物構研談話会

日時: 2013-05-30 16:00 - 18:00
場所: PF研究棟2階会議室/東海1号館317室
会議名: 物構研談話会(13-07)共鳴軟X線散乱で見た遷移金属酸化物の電荷・軌道・スピン秩序
連絡先: 小出常晴 4208
講演者: 和達大樹氏  (東京大学大学院工学系研究科)
アブストラクト: 遷移金属酸化物は高温超伝導、巨大磁気抵抗、金属絶縁体転移などの多くの興味深い性質のために、盛んに研究がされている。これらの多彩な性質はd 軌道の非等方的な形状に起因し、電子の電荷・スピン・軌道の自由度が複雑に絡み合った系となっている。このような物質では電荷/スピン/軌道の秩 序現象がよく見られ、秩序状態の直接の観測がテーマとなってきた。本セミナーでは最近急速に発展してきた実験手法である共鳴軟X線散乱について紹介する。
2pから3dへの吸収端のエネルギーのX線を用いて回折実験を行うことで、3d電子の軌道や磁気の情報を直接得ることができる。通常のX線散乱で は強度の弱い磁気の情報が得られること、大きな共鳴により中性子散乱に比べ試料の体積がはるかに小さくても有効であるなど、これまでの散乱のデメリットを大きく克服した手法である。セミナーではこの手法を用いて解明した、電荷整列を示すPr0.5Ca0.5MnO3薄膜の磁気転移[1]や 層状Co酸化物SrCo6O11で見られる複雑な磁気構造「悪魔の花」について議論する。

[1]H. Wadati et al., arXiv:1111.4725v1, arXiv:1304.0337v1.

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