理論セミナー

日時: 2009-06-26 13:30 - 14:30
場所: 研究本館3階322室
会議名: 重いクォーコニウムに対する有効場の理論と格子QCDによるアプローチ 〜pNRQCDとクォーク間ポテンシャルの非摂動論的計算〜
連絡先: 安井、yasuis AT post.kek.jp
講演者: 駒佳明 氏  (沼津工業高等専門学校 )
講演言語: 日本語
アブストラクト: J/PsiやUpsilonに代表されるクォーコニウムは,従来, 重いクォークと反クォークの非相対論的2体系という記述が 有効であることが知られており,実験データを再現するように 現象論的に決めたポテンシャルに基づく研究が広く行われてきた。 一方,クォークの力学はQCDによって説明できるとされるが, QCDは場の理論であるため,QCDとポテンシャル描像との関係は 非自明である。 これに対し,クォーコニウムにおけるクォーク質量 m, クォーク間の相対運動量 mv,束縛エネルギーmv^2 の間に m >> mv >> mv^2 というエネルギー階層が存在することに 着目すると,QCDから系統的に非相対論的QCD(NRQCD)や ポテンシャルNRQCD (pNRQCD)という有効場の理論を構築することができる。 特に,pNRQCDでは典型的なエネルギースケールとしてmv^2 が残されており,クォーコニウムのポテンシャル描像が内包されている。 pNRQCDによると,クォーク-反クォーク間ポテンシャルは, 静的ポテンシャルと,クォーク質量mの逆ベキで展開された 相対論的補正項からなることが示される。 ただし,pNRQCDの枠内ではポテンシャルの関数形までは決まらないので, 格子QCDなどを使って,非摂動論的に決める必要がある。   今回のセミナーでは,前半でpNRQCDの導出・特長について紹介し, 後半では,格子QCDによる相対論的補正項も含めたクォーク間ポテンシャルの 計算について紹介する。

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