4号館3階輪講室2
会議名: 非平衡超伝導状態を活用した低エネルギーX線と分子の検出技術
連絡先: 三部 (mibe at post.kek.jp)
講演者: 大久保雅隆  (産総研)
講演言語: 日本語
URL: http://rd.kek.jp/seminar_01.html
アブストラクト: 壊れやすい超伝導状態を活用すると、 〜1 meV以上のエネルギー量子に感度が ある検出器を作ることができる。光子検出では、原理的には、統計的に半導体検 出器より、30倍高い光子エネルギー測定精度(エネルギー分解能)を達成でき る。この高いエネルギー分解能を数 keV以下の軟X線領域エネルギー分散分光に 応用して、化合物半導体の軽元素ドーパント等のX線吸収分光(XAFS)測定を可能 とする超伝導分光装置を開発している。  分子検出では、検出器表面でストップするような数keVの高分子に対しても、 フォノン励起を通じて高い感度を有し、運動エネルギーの測定も可能になる。こ の特性を活用すると、従来、分子量/電荷数比(m/z)でイオンを分離していた質量 分析において、分子量を一意に決定できるようになる。また、質量分析 で”neutral loss"として知られている限界を克服でき、異なる中性粒子の分離が 可能になる。このように、従来の計測技術の原理的限界を超えることができる超 伝導計測技術の現状について報告する。 単一磁束量子(SFQ)回路は、高速低消費電力を特長とする超伝導回路であり、半 導体CMOS回路以外でランダムロジックの集積回路化の研究が進められている唯一の回 路と言っても良い。すでに、簡単なマイクロプロセッサや信号処理回路が20-100GHz で実証されており、研究のフェーズは更なる大規模化・高機能化とともに小規模シス テムでの有用性の実証へ移りつつある。

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