放射光セミナー

日時: 2003-10-24 14:00 - 15:00
場所: 構造生物実験準備棟会議室
会議名: 放射光セミナー「グリコサミノグリカン糖鎖の生合成と機能発現」
講演者: 菅原一幸氏  (神戸薬科大学・薬学部)
講演言語: 日本語
URL: http://pfwww.kek.jp/pf-seminar/
アブストラクト: プロテオグリカンは線虫、ハエなどから哺乳動物に至るまで普遍的に分布し、また、ほとんどすべての組織に発現し、個体発生や形態形成に重要な分子である。特に、その糖鎖部分であるグリコサミノグリカン(GAG)鎖が機能発現に必須で、種々の増殖因子や形態形成因子との特異的相互作用がそれらの分子のシグナル伝達を調節していると考えられている。遺伝病や遺伝子撹乱によってGAG鎖の生合成に異常を来たすと、形態形成異常、発ガン、発生や発達に異常が起り、シグナル伝達の撹乱の結果と思われる。  我々は、こうした重要な機能をもつグリコサミノグリカン鎖の機能とその機能発現の基本となる生合成のメカニズムを解析してきた。最近、我々はこれまで報告されてきたヘパラン硫酸以外に、ある種のコンドロイチン硫酸にも種々のヘパリン結合性増殖因子との特異的相互作用を見い出し、シグナル伝達の調節の可能性を指摘している。また、これまで中枢神経系で神経軸索伸長の阻害因子として認識されていたコンドロイチン硫酸が、その構造によっては神経突起伸長促進活性をもつことを見い出した。一方、ヘパラン硫酸とコンドロイチン硫酸の機能発現の調節に深く関与する生合成のメカニズムについても、これらの糖鎖のこれまで不明であった重合のメカニズムに関する新たな知見を得た。ここでは、GAGのこうした機能(1-3)と生合成のメカニズム(4-6)に関する最近の知見を論じる。 参考文献: (1) Mizuguchi et al. (2003) Nature, 423, 443-448. (2) Sugahara et al. Curr. Opin. Struct. Biol. (2003) in press. (3) Hikino et al. J. Biol. Chem. (2003) in press. (4) Sugahara and Kitagawa (2003) IUBMB Life, 54, 163-175. (5) Kitagawa et al. (2003) J. Biol. Chem., 278, 23666-23671. (6) Kim et al. (2003) J. Biol. Chem., 278, 41618-41623.

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