KEK公開講座2011のご案内

テーマ:『スーパーBファクトリーで探る宇宙・素粒子の世界』

「未踏のルミノシティを目指す-- SuperKEKB加速器」

高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 教授 赤井 和憲

KEKのBファクトリー「KEKB」は、電子と陽電子を衝突させてB中間子とその反粒子の対をつくり出す加速器です。B中間子対の崩壊反応をBelle検出器により測定・解析することで、これまで小林・益川理論の検証を始めとして、素粒子物理学のさまざまな成果を生み出してきました。この研究をさらに進めて宇宙・素粒子の世界をより深く知るには、衝突頻度を示す加速器の性能「ルミノシティ(輝度)」をさらに高めて、より大量のB中間子対を作り出すことが必要です。KEKBは2001年より昨年の運転休止に至るまで、世界最高のルミノシティを誇っていました。現在、KEKBを飛躍的に高度化する改造を進めており、新たにSuperKEKBとして生まれ変わります。この講演ではどのように未踏のルミノシティをめざすか、ご紹介します。

「宇宙の反物質消滅の謎-- 小林・益川理論を越えて」

高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 教授 堺井 義秀

約137億年前に「ビッグ・バン」により創成されたと考えられている宇宙。始めは粒子(物質)と反粒子(反物質)が同じ量存在したのですが、現在にいたる過程で、反物質が消え物質だけが残ったと考えられます。その謎を解く鍵となるのが「CP対称性の破れ」と呼ばれる粒子と反粒子の振舞いの違いです。私達の実験では、B中間子の崩壊を研究することによりCP対称性の破れのメカニズムを証明することができ、小林・益川先生のノーベル賞受賞に至りました。さらに、観測されたCP対称性の破れでは充分ではないこともわかりました。これまでに見つかっていない、新しいCP対称性の破れの現象があるはずなのです。この新しいCP対称性の破れを発見し、反物質消滅の謎にせまるのが私達の新たな挑戦なのです。