日時: |
2011-04-27 14:00 - 17:00 |
場所: |
筑波大学計算機科学センター、1階ワークショップ室 |
会議名: |
第28回つくば不安定核セミナー「炭素12生成の新しい理解」 |
連絡先: |
funaki nucl.ph.tsukuba.ac.jp |
講演者: |
緒方 一介 (大阪大学核物理研究センター) |
講演言語: |
日本語 |
アブストラクト: |
宇宙進化の過程において、生命の素材とも言うべき炭素12(12C)原子核がどのように生成されたのかを理解することは、我々人類にとって本質的な研究課題であると考えられる。
これまで12Cの生成は、(1)2つの粒子(4He原子核)が8Be原子核(不安定)を形成し、(2)8Be原子核と第3の粒子が12Cの励起状態(共鳴状態)を形成するという、連続して起きる2つの2粒子反応という描像で理解されてきた。しかし、環境の温度が低い場合、3つの粒子系のエネルギーは12Cの共鳴エネルギーに達することができないため、この描像は明らかに破綻する。その場合、必然的に、3つの粒子が同時に反応し融合するという、新しい反応描像を採らなければならない。
本研究では、上述の3粒子融合過程を量子力学的に定式化し、これを用いて12C生成反応率の再評価を行う[1]。講演では、特に
・これまでの標準的な12C生成反応率[2]と比較して、10^7Kで26桁、10^8Kで6桁もの劇的な増大が得られること。
・低温領域における3粒子の融合反応を記述する近似法として広く用いられている方法[3]が、物理的根拠を全く持たないこと。
の2点に重きを置いて研究成果の報告を行う予定である。
[1]K.Ogata,M.Kan,andM.Kamimura,Prog.Theor.Phys.122,1055(2009).
[2]C.Anguloetal.,Nucl.Phys.A656,3(1999).
[3]K.Nomoto,Astrophys.J.253,798(1982). |
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