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last update:09/12/11
プレス・リリース
〜 09-19 〜 For immediate release:2009年12月11日
平成21年12月11日
報道関係者 各位
行政刷新会議による事業仕分けの影響についてのご意見募集の結果について
大学共同利用機関法人
高エネルギー加速器研究機構長 鈴木 厚人
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、先般の行政刷新会議による事業仕分け、特に国立大学法人運営費交付金(特別教育研究経費)が「縮減」と評価されたことを受け、その影響について、ホームページ上で当機構の基本的な考え方を表明するとともに、広く国民の皆様や外国からのご意見を募集しておりましたが、12月10日(木)までの間に、日本国内を含め計26か国から726件(メール、郵便、FAXを含む)という多数のご意見が寄せられました。
その多くは、KEKのこれまでの活動の評価と今後の期待、基礎研究への継続的支援の重要性を指摘し、仮に予算が縮減された場合には、この分野の我が国の研究レベルの低下、人材の海外への流出、多くの大学・企業等の活動への悪影響、国際共同研究への影響が懸念されるというものでした。また、科学技術も無駄の排除が必要、KEKの研究内容やその意義は一般の国民の目からは見えにくく、分かりにくいといったご指摘もありました(
概要
は下のとおり
)。
当機構としては、今回寄せられた多数の貴重なご意見も十分に参考にさせていただき、国民の皆様の税金を主たる財源として研究・共同利用・教育等の諸活動に当たらせていただいている大学共同利用機関として、その責任をしっかり認識し、これまで以上に経費の効率的・効果的執行に努めながら、世界レベルの研究や大学共同利用、人材育成等を推進するとともに、国民の皆様からのご理解が得られるよう、機構の研究内容やその成果、経営状況などを、できるだけ分かり易く情報公開していきたいと考えております。
【関連記事】
行政刷新会議による事業仕分けの影響についてのご意見募集
http://www.kek.jp/shiwake/
【本件問合わせ先】
〒305-0801 茨城県つくば市大穂1-1
高エネルギー加速器研究機構 総務課総務係
TEL:029-864-5114
FAX:029-864-5560
事業仕分けの影響についての意見募集の集計結果(概要)
寄せられた意見の総数
(平成21年12月11日(金)午前9時現在)
(総数) 726件(うち、日本語 325件(45%)、英語 401件)(55%) ※FAX、手紙等を含む
<内訳は、
意見募集の集計結果
を参照
>
予算縮減への賛否
(1)
予算縮減に賛成する趣旨のもの
6件(1%)
(2)
予算縮減に反対する趣旨のもの
698件(96%)
(3)
その他
22件(3%)
意見の概要
日本語による意見(主に国内)
意見を寄せた方の約6割を、研究職(企業を含む)や大学教職員が占めており、文面からは、KEKB(電子陽電子衝突型加速器)、PF(放射光施設)やJ-PARC(大強度陽子加速器施設)を利用したことのある研究者・教員等が多いと推察される。次いで、大学院生や大学生・高校生・中学生、会社員などの順である。また、年齢で見ると、中学生から70歳以上まで、30歳代・40歳代を中心に幅広い層から意見が寄せられた。
大部分の方は、基礎科学・基礎研究の重要性、短期的な成果ではなく長期的な波及効果や人材育成面を重視すべきことを述べ、特に素粒子物理などは、数十年後の世界を大きく変えるものであり、それは過去の歴史からも明らかであるとの指摘が多くあった。
事業仕分けの実施自体については、賛成の意見が多く、否定的な意見は少数であったが、科学技術分野に関しては、本当に「ムダ」かどうか判断できる十分な議論があったと言えないとの意見が相当数あったほか、専門家(その分野の研究者)の意見を十分に聴くべきとの意見が見られた。
また、日本独自の大学共同利用の仕組み、すなわち、大型加速器や放射光施設などを共同で利用することは、各大学等が個別に装置を整備するよりはるかに少ない予算で効率的に研究を推進することができる点で、無駄を省くプロジェクトであると言え、外国からも高く評価されているとの意見が多くあった。
基礎科学であるKEKの研究内容やその意義は、(理系でない)一般の国民には分かりにくい面があるので、ホームページを工夫するなど、国民の理解と支援を得られるような分かりやすい説明や興味を引くような広報活動を強化すべきとの意見があった。
英語による意見(主に国外)
意見は、計25か国から寄せられたが、その多くは、KEKが推進している国際共同実験(T2K(東海・神岡ニュートリノ振動実験)、Belle(B中間子崩壊実験)など)に参加している研究者や、外国の高エネルギー研究機関(CERN(欧州合同原子核研究機構)、DESY(ドイツ電子シンクロトロン研究所)、FNAL(米国フェルミ国立加速器研究所)、SLAC(米国スタンフォード線形加速器センターなど)や主要大学の研究者等であり、地域別では、欧州が約半数で、北米が3分の1強、残りがアジア・オセアニアであった。
内容は、全ての意見が、予算縮減に反対し、KEKの活動への悪影響を懸念するものであるが、主な論旨は、以下のとおり。
日本の基礎科学は、長期間の予算措置によって、世界のトップまで成長し、それは近年の相次ぐノーベル賞受賞からも明らかであること。
KEKは世界最先端の研究機関の一つであり、T2KやBelle実験などで高い実績を上げていること。J-PARCは稼働を開始したばかりで、Belle高度化も予定されている今、予算を縮減し、プロジェクトが停滞することになれば、日本だけでなく、世界の損失になること。
科学予算の削減は、一時的には財政を助けるかもしれないが、長期的には経済発展、社会生活の進歩などに悪い影響を与えること。
科学研究において世界に多大な貢献をし、多くの国際プロジェクトが実施されている日本で、予算が削減されることでこれらの活動が減退することは、経済的、科学的影響だけでなく、これまで築いてきた日本の信頼が大きく損なわれることになること。
以下のようなノーベル賞学者や国際研究機関の所長等から、鈴木機構長あてに、予算縮減反対の趣旨の手紙、メールが寄せられた。
Sheldon L Glashow 1979年ノーベル物理学賞受賞(米国)
欧州合同原子核研究機構(CERN) Rolf Heuer所長
ドイツ マックス・プランク物理学研究所 Allen Caldwell 所長
ドイツ 電子シンクロトロン研究所(DESY) Ties Behnke 教授
フランス 線形加速器研究所(LAL) Guy Wormser 所長
米国 フェルミ国立加速器研究所(FNAL) Weiren Chou博士
(将来加速器国際委員会(ICFA)ビーム力学部会長)
カナダ トライアンフ研究所(TRIUMF) Nigel Lockyer 所長
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