理論セミナー

日時: 2013-07-03 13:30 - 14:30
場所: 研究本館1階会議室1
会議名: Hadron-Quark Crossover and Massive Hybrid Stars
連絡先: 関原 隆泰、sekihara-AT-post.kek.jp
講演者: 益田 晃太 氏  (東京大学理学部/理研)
講演言語: 日本語
アブストラクト: 中性子星 (NS) は様々な観測量を通して高密度 QCD 物質がもつ豊富な相構造に関する情報を与えてくれる宇宙の良い実験場である。その中でも特に、質量と半径に関する情報は状態方程式 (EOS) の構築、高密度物質の組成に対して強い制限を与え得る。観測の観点からは、近年 (1.97±0.04) 太陽質量をもつ非常に重い NS (PSR J1614-2230) が観測された。本セミナーではコア部にクォーク物質をもつハイブリッド星が 2 太陽質量を支え得る可能性について議論する。ハイペロンを含むハドロン相からストレンジネスを含むクォーク相へのパーコレーション描像の仮定のもと、新しい EOS の構築を試みる。この新しい EOS を用いることで得られる結果は、(1) クロスオーバーが比較的低密度 (原子核密度の 3 倍程度) から生じる (2) クロスオーバー領域でクォーク物質が強く相互作用しているという 2 つの条件のもとでハイブリッド星の最大質量は2太陽質量を超え得る、というもので 1 次相転移を仮定し構築した EOS を用いて得られる結果とは全く異なるものである。いかなるハドロン相 EOS を用いても最大質量に関する結果は変わらないが、ハイペロン出現の密度、出現に伴う NS の速い冷却機構を議論する際、ハイペロン間に働く三体力が大きな役割を担う。更に NS 内部におけるカラー超伝導相が与える影響についてもコメントする。

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