物構研談話会

日時: 2012-05-31 16:00 - 18:00
場所: 4号館2階輪講室1 東海1号館324室
会議名: 物構研談話会(12-13)イオン変位と逆向きに大きな自発分極が生じる分子結晶の電子型強誘電性
連絡先: 岩野薫 4658
講演者: 小林賢介氏  (KEK 物構研 構造物性研究センター)
アブストラクト: 交互積層型電荷移動錯体TTF-CAは、温度変化で分子の価数が劇的に変化する
中性-イオン性相転移を示す代表例として、これまで実験・理論両面で盛んに
研究されてきた物質である。誘電率測定の結果等から低温のイオン性相は
強誘電性を持つことが示唆されていたが、リーク電流の影響等により、
これまで強誘電性の直接的な証拠となるP-Eヒステリシスカーブは測定されて
いなかった。近年になって、第一原理電子状態計算により、TTF-CAの強誘電相が
有機物としては比較的大きな自発分極の値と、基底状態によっては古典的点電荷
モデルとは正反対の分極方向を持ちうる事が示唆され、その強誘電性の起源に
注目が集まっていた。
今回我々は、電気的特性の測定による自発分極の評価及び、電場下回折実験
による分子変位方向の決定により、TTF-CAの強誘電性が分子間の動的な電子
移動に基づく、電子型強誘電性であることを実験的に明らかにしたので紹介する。

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