物理セミナー

日時: 2009-01-30 15:00 - 17:00
場所: 筑波大学応用加速器部門3階大会議室
会議名: 第23回つくば不安定核セミナー 「電子散乱による短寿命不安定核の内部構造研究-理研RI Beam Factory でのe-RI 散乱実験にむけて-」
連絡先: 宮武宇也
講演者: 須田 利美  (理化学研究所)
アブストラクト: 電子散乱は、原子核の内部構造研究に最も適したプローブである。それは、1)電子が内部構造をもたない点状粒子であり、2)電磁相互作用で原子核と散乱し、3)エネルギー移行と運動量移行が独立、という著しい特徴を持つためである。谷畑らによる中性子ハロー核の発見からすでに20 年以上経過しているが、現時点まで電子散乱による短寿命不安定核研究は実施されておらず、ごく最近までその実験方法すら確立されていない状況であった。 我々は電子散乱を実現するための標的形成技術として、SCRIT 法(Self-Confining RI Target) を提案しその原理実証研究を進めてきた。SCRIT プロトタイプを使った長年の開発努力により、昨年度106 (/s) 程度の原子核があれば弾性散乱実験が実現でき、荷電密度分布決定が可能であることを実証した。さらに今後の技術開発で、大幅に少ない原子核数で電子散乱実験に必要なルミノシティーを達成できる可能性も見つけている。SCRIT 法の原理実証成功を受け、理研RIBF では電子散乱による短寿命不安定の内部構造研究開始に向けて準備を進めている。2008 年度に住友重機より譲渡をうけた電子蓄積リングAURORA は、2009 年4 月から再建が開始され2009 度中には運転を開始する予定である。セミナーでは、「1)電子散乱で何が分かるのか?2)SCRIT 法及び原理実証実験。3)RIBF での電子散乱施設。4)RIBF/AURORA で期待される物理。」について議論する。

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