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公開講座
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last update:05/09/28  
 平成17年 高エネルギー加速器研究機構 公開講座
テーマ:『物理100年』

講義内容及びテーマ

 
「アインシュタインの3つの論文」
高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 所長 小林  誠  
   
今からちょうど100年前の1905年、アインシュタインは、その後の物理学に大きな影響を与えることになる3つの論文を発表しました。そのため、この年は奇跡の年と呼ばれています。3つの論文とは、特殊相対性理論、光電効果、そしてブラウン運動に関するものです。当時、スイス・ベルンの特許局技師であったアインシュタインが、学会から孤立した環境の中でこれらの理論を完成したことはまさに奇跡という以外にありません。アインシュタインが何を考え、そしてそれがその後の物理学にどんな影響を与えたかについてやさしく解説します。
 

 
「宇宙の反物質を探すBESS実験」
高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 助教授  吉田 哲也  
 

 
私たちのまわりの世界は陽子、中性子、電子の「粒子」からできている「物質」で成り立っているように見えます。しかし、素粒子の世界では粒子には必ず「反粒子」というパートナーが存在することがわかっており、ビッグバン直後の宇宙には粒子と反粒子が同数存在したと考えられています。私たちの銀河から遠く離れた宇宙のどこかに反粒子で成り立つ「反物質領域」が存在し、そこから「宇宙起源反物質」が地球に飛来しているかもしれません。この反物質を高度37kmの高空で探索するBESS宇宙線観測気球実験を紹介します。

 


 
「アインシュタインのブラウン運動から考える生命の仕組み」
 
高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 教授 若槻 壮市  
   
花粉を顕微鏡で見ると、ゆらゆらと動いているのが見えます。アインシュタインは1905年にこの花粉のブラウン運動が周りの水分子の無秩序な熱運動によることを数学的に示しました。このような熱運動は生体内にも見られ、筋収縮やタンパク質の効率的な膜透過などを可能にし、生きた細胞という秩序を生み出す生命活動の源泉になっています。KEK放射光リングの強力なX線を照射すると、生体分子の姿を原子レベルで捉えることができます。生体分子がブラウン運動を積極的に利用して機能を発揮している仕組みを紹介します。
 

 
「J-PARCが目指すサイエンス」
高エネルギー加速器研究機構 大強度陽子加速器計画推進部 教授 永江 知文  
   
J-PARCは、KEKと日本原子力研究開発機構が協力し、茨城県東海村に建設中の世界最高ビーム強度を誇る大強度陽子加速器施設です。2001年から開始された建設は今年で5年目を迎えます。J-PARCでは、K中間子・ニュートリノ・中性子・ミュオンという多様な粒子ビームを発生させ、素粒子・原子核のミクロな世界から身近な物質・生命までを調べる基礎・応用研究、また、原子力工学の研究など、広範な科学・技術の研究が可能になります。J-PARC建設の現状と目指すサイエンスの全貌について分かりやすく解説します。
 

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