理論セミナー

日時: 2005-10-27(15:00)
場所: 研究本館3階321号室
会議名: 超対称性量子力学とその応用
連絡先: 丹後
講演者: 桂 法称氏   (東京大学)
講演言語: 日本語
アブストラクト: Wittenにより導入された超対称性量子力学(SUSYQM)は、その美しい代数構造から種々の系に応用され大変良い成功を収めている。今回の講演では、我々が最近示した一般空間次元における水素原子のDirac方程式のSUSYQMを用いた解法(quant-ph/0410174)について詳しく議論したい。3+1次元の水素原子のDirac方程式にSUSYQMを適用しようというアイデア自体はSukumarによるもの(J. Phys. A: Math. Gen. 18, L697 (1985))まで遡ることができる。我々は、彼の議論では構成されていなかったSuperchargeのexplicitな表式をHamiltonianと可換な演算子を用いて具体的に構成し、SUSYQMを用いてエネルギースペクトルと波動関数が簡単に求まることを示した。この結果は、Sukumarの3+1次元での議論における問題点を克服した形での拡張であり、一般次元での解析的結果を正確に再現するものである。また、このSuperchargeの非相対論的極限が、非相対論的量子力学における水素原子の隠れた保存量であるRunge-Lentz-Pauliベクトルと関連の深いものであることを明らかにした。 講演の後半では、最近Fendleyらによって提唱され注目されている任意格子(グラフ)での超対称性をもつhard-core fermion系のモデル(Phys.Rev.Lett. 90 (2003) 120402 )について紹介したい。このモデルは高温超伝導におけるRVB(resonating valence bond)やHaldane系におけるVBS(valence bond solid)などとも関係が深く、また一次元の場合にはBethe Ansatz で解ける可積分なモデルになっており、その連続極限がSCFT(Super Conformal Field Theory)で記述されるという点でも特筆すべきモデルである。

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