放射光セミナー

日時: 2005-07-14 13:30 - 14:30
場所: PF研究棟2階会議室
会議名: 放射光セミナー「産総研における真空紫外線からX線までの標準」
講演者: 齋藤則生氏  (産業技術総合研究所 計測標準研究部門)
講演言語: 日本語
URL: http://pfwww.kek.jp/pf-seminar/
アブストラクト: 産総研では、可視域からγ線までの放射強度標準を供給している。光源は、レーザー、シンクロトロン放射、X線管、アイソトープを利用している。そのなかで、シンクロトロン放射を光源として真空紫外からX線までの標準の現状と将来計画を紹介する。この標準に関連して、産総研の放射光施設の現状・将来および世界における標準の動向についても紹介する。  シンクロトロン放射を一次標準とした研究は、現在4−8eVで行われており、2年後に実用化する。この標準以外は全て、検出器を一次標準とした標準の確立がなされている。14eV−1000eVは、希ガスを封入したイオン・チェンバーを一次標準として、標準が確立している。この領域では、フォト・ダイオード、金属カソードなどの校正を行なうことができる。数10eVよりも低エネルギーでは、原子の多重イオン化や光電子による2次イオン化の影響が無視できる程度に小さいので、1%程度以下の不確かさで強度を測定することができる。しかし数10eV以上では、原子の多重イオン化を実測し、2次イオン化などの影響を無視できる条件で強度を計測するために、不確かさが大きくなり5%程度となっている。  この不確かさを小さくするために、極低温カロリー・メータを導入し、不確かさを1%以下にするための研究を行っている。産総研とSpring-8において、イオン・チェンバーと極低温カロリー・メータの比較をおこなったので、その結果も紹介する。現在、イオン・チェンバーと極低温カロリー・メータが5%程度ずれているので、その原因を調査中である。  今後、極低温カロリー・メータをX線領域まで拡張し、単色X線標準を確立していく計画である。なお、現在のX線標準は、X線管とフィルターを用いて得られたブロードなX線を自由空気電離箱によって、照射線量(C/kg)や空気カーマ(Gy)を実現している。不確かさは1%程度である。

[index]