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第1回KEK-北大連携ワークショップを開催

2010年12月22日

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ワークショップにて挨拶する下村理KEK物構研所長

第1回高エネルギー加速器研究機構-北海道大学連携ワークショップ「触媒における欠陥の役割と量子ビームによる欠陥直接観測の可能性」が12月14日、北海道大学北キャンパス創成科学研究棟で、約60名の参加のもと開催されました。これは、2010年7月1日に締結された連携協力協定に基づき実施されたものです。

開会に当たり、岡田尚武北海道大学副学長より、連携は専門の異なる研究者が交流し、アイディアを出し合うことで新しいサイエンスを生み出す良い機会として推進したい旨のご挨拶がありました。引き続き福岡淳北海道大学触媒化学研究センター長より多数の参加を得たことに対する謝辞と連携による成果の期待が述べられ、下村理KEK物質構造科学研究所所長より鈴木章名誉教授のノーベル化学賞受賞に対するお祝いと加速器を活用した研究成果創成に関して述べられました。

朝倉清高教授により、触媒研究での課題等が簡潔に説明され、それぞれの持つバックグラウンドが異なるので分からないことを当たり前として根気よく議論して、ブレインストーミングを進めたいというワークショップ開催の趣旨が述べられました。研究紹介では、まず触媒研究者の立場から、触媒化学研究センターの上田渉教授より「複合酸化物触媒の格子欠陥と酸化触媒能」について、続いて大谷文章教授より「光触媒と欠陥」について研究内容の紹介と課題が、物構研の職員にも分かり易く説明されました。続いて、物構研における加速器からの量子ビームを用いた研究について、下村浩一郎准教授より「ミュオン研究の最近の動向」、続いて兵頭俊夫教授より「陽電子を用いた材料表面の研究」について紹介がありました。

講演の後のフリーディスカッションでは、基礎的な理解を深めるとともに、どれくらいの量のどのような試料を調製すれば良いか、ミュオンを用いた試験測定を行ってみよう、というところまで話が進み、量子ビームを用いた新たな触媒研究の核が生まれてきました。

北海道大学との連携では、2011年度から北海道大学の職員がKEKに常駐し、研究を開始する計画も進められています。