理論セミナー

日時: 2005-03-10 13:30 -
場所: 研究本館3階321号室
会議名: ノナクォーク系としてのストレンジトライバリオン
連絡先: 丹後
講演者: 前沢 祐氏  (東京大学大学院 理学系研究科)
講演言語: 日本語
アブストラクト: 最近、ストレンジトライバリオンS^0(3115)の存在が、KEK-PSに おけるK中間子とヘリウム原子核との反応で報告された (Suzuki et al. Phys. Lett. B 597 (2004) 263)。これが、赤石・山崎らにより 予言されていたK中間子原子核(pnnK-)とすると、約110 MeVの結合エネルギーと、 核物質密度の約3倍の平均密度を持つ深く束縛した状態であると考えられる。 我々は、このようなハドロン描像とは反対の極限であるクォーク描像にたって、 トライバリオンのスペクトルを考察した。 このときS^0(3115)の最小のクォーク構成は(3u)(5d)(1s)であり、9-クォーク系 (ノナクォーク)と考えることができる。我々はノナクォーク系に対しカラー、 フレーバー、スピンの対称性による群論的分類を行った。さらにカラー磁気相互作用 の効果によりフレーバー27重項がスピン1/2、アイソスピン1の状態で最も深く束縛 する事を示し、S^0(3115)がこのフレーバー27重項に属する可能性を指摘した。 また、ストレンジクォークの存在が、全系の反対称化とカラー磁気相互作用のために、 低いフレーバー表現のノナクォーク系のエネルギーを下げる事に注目し、S^0(3115)を 基準にして、未発見の軽いS=-1,-2,-3を持つストレンジトライバリオンについて考察した。 本セミナーでは、多クォーク系としてのトライバリオンに関する上記のような研究を 紹介する。

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