物構研談話会

日時: 2012-06-18 10:00 - 11:00
場所: 4号館2階輪講室1
会議名: 物構研談話会(12-15)幹細胞のPSI:Biologyプロジェクト - 進捗と今後の方向性 -
連絡先: 若槻壮市副所長 5631
講演者: 湯本 史明 氏  (カリフォルニア大学サンフランシスコ校)
講演言語: 英語
アブストラクト: 米国では現在、国立衛生研究所(NIH)のサポートにより、PSI (Protein Structure Initiative)、PSI-2を経た後、 PSI:Biologyプロジェクトが進められている。PSI、PSI-2と進行してきた中で、インフラストラクチャーやリソースの整備が進み、シングルドメインの構造解析は迅速に完了できるまでに発展してきた。その一方で、膜タンパク質、ヒトや哺乳類に由来するタンパク質複合体やタンパク質-核酸複合体、といった医学的見地からより重要であるものの、非常に難易度が高いテーマに対して、これまでに築き上げられてきたプラットフォームやリソースを活用すべきである、という機運が高まってきていた。その要望に答えるべく、 第3の構造ゲノムプロジェクト“PSI:Biology”が立ち上がった。 全米中からNIHに提出された申請書から、査読審査を経て、Centers for High- Throughput Structure Determination(通称:ハイスループットセンター)として4拠点、Centers for Membrane Protein Structure Determination(膜タンパク質センター)としてとして9拠点、 Consortia for High-Throughput-Enabled Structural Biology Partnerships(パートナーシップセンター)として12拠点、Resouce Centersとして2拠点が選ばれ、それぞれ独自のテーマを進めている。
私達は、UCSFのRobert Fletterick研究室において行ったヒト転写因子複合体の構造決定と機能解析、及び、UCSFグラッドストーン研究所のShinya Yamanaka研究室およびBruce Conklin研究室との共同研究を通じ、iPS細胞誘導因子など細胞リプログラミングに関わるヒト転写因子群を対象とした構造ゲノム学プロジェクト(PSI:Stem CellBiology)を立ち上げる機会を得た。そして、2010年9月末 より、本パートナーシップセンターのプロジェクトマネージャーとして研究活動を行なっている。また、構造決定を迅速化するために、ハイスループットセンターの1つであるJoint Center of Structural Genomics (JCSG、Beamline@SLAC National Accelerator Laboratory)との共同研究として、ヒト転写因子マシーナリーに由来するタンパク質-タンパク質、タンパク質-DNA、タンパク質-タンパク質-DNA複合体の立体構造解析を進めている。
本セミナーでは、 細胞の運命決定を担う転写因子複合体のサンプル調製、結晶化、構造解析の進捗状況を報告すると共に、約1年半の活動の中から浮かび上がってきた課題、特に、タンパク質複合体構造決定の“ハイスループット”化に不可欠となる、複合体サンプル調製の課題についても取り上げたい。

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