放射光セミナー

日時: 2009-10-23 13:30 - 14:30
場所: PF研究棟2F会議室
会議名: 放射光セミナー「銅酸化物、鉄系高温超伝導体の電子構造:角度分解光電子分光」
講演者: 吉田 鉄平  (東大院理学系研究科)
講演言語: 日本語
URL: http://pfwww.kek.jp/pf-seminar/
アブストラクト:  昨年、発見された鉄系超伝導体は、転移温度Tcが55Kまで上昇し、銅酸化物に次ぐ超伝導体として、高温超伝導研究に全く新しい切り口を与えた。銅酸化物との電子状態の相違点を明らかにすることで、より高い超伝導転移温度への指針が得られると期待されている。銅酸化物、鉄系超伝導体について、最近の光電子 分光による研究を紹介する。鉄系超伝導体の研究初期には、銅酸化物と同様に、電子相関の強い状態が超伝導の舞台になっている可能性が議論された。しかし、共鳴光電子分光の結果、鉄系超伝導体では電子相関効果が弱いことが示された[1]。  さらに、銅酸化物と異なり3次元的フェルミ面を持つ物質があることも明らかになった[2]。これらの結果は、超伝導のメカニズムが銅酸化物と異なることを示唆している。一方、銅酸化物の研究では、擬ギャップの起源が超伝導の前駆現象か、それとも超伝導と競合する状態なのか、論争が続いている。我々は単層型La2-xSrxCuO4について、エネルギーギャップの成分が2成分存在することを見出し[3]、擬ギャップと超伝導は相異なる状態である可能性を指摘した。また、銅酸化物のなかでもTcが高い(~110K) 3層型Bi2Sr2Ca2Cu3O10+d (Bi2223)の結果についても紹介する[4]。 [1] W. Malaeb et al., J. Phys. Soc. Jpn. 77, 093714 (2008). [2] W. Malaeb et al., J. Phys. Soc. Jpn. (in press), arXiv:0906.1846. [3] T. Yoshida et al., Phys. Rev. Lett. 103, 037004 (2009). [4] S. Ideta et al., arXiv: 0905.1223.

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