日時: |
2006-11-20 15:30 - 17:00 |
場所: |
日本原子力研究開発機構 先端基礎交流棟3階第2センター会議室 |
会議名: |
太陽組成から導く元素の起源を示す証拠-超新星爆発の光核反応による元素合成- |
連絡先: |
今井伸明029-284-4863/nobuaki.imai kek.jp |
講演者: |
早川岳人 氏 (日本原子力機構 量子ビーム応用研究部門) |
講演言語: |
日本語 |
URL: |
http://triac.kek.jp/events/ |
アブストラクト: |
天体核物理学は、核物理、宇宙物理、天文学、惑星学、地球化学にまたがる
学際領域である。その目的の一つが太陽系に存在する約290核種の準安定な全
ての同位体の天体起源の解明である。H、He等の軽元素はビックバンで主に生
成され、これらより重い元素は様々な恒星の中の様々な元素合成過程で生成
され、星間物質として蓄積されてきた。この星間物質から太陽系が誕生した
ので、太陽系物質の起源の解明は銀河系の物質進化の理解に必要不可欠であ
る。
鉄より重い元素のほとんどが、s過程、r過程と呼ばれる2つの中性子捕獲反
応過程で生成されたことは判明している。しかし、その一方で陽子過剰領域
側 に起源が不明な35核種のp核が存在していた。この天体起源は過去50年間
に亘り議論され、中性子星のX線バースト、高エネルギー宇宙線による核破砕
反応、超新星爆発の光核反応、超新星爆発のニュートリノ反応等が提案され
てきた。
我々は太陽組成を分析し、p核とp核より中性子数が2個多い同位体であるs核
の同位体の割合が元素に関係なく一定であるという経験則を発見した。この
経験則は、既に存在していたs核より、連続した($\gamma$,n)反応でp核が生成され
た証拠である。このような反応として超新星爆発の光核反応が唯一整合性 が
あるため、経験則はp核が超新星爆発の光で生成された証拠である。さらに、
この経験則が全ての超新星爆発で成り立っているはずであるという「超新星
爆発の光核反応元素合成過程の普遍性」を提唱した。超新星爆発モデル計算
により、経験則及び「普 遍性」が、成り立つことを示し、その原理を解明し
た。さらに、計算によって「拡張された経験則」を提唱し、その検証のため
の天体観測を提案した。 |