アブストラクト: |
間接交換結合は数ナノメーターの非磁性層を介して強磁性層の磁気モーメントが
相互作用する現象である。巨大磁気抵抗効果とコインの表裏の関係にあり、
最近発展が目覚しいスピントロニクスは延長線上にある。非磁性層の遍歴電子のスピン
分極に注目した量子干渉理論が90年代半ばに提案され、結合振動の機構、周期や結合
エネルギーを決める因子が理解されるようになった。しかし、非磁性金属のスピン分極
を実験で直接プローブすることはできなかった。最近、第3世代放射光光源を利用した
硬X線共鳴磁気分光・散乱技術が発展し、ブレーク・スルーがもたらされた。
講演では間接交換結合、量子干渉理論の概略を説明し、CuおよびCu合金を非磁性層に
用いたCo/Cu, Co/CuNi, Gd/Cuなどの多層膜からの測定されたCu K端XMCD、RXMS
(共鳴X線磁気散乱)、磁気抵抗比や結合エネルギーなどのマクロ磁性との相関、量子
干渉モデルによる解析について最近の研究成果を紹介する。Cu XMCDスペクトルの特徴
と多重散乱計算にも触れる。 |