物構研談話会

日時: 2012-04-26 16:00 - 18:00
場所: 4号館2階輪講室1 東海1号館324室
会議名: ヨウ化スズ系可溶性有機・無機ハイブリッド半導体の高伝導性とホールドーピングに関する研究
連絡先: 中尾裕則4868
講演者: 高橋 由香利  (物構研)
アブストラクト: 近年、有機物質と無機物質を分子レベルや粒子レベルで複合化した有機・無機複合物質の構築が盛んに行われている。このような系では、無機相 に由来する磁性、電気伝導性、熱・化学安定性などの特性と、有機化合物の化学反応性、化学修飾能、構造柔軟性などの性質を単に足し合わせた効果だ けではな
く、単独の物質では得られない新しい物性、機能を発現する可能性がある。また、機能性材料の中心的化合物として多くの研究が行われている ペロブスカイト型化合物は『機能の宝庫』と言われ、導電性、誘電性、磁性等で特異な物性を示す多くの機能性物質が知られている。しかし、それらの ほとんどは高温で焼結した酸化物であり、材料加工は簡単ではない。一方、有機層とペロブスカイト
層が交互に積層した層状化合物である有機・無機複 合層状ペロブスカイト型化合物は、結晶性が高く、無機半導体に匹敵する高い移動度を持ちながら、骨格構造と電子構造の制御が比較的容易であり、有 機物のような可溶性があるという観点から、デバイス設計やプロセス技術に有効であると考えられる。特に、ヨウ化スズ系化合物は、有機溶媒から単結 晶が析出する、溶液プロセスが可能な物
質であり、バンド構造は典型的な半導体であるのに、高伝導を示す。しかし、この物質の電気物性に関する報告 例は少なく、これまでの研究では粉末試料についてがほとんどであったため、高伝導性を示す理由は明らかにされていなかった。そこで、単結晶を用い たドーピング実験を通して明らかになったこの物質の伝道機構と、導電性制御の手法の開拓について紹介する。

[index]