物理セミナー

日時: 2014-09-30 13:30 - 15:30
場所: つくばキャンパス4号館345
会議名: ニュートリノ質量分光計画: 理論と実験の進捗状況
連絡先: 4975
講演者: 吉村太彦、笹尾登   (岡山大学)
講演言語: 日本語
URL: http://seminar.kek.jp/physics/index.html
アブストラクト: ニュートリノ質量分光実験(通称 SPAN, SPectroscopy of Atomic Neutrino)
は、実験標的を原子または分子に絞り、その脱励起として存在が確実視される、
光子+ニュートリノ対放出(RENP, Radiative Emission of Neutrino Pairs)を発
見し、
その光子スペクトルや偏極度などの測定により、次のニュートリノ質量行列
要素を決定することを目的とする:
1.ニュートリノ質量絶対値、または最少質量の決定
2.質量混合パターン、 inverted or normal hierarchy の決定
3.質量タイプ、マヨラナ型かディラック型かの決定
4.マヨラナ的CP位相を含むCP非保存の確定

当セミナーでは、その実験原理、そのために必要なレート増幅のマクロコヒーラ
ンス機構、ニュートリノ質量情報の決定方法、を説明する。
マクロコヒーランス増幅機構はニュートリノ質量分光計画にとり核心的コンセプ
トと位置付けられるが、
これを量子電磁力学過程である二光子対超放射過程(PSR, Paired Super-
Radiance)を用いて実験的に検証した。
これにより、第一段階目標である原理検証実験は終了し、
今後PSRの増幅度増大やその制御及びRENPへの移行過程研究、
更には原子ニュートリノ検出実験へと進展する。
当セミナーでは、添付の公表実験結果(*)に加えて最新の進捗状況及び今後の実
験戦略を報告したい。

(*) “Observation of coherent two-photon emission from the first
vibrationally-excited state of hydrogen molecules”, arXiv:1406.2198v2
[physics.atom-ph] (2014)

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