講演会

日時: 2010-11-05 17:00 - 18:00
場所: 4号館1階セミナーホール
会議名: 第44回素核研金茶会 - 第2の地球を探す
連絡先: takeshi.komatsubarakek.jp
講演者: 田村元秀  (国立天文台)
講演言語: 日本語
URL: http://kincha.kek.jp/
アブストラクト:  生命を宿す惑星である地球や巨大ガス惑星である木星は、太陽系を代表する惑星である。このような惑星は広い宇宙にどれくらいあるのだろう?我々は唯一無二の存在か、それとも無数の生命のひとつに過ぎないのか? 1995年の発見をきっかけに、太陽以外の恒星の周りに既に約500個もの惑星が見つかっている。これらは「系外惑星」と呼ばれ、わずか15年で、現代天文学の最重要研究課題のひとつとなった。  系外惑星は遠方にあるため直接に画像に写すことは非常に難しい。そこで、惑星からの光を直接に捉えるのではない、「間接観測」が最初に成功した。惑星の公転運動によって、わずかながら恒星自体が周期的にふらつく。これを恒星光のドップラー効果を利用して測定するのが「ドップラー法」である。いっぽう、惑星が恒星の前面を通り過ぎる時の明るさの変化を検出するのが「トランジット法」である。  しかし、間接法は惑星からの光を直接検出するわけではなく、また、内側の系外惑星を検出しやすいというバイアスがある。いっぽう直接観測ではこの制約は無く、惑星の温度・大気などさまざまな物理的情報を得られるため、究極の観測方法と考えられる。最近の技術革新により、ついに2008年には太陽の2倍程度の恒星のまわりに、2009年には太陽に似た恒星をめぐる惑星候補の直接撮像に成功した。  現在、米のケプラー衛星は宇宙からの大気揺らぎの無いトランジット観測を実現し、地球型惑星の観測に迫りつつある。また、すばる望遠鏡ではドップラー法を赤外線波長に展開し、軽い恒星のまわりの地球型惑星を検出し、生命の議論にまで至ることが計画されている。さらに、将来の地上30メートル望遠鏡によって、地球型惑星を最初に直接観測し、そこに生命の兆候を探ることも可能になるだろう。

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