放射光セミナー

日時: 2003-04-25 15:00 - 16:00
場所: 放射光研究施設研究棟2階会議室
会議名: 放射光セミナー「二連光パルスによる量子波束のアト秒位相制御」
講演者: 佐藤幸紀氏  (東北大名誉教授)
講演言語: 日本語
URL: http://pfwww.kek.jp/pf-seminar/index.html
アブストラクト: 光による量子波束のコヒ_レント制御は、光電場の位相に同期させて物質波(量子波束)の波としての位相を操作する技術である。二連のレーザーパルスで生成した二つの量子波束の干渉の結果を、パルス間の遅延時間の関数として観測する手法、即ちWavepacket Interferometory(WPI)は、コヒーレント制御の最も基本的な手法であり、量子波束を構成する固有状態の確率密度が光電場の位相に同期して変動するRamsey干渉が観測される。本研究では、二連の同様な紫外線レーザーパルス(時間幅300フェムト秒、中心波長254.3nm)を用いて、HgAr分子の電子励起状態(A状態)に生成する二つの核波束の遅延時間(相対位相)を約10アト秒の精度で操作することにより、ほぼ100%に近い変調コントラストを有するRamsey干渉を観測した。また、波束干渉のシミュレ_ション計算によって、分子に書き込まれる波束モ_ドが遅延時間に依存して著しく変化する様子を視覚化した。Ramsey干渉に関しては、二つの量子波束の干渉と見る視点(Time-domain picture)と光干渉の結果を分子の光遷移というスペクトルフィルターで見ているとする視点(Frequency-domain picture)とがあり、両視点の関係についても議論する。更にこの二連光パルス制御が、波束の量子回転ゲート或いは位相シフタとして機能するかどうかについても議論する。

[index]