アブストラクト: |
シンクロトロン光は,広いエネルギー範囲にわたる連続スペクトル,高輝度,偏光性,短パルス性といった光源としての際立った特長から学術研究において重要な役割を果たしてきた.佐賀県はこのシンクロトロン光の有用性に注目し地域産業の発展に利用する目的で,九州の交通の拠点と呼ばれる佐賀県鳥栖市に九州で初のシンクロトロン光施設,九州シンクロトロン光研究センター(SAGA-LS)の建設を行った.SAGA-LSはシンクロトロン光の供用施設として自治体が運営する国内初めてのシンクロトロン光施設である.国内のシンクロトロン光供用施設として世界最大のSPring-8,大型施設のKEK PF及びAR,中小規模施設の分子科学研究所UVSOR,広島大学HiSOR等が挙げられる.施設規模,エネルギー範囲の点ではSAGA-LSはUVSORとPFの間に位置する中型シンクロトロン光施設である.施設建屋は2002年10月に完成し,2003年夏より本格的な加速器建設が開始された.シンクロトロン光を利用するビームラインの建設も行われ,2006年2月に供用が開始された.
セミナーではセンターの概要と現状を述べ,また,シンクロトロン光の産業利用を目的に佐賀県が整備を進めている県有ビームラインを中心に現状について述べる. |