アブストラクト: |
共鳴X線発光分光(RXES)の研究の最近の著しい発展について、(1)高温超伝導関連物質と(2)遷移金属化合物に対する研究を例として紹介する。不純物アンダーソン模型とクラスター模型による理論研究を中心にし、主な実験結果を紹介するとともに、それらにおけるRXESの機構の解明に主眼をおく。(1)については、これまでCu 2p-3d-2p RXES, Cu 1s-4p-1s RXES およびO 1s-2p-1s RXESの3つの流れを中心にして、研究が進展してきた。それらは互いに相補的な役割を果たし、d-d励起と電荷移動励起(CT励起)についての極めて重要な情報を提供してきた。また、もう一つの流れとして、Cu Kα RXESがCu 1s電子のX線吸収端近傍の微細構造の解明に果たしてきた役割にふれ、この方面で得られた最近の研究成果を紹介する。(2)については、TiO2, MnO, NiOの2p-3d-2p RXESに対して、偏光依存性、特徴的なCT励起、d-d励起に対する最近の高分解能測定とその解析などを紹介する。 |