| 日時: |
2014-07-16 14:00 - 15:00 |
| 場所: |
4号館セミナーホール(メイン)/東海1号館324室(TV会議) |
| 会議名: |
物構研コロキウム 福島第一原子力発電所 廃炉への挑戦 |
| 連絡先: |
山田和芳 所長 (5602) |
| 講演者: |
山名 元 教授 (京都大学原子炉実験所) |
| 講演言語: |
日本語 |
| アブストラクト: |
福島第一原子力発電所の1号機から4号機の安定化や廃炉に向けた取組については、政府の廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議の下で、“福島第一原子力発電所1〜4号機の廃炉措置等に向けた中長期ロードマップ(中長期RM)”に沿って進められている。当面行うべき様々なオペレーションについては東京電力�蠅�社内分社して作った廃炉推進カンパニーが進めており、並行して、この廃止措置を円滑に進めるために必要な新たな技術については政府予算を投入し、国内の技術力を結集するために設立された技術研究組合国際廃炉研究開発機構(IRID)が、この研究開発に当たっている。
1号機から3号機の損傷炉心は、事故直後と比べると格段に安定して維持されている。圧力容器や格納容器の温度が20〜30℃と、循環注水によって十分冷却されており、暫定的な対応状況とはいえ、プラントの安定性は確保されている。しかしながら、炉内や建屋内の線量が非常に高く、格納容器内や圧力容器内の詳細な状況は十分にはわかっていない。一方で、ロボットの投入等によって水漏れの場所や容器内の水位などが徐々に分かってきた。4号機のオペレーションフロアに保管されていた使用済燃料については、2013年11月から取り出しが開始され、全1,533体中の1,100体以上の取り出しが完了している。3号機のオペレーションフロアのガレキの撤去が、遠隔操作によってほとんど終了している。このように、廃炉のオペレーションとしては着実に進みつつあるが、汚染水問題というリスク要因が存在していることや、多量の燃料デブリが破損した建屋の中に、不完全な閉じ込め状態で保管されている状況は、恒久的に安定な状況では決してない。損傷した炉心からの燃料デブリの取り出しは、福島第一の廃炉にとっての最大の挑戦である。TMI−2事故の燃料デブリ調査や回収の実績、関連する情報は極めて参考になる。しかしながら、福島第一発電所の状況は、炉型や事故進展の違いからTMI−2とはある程度異なると考えられる。今後も、燃料デブリ物性の研究や、容器内での燃料デブリの存在状況の確認等の多くの作業が必要とされている。
国際廃炉研究開発機構(IRID)が進める技術開発は、(1)燃料デブリ取り出し準備に係る研究開発、(2)放射性廃棄物処理・処分に係る研究開発、(3)使用済燃料プール燃料取り出しに係る研究開発、の3つに大別される。1号機〜3号機では、燃料デブリが圧力容器(RPV)や格納容器(PCV)底部に存在しており、循環冷却水が格納容器から漏れ出て汚染水となって発生している。中長期ロードマップでは、この状況を早く収束させるために、燃料デブリの回収を10年以内に開始するという目標を設定している。そのためには、�〃�屋内部の遠隔除染、��格納容器の漏えい個所の特定、�3頁射憧鐺睇瑤猟敢此↓こ頁射憧錣筝胸厦О砧詫憧錣侶鯀汗�確認、�コ頁射憧錣諒篏ぁ併濘紊魎泙燹法↓η確船妊屮蠅領彝Υ浜�、��燃料デブリの性状確認、�┿�故解析コードによる炉内状況の推定、等の難しい技術が必要になる。また、事故や廃炉処置により発生した様々な放射性廃棄物について、��汚染水処理の二次廃棄物の処置、��放射性廃棄物の処理・処分技術が、さらに、建屋から回収される使用済燃料について、��長期健全性評価、��損傷燃料の処理方法、等の技術が必要となる。これらの課題に対処するため、様々な遠隔技術(ロボット技術)、点検技術、燃料デブリの回収・保管関連の技術、燃料デブリ等の性状を知るための基礎研究、炉心溶融の進展解析研究や、取出し時の安全評価の研究、原子炉容器や構造材の耐久性評価研究、等の研究開発が、IRIDの組合員により鋭意進められている。さらに、燃料デブリの取り出しの代替工法を探る取組や、汚染水対策に関わる海外情報の収取等の取組も進められている。
特に、燃料デブリの取り出しは最大の問題である。国のロードマップ上では、格納容器の水漏れを遠隔操作で止めた上で格納容器内を水で満たして、オペレーションフロアからの遠隔操作による水中ハンドリングによって燃料デブリを容器に回収することを、基本工法として設定している(冠水工法)。しかしながら、止水が完全にできなかった場合の対応も必要であり、気中取出を含む代替工法の研究が今後の重要なテーマとなる。また、今年度からは、炉内での燃料デブリの存在状況を知るため一つの可能性のある手法として、ミューオン透過法および散乱法の実証研究も開始される。
廃炉の加速は、デブリ取り出しや汚染水処理のような、工学的手法の開発に大きく依存するが、一方で、基礎的な研究の重要性も否定できない。特に、燃料デブリの形成過程の評価や、燃料デブリの化学特性や物性を知るための研究、環境中に移行した放射性核種の挙動に関わる研究、汚染水処理のための化学的研究、炉心材料の長期健全性評価、等は極めて重要である。このような基礎研究と、現地での実用化を目標とした工学開発の両者が連携して進められてゆかねばならない。
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