LINAC(線形加速器)見学
LINACでは電子と陽電子のビームを作り直線的に加速して(本当のことを言うと途中で1回だけ180度曲がり"J"の形をしています)KEKBやフォトンファクトリーの蓄積型円形加速器に入射します。
見学のテーマ その1:どうやってビームを作るの?
品質が良くで強度の高い電子や陽電子のビームを作るにはどのような工夫をしているかをご説明し、実際の装置をみていただきます。装置の中身が見られないものについてはカットモデルをお見せします。また最近開発中の大強度パルスレーザーを使った電子ビーム生成装置についても見て頂きます。
見学のテーマ その2:どうやってビームを加速するの?
直線的にしかも効率よくビームを加速するにはどうすればよいかをご説明し、加速電界を励起するためのマイクロ波を作る装置やビームを加速するための加速空胴を見て頂きます。
見学のテーマ その3:どうやってビームを見るの?
ビームをうまく制御するには、ビームの大きさや軌道の位置を観測する必要があります。どのようにビームを観測しているかをご説明しこれに用いる測定装置を見て頂きます。
PF(フォトンファクトリー)見学
「光の工場」という意味のフォトンファクトリーは、さまざまな物質や生命の姿を、原子・分子のレベルで見るための光を作り出す加速器です。
ここで行なわれている研究のひとつに「タンパク質の立体構造を見る」研究があります。タンパク質は生命の中でいろいろな働きをする分子機械です。血液中で酸素を運ぶヘモグロビン、髪の毛や爪をつくるケラチン、脂肪を分解する酵素リパーゼ。これらはすべてタンパク質です。タンパク質がどんなしくみで生命活動をしているのか、研究者たちはその「立体構造」を見ることで、しくみを解き明かしています。
立体構造を見るには、小さなタンパク質の結晶に、フォトンファクトリーから発生する、エネルギーの高い、細く絞られた明るい光をあてます。今回のツアーでは少しだけその研究を体験してみましょう。
SuperKEKB主リングトンネル内見学
地下11mにある周長3kmのトンネル内では今、2014年の実験開始に向けてSuperKEKBの建設が始まっています。
SuperKEKBとは、KEKB加速器のアップグレード版で、電子と陽電子を衝突させ、自然には安定に存在しないB中間子・反B中間子の対を生成するための衝突型加速器です。
KEKB加速器は、2010年6月に運転が終了した世界最高性能の加速器で、ここで行われたBelle実験は、2008年のノーベル物理学賞の小林・益川理論の実験的な証明に貢献する等、多くの素晴らしい成果を挙げました。
今回のツアーでは、このトンネル内を約1/4周、歩いていただきます。めったに見られない、建設中の大型加速器を体感する絶好のチャンスです!SuperKEKBに実際に設置される電磁石の磁場測定等の見学もします。お見逃しなく。
関連ページ
- http://www.kek.jp/ja/Research/ACCL/KEKB/
- http://legacy.kek.jp/ja/activity/accl/KEKB.html
- http://accl.kek.jp/introKEKB/
筑波実験室(Belle検出器)見学
スパークチェンバーを用いて、私たちに常に降り注ぐ宇宙線の様子を観察します。
宇宙線は銀河系のはるか外を旅してきた陽子が地球の大気にぶつかり、地上に届いているものです。スパークチェンバーは、宇宙線がガス中を通り抜けた時に発生するイオンを用いて、宇宙線の軌跡を目で見えるようにしたものです。
宇宙の研究と素粒子の研究がどのようにかかわっているかを説明します。
文明ができた時から人類は「この空の向こうにはなにがあるか」「世界はどう始まったのか」「ものの根源はなにか」などの疑問をもってきました。20世紀になって「宇宙の研究」と「素粒子の研究」は根源は同じだということがわかってきました。その説明とともに素粒子実験の手法を紹介します。
加速器や測定器を構成する本物の部品を見ながら、KEKB加速器とBelle 測定器の働きを学びます。
素粒子という極微の世界の研究のために使われる部品とその働きを調べます。