日時: |
2009-02-12 16:00 - 17:00 |
場所: |
研究本館3階321室 |
会議名: |
光子構造関数におけるヘビークォーク効果の解析 |
連絡先: |
安井繁宏 |
講演者: |
北殿 義雄 氏 (広島大学) |
アブストラクト: |
将来の高エネルギー電子・陽電子衝突実験では、仮想光子の構造についての精密な情報を得ることができると期待される。仮想光子の構造とは、$x$を Bjorken変数、$-Q2$と$-P2$をそれぞれ、probe光子とtarget光子の4元運動量の2乗とした時に、標的光子(target photon)の2つの構造関数$F_2^gamma(x,Q2,P2)$と$F_L^gamma(x,Q2,P2)$についての情報である。
これらの構造関数及びtarget光子内のパートン分布関数は、$Lambda2 ll P2 ll Q2$ ($Lambda$はQCDのスケールパラメータ)の領域では、演算子積展開と繰り込み群方程式によって全て摂動論的に計算可能である。これまでの計算ではクォークは$n_{f}=4$の零質量粒子として扱われていた。理論計算の精度向上と将来の実験の事を考慮すると、次のステップとして重い c、b、t クォークなどの質量の効果を演算子積展開に取り入れる理論的な枠組みが必要である。
核子の深非弾性散乱の場合には、重いクォークのパートン分布関数を用いずに、全て零質量クォークの分布関数だけで $F_2(x,Q2,P2), F_L(x,Q2,P2)$ を表現するという方法が考えられている。我々はこれとは異なる手法として、重いクォークの演算子を考え、質量に依らない繰り込み群的手法と、 Running Massを用いて係数関数と演算子期待値に重いクォークの効果を取り入れる形式を考案した。このセミナーでは我々の手法と核子の深非弾性散乱の重いクォーク演算子を考えない手法が、繰り込み群方程式を通じることで同じ物理的描像を与えるという考察を報告する。 |
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