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公開講座
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last update:08/09/02  
平成20年 高エネルギー加速器研究機構 公開講座
テーマ:『加速器科学の新展開』

講義内容及びテーマ

 
「KEKB:世界最強の加速器」
高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 教授 生出 勝宣  
   
KEKB・Bファクトリー加速器が世界最高ルミノシティ性能を達成する過程で現れた設計、建設、運転上の諸問題を紹介し、加速器研究の持ついくつかの課題を考察したいと思います。加速器研究の成り立ちの話から始め、加速器の理論と設計及びその関連技術、加速器利用の実践についてお話しします。加速器の建設やその運転には、とても多くの人が関わっています。加速器を担う人々についても触れたいと思います。最後に「加速器に未来はあるか」という問題について展望したいと思います。今後の加速器計画を考える上で多少の参考になれば幸いです。
 

 
「素粒子で実現する革新的レントゲン写真」
高エネルギー加速器研究機構 名誉教授  永嶺 謙忠  
   
素粒子ミュオンを使って、これまでに出来なかったレントゲン写真撮影ができるようになりました。ミュオンは、電荷が正と負の2種類があり、質量が陽子の1/9(電子の200倍)で、電気的な力で周りの物質と相互作用します。エネルギーが高いミュオンは透過性が良く、数100mの岩山や数10mの鉄を透過出来ます。高いエネルギーの宇宙線ミュオンによって、火山の内部の様子や、製鉄用溶鉱炉の内部を調べる事が出来ます。加速器で得られる低エネルギー高強度ミュオンで、物質の磁気的な性質のイメージングが可能です。例えば人体脳の血流の磁化の分布と変化を調べ、脳機能の新しい探索が出来ます。これまでの成果とこれからの課題をお話します。
 

 
「質量起源のヒッグス粒子を探して」
筑波大学 教授 金 信弘  
   
あらゆる物質はクォークとレプトンという素粒子からできています。この素粒子には質量がありますが、素粒子物理学の標準理論ではヒッグス粒子がこれらの素粒子に質量を与えているとされています。宇宙の極初期には、すべての素粒子の質量がゼロであったが、宇宙が膨張して温度が下がったときに、ヒッグス粒子が真空中に凝縮して素粒子に質量を与えるようになったとされています。しかしヒッグス粒子は未だ発見されていないので、この仮説が正しいのか確認できていません。高エネルギー加速器を使って宇宙初期の高温状態を実験室で作り出して、ヒッグス粒子の発見とその性質の解明を目指している実験研究の現状と将来についてお話します。
 

 
「加速器と医学生物学をつなぐもの」
高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 准教授 加藤 龍一  
   
加速器と医学や生物学は、一見すると全く関係がないように思えます。しかし実際には、ガンなどの治療用の加速器の他に、いわば高性能の顕微鏡としての加速器が使われています。私たちの体はタンパク質でできています。加速器で作られた非常に明るいX線をタンパク質の結晶にあてることによって、そのタンパク質の形を見ることができます。つまり、通常の顕微鏡や電子顕微鏡では見えない小さなものも見ることができるわけです。タンパク質の形を見ることによって、私たちの体がどのようにして働いているのかを理解することができます。その知識は、薬の開発にも役立っています。この講演では、その最先端の研究の一端を紹介します。
 

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