講演会

日時: 2010-12-10 17:00 - 18:00
場所: 4号館1階セミナーホール
会議名: 第45回素核研金茶会 - 非平衡系固有の成長ダイナミクスとゆらぎ、およびその普遍性
連絡先: takeshi.komatsubarakek.jp
講演者: 佐野雅己  (東大物理)
講演言語: 日本語
URL: http://kincha.kek.jp/
アブストラクト: 相転移点近傍で見られるスケーリング則とそ の普遍性の理解は、20世紀の統計力学の中心 課題であったが、非平衡系においてもスケー ル不変な現象は数多く存在する。実際、非平 衡系においては、様々の自己相似なパターン が現れるが、ここではその中でも普遍性を持 つことが知られている、2つの非平衡ダイナ ミクスを取り上げる。そのどちらも実は 20~30年前から様々の数値シミュレーショ ンや理論的研究が行われてきたものの、対応 する実験がこれまで存在しなかった現象であ る。その一つは、非平衡相転移のユニバーサ リティークラスの一つである、Directed Percolation (DP)であり、他の一つは成長す るランダムな界面の問題である。どちらも、 単純な緩和ダイナミクスではなく、持続的に 発展し続ける一見ランダムな時空間構造にス ケール普遍性が存在する。これら2つの非平 衡系における実験が存在しないという長年の 問題が、実は液晶を用いた乱流ー乱流転移を 観測するという、一つの実験系でわずかにパ ラメータと初期条件を変えることで、両方と も実験可能であり、しかも平衡系の臨界現象 と同じかそれ以上の精度で臨界指数の実験検 証ができることを解説する。また、後者のランダムに成長する界面の問題では、通常のス ケーリング指数の普遍性にとどまらず、ゆら ぎの確率分布そのものが、普遍的な分布に従 うという新しい側面を提供する結果となって いることを解説する。

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