アブストラクト: |
リチウムイオン電池はラップトップPCや携帯電話などの小型 モバイル電子機器の電源として広く普及しているが、近年、ハイブ リッド自動車(HV、PHV)、燃料電池自動車 (FCV)、電気自動車(EV)といった次世代電気自動車の蓄電シス テムとしても注目されている。両者はともに可般型の電源という点 では同じであるが、電気自動車へ搭載するためには、高出力・高容 量・長寿命・高安全性などこれまでよりも高い性能が要求される。 特に電池寿命と安全性に関しては"10年間メンテナンスフ リー"が1つの目標とされている。目標達成のためには 電池の劣化原因を取り除く必要があるが、リチウムイオン電池の劣 化機構は完全には解明されておらず、この解明が急務である。そこ で、リチウムイオン電池劣化の主要因であるとされる正極活物質に ターゲットを絞り、放射光を用いたXAFS、HX- PES、XRDによる構造解析によってリチウムイオン電池が劣化 する際の正極活物質の構造変化を解析した[1-2]。この結果、 電極活物質表面近傍において構造変化が起きていることが確認され た。また、リチウムイオン電池の安全性に関する研究として、正極 活物質の熱的安定性、特に高温時における正極材料の構造変化も同 様に解析した。XAFS解析の結果から、高温時における正極活 物質の熱分解挙動はリチウムイオン電池の充電状態(SOC)に よって変化し、また、電極活物質表面と内部では熱分解挙動が異な ることが示された。Referrence
[1] H. Kobayashi, M. Shikano, S. Koike, H. Sakaebe and K. Tatsumi, J. Power Sources, 174, 380 (2007). [2] M. Shikano, H. Kobayashi, S. Koike, H. Sakaebe, E. Ikenaga, K. Kobayashi and K. Tatsumi, J. Power Sources, 174, 795 (2007).
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