理論セミナー

日時: 2013-06-28 15:30 - 16:30
場所: 研究本館3階セミナー室322
会議名: エンタングルメントからの熱力学的仕事のゲイン
連絡先: 森田 辰弥、moritat-AT-post.kek.jp
講演者: 布能 謙 氏  (東京大学)
講演言語: 日本語
アブストラクト: マクスウェルの悪魔は量子情報、熱力学、(非平衡)統計力学などの分野で長い間活発に議論されてきた。マクスウェルの悪魔はシステムのミクロな自由度を測定し、その測定結果に応じてシステムをフィードバックすることができる。そのため、マクロな自由度のみを操作するような場合よりもシステムをより操作することができるため、熱力学第二法則を超えて仕事を取り出すことが示唆される。測定とフィードバック制御下での一般化された第二法則は沙川と上田によって示され、第二法則を超えて取り出せる仕事はシステムと測定結果を蓄えるメモリーとの間の相関を表す量子‐古典相互情報量によって特徴づけられることが示された [1]。また、フィードバックによってシステムが得をした仕事の分だけメモリーに仕事を注入しなければいけないことも示され、全体としては第二法則に矛盾しないことが示された [2]。今回の発表では二つのシステムの間にエンタングルメントがある場合を考え、この相関をフィードバック制御することで取り出せる仕事について議論する [3]。取り出せる仕事は二つのシステムとメモリーの間の三体間の相関で特徴づけられ、初期にあったエンタングルメントについてメモリーがどれだけアクセスできるかによって決まることが明らかになった。

[1] T. Sagawa and M. Ueda, Phys. Rev. Lett. 100, 080403 (2008).
[2] T. Sagawa and M. Ueda, Phys. Rev. Lett. 102, 250602 (2009).
[3] K. Funo, Y. Watanabe and M. Ueda, arXiv:1207.6872 (2012).

[index]