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2009年
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last update:09/09/09
平成21年 高エネルギー加速器研究機構 公開講座
テーマ:『ノーベル賞の先の未来へ』
講義内容及びテーマ
「超伝導技術が拓く先端加速器科学」
高エネルギー加速器研究機構 共通基盤研究施設 教授 山本 明
加速器は宇宙のはじまり、物質の究極の姿を探りだします。その加速器の最先端を切り拓く超伝導とはどのようなものでしょうか。それは、エネルギーを節約し、強力な電気の力で粒子を加速する環境に優しい力持ちの技術です。加速器とともに発展した『超伝導技術』は、私たちの生活に身近な医療(MRI) や輸送(磁気浮上・リニアモーター) にも応用が広がり、資源の循環にも役立とうとしています。『超伝導技術が拓く先端加速器科学』、私たちの生活への応用、そして未来への夢をお話します。
「全てのイオンを加速するデジタル加速器」
高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 教授 高山 健
高周波電圧を加速媒体として使用するシンクロトロンに代わって、「誘導加速シンクロトロン」と呼ばれる新しい構成の加速器(デジタル加速器)をKEKでは開発しています。現代の半導体技術とデジタル制御技術を動員した加速方法です。その原理が最近実証されました。この方式は水素からウランまで入射器を使わないで一台の加速器で加速出来る特徴を持ちます。ウランまでの各種イオンを材料深部に注入したり貫通させることにより、新しい機能を持った材料の創成が期待されます。水素、炭素、ヘリウムイオンを一台で供給出来る小型のガン治療用加速器の検討なども進められています。各種応用を見据え、デジタル加速器の実現をめざした研究を紹介します。
「ビックバンの前を探る新しい宇宙観測」
高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 教授 羽澄 昌史
1965年に偶然観測された「光の化石」(宇宙背景放射)は、これまでに、宇宙が約137億年前に誕生したことや、宇宙には謎のダークエネルギーが満ちていることなど、驚くべき宇宙の姿を明らかにしてきました。この謎を解くには、これまでの素粒子論を超えた万物の根本法則が必要とされています。この講座では、「光の化石」にまつわるこれまでの発見物語とともに、これからはじまる新しい観測を紹介します。根本法則の探究をなりわいとするKEKで最近はじまった「光の化石を手がかりに、ビッグバンの前を見る」プロジェクトの話題を主なサカナに、「私たちはどこからきたのか」について想いを馳せるひと時を皆さんと共有できればと思います。
「ブラックホールの熱力学と超弦理論」
高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 准教授 磯 暁
一般相対性理論によると星の周りでは時空が歪みます。そして重力が強くなると時空の歪みは大きくなり、ついには光すらも出てくることのできないブラックホールとなります。この古典的な描像に量子力学的な効果を取り入れると、ブラックホールは有限温度の輻射を放出することがホーキングにより示されました。さらにブラックホールは非常に大きなエントロピー(縮退度)を持つなど様々な熱力学的性質をもっています。この講演では、ブラックホール熱力学とは何なのか、そこから時空の熱統計的な性質について何が理解できるのか、さらに最近の超弦理論の発展がそれらとどう関係しているのか、などについての最近の研究の一端を紹介します。
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