日時: |
2011-10-20 16:00 - 18:00 |
場所: |
PF研究棟2階会議室/東海1号館324室 |
会議名: |
物構研談話会(11-26): 高指数面基板上マンガン酸化物薄膜におけるBサイト強誘電の可能性 |
連絡先: |
hironori.nakao kek.jp |
講演者: |
小川 直毅氏 (東京大学先端科学技術研究センター) |
講演言語: |
日本語 |
アブストラクト: |
大きな誘電分極を示す擬立方晶ペロフスカイト型酸化物(ABO3, 例えば
BaTiO3)は一般にBサイトに磁性を持たない(d0-ness). これに対し, 交差相関物
性が知られているABO3型マンガン酸化物の多くはその電子分極がスピン起因であ
り, 分極の大きさは通常の強誘電体に比べ2-3桁小さいものにとどまっている.
そこで近年, 格子定数の変調や界面を用いた磁性Bサイトへの分極の付与, 加え
てその大きな交差相関の可能性が理論面から盛んに議論されており, これに基づ
いた実験でも高圧合成単結晶試料において”Bサイト強誘電”が報告された[PRL107,
137601 (2011)]. 全く別の方法として, 我々は, 高指数面基板上でマンガン酸
化物エピタキシャル薄膜に「ずり変形」を誘発した際に, “Bサイト強誘電”が発
現する可能性を見いだした. この「ずり変形」は基板上での軌道秩序に伴うJahn
-Teller変形によって発生するが, Bサイトの相対変位による強誘電性はその高次
のモードとして理解され得る. このような変形は結晶場の対称性をより低下させ
る方向に作用することから, 同様の手法によって様々な物質系において分極の付
与と大きな交差相関物性が期待される. 実際に測定された分極の大きさは通常の
強誘電体に迫るものになっている. 数種類のマンガン酸化物薄膜について, 主に
光第2高調波発生(SHG)を用いた実験結果, また最新の観測について議論をお願い
したい. |
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