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先端加速器推進部

point  これまでの研究活動 (リニアコライダー計画推進室)
 
 
 
 
リニアコライダー計画推進室(2014年2月) これまで

1STF/CFF 
・ Phase 2の準備作業 MHI24号機の4回目縦測定を行なった.強いフィールドエミッションのため12MV/m止まり. CM2Aに組込む空洞4台の縦測定はこれで終了とする.4台の平均加速勾配は28.0MV/mとこ れまでに比べて低下した.製造方法,表面処理方法の再検討が必要と思われる. 
・ 超伝導空洞用入力カプラーのコンディショニングを開始した. 
・ 超伝導空洞用磁気シールドの最適化(性能向上およびコストダウン)を目的に,縦測定スタンド を使って種々のシールドに対する磁場特性の測定を行なっている.

1 ATF
・ 1/20まで保守,運転準備.クライストロン,クライストロン電源,電子銃用レーザー,スクリーンモ ニター等で故障発生.全体に老朽化が著しく,予備品の確保等の対策が必要である. 
・ 1/20からビーム運転.空洞型BPM,FONTのスタディ,IP-BSM,IP-BSMの調整等を行なった.

1 会議等 
・2月7日,第7回リニアコライダー加速器レビュー委員会(委員長:生出勝宣加速器研究施設長) が開催された.ATF,STF,CFS,陽電子源に関して,前回レビュー以降の進捗状況,残された課題,今後の予定について報告があった. プログラムは以下の通り.
1. 加速器ビームオプティクス・ダイナミクス           (久保浄) 
2. 超伝導空洞・企業との協力による開発        (山本康史) 
3. 超伝導空洞・KEK でのIn-House開発 (佐伯学行) 
4. クライオモジュール・クラオジェニクス   (仲井浩孝) 
5. 高周波技術   (松本利広) 
6. STF-II (ERL-SCRF 技術開発連携含む)   (加古永治) 
7. STF-COI 設備開発、及びSTF 総合的展望   (早野仁司) 
8. ATF II           (奥木敏行) 
9. ATF総合的展望 (照沼信浩) 
10. 陽電子源    (大森恒彦) 
11. 施設(土木・建築・設備)   (宮原正信) 
・2月10日に第24回リニアコライダー計画推進委員会を開催する(3号館セミナーホール).


リニアコライダー計画推進室(2014年1月) 

1STF/CFF 
・ Phase 2の準備作業 CM2Aに組込む空洞,MHI24号機の3回目縦測定を行なった.1回目,2回目とも発熱により 23MV/mで制限された空洞であるが,今回は強いフィールドエミッションのためやはり23MV/m 止まり.電解研磨をやり直し,4回目の測定を行なう予定.図1は組立中のCM1.
・ 主任者検査は12/19に終了した.但し,RF電子銃の運転の際,タイミング同期回路が不調で あったため,施設検査は2月以降に延期となった 

1 ATF
・ ビーム運転(12/16-12/26)により,IP-BPM,IP-BSM等のスタディをを行なった.
・ ATFに隣接するLUCX(小型高輝度X線発生装置)において,真空チェンバーのベーキングを 開始した際にスライダックの加熱による発煙事象が発生した.リボンヒーターと電源(30A)との間 に5Aのスライダックが接続されていたため.関係者に注意喚起を行なうとともに,安全に関する 会合を開催.

1 会議等 
・ 1月15日 第4回ILCを学び考える会 「ダンピングリングを学ぶ(生出勝宣)」(3号館セミナーホール)
・ 2月7日 第7回リニアコライダー加速器レビュー委員会(4号館セミナーホール).
・ 2月10日 第24回リニアコライダー計画推進委員会.(3号館セミナーホール) 


図1 組み立て中のクライオモジュール1(CM1).

リニアコライダー計画推進室(2013年12月) 

1STF/CFF 
・ Phase 2の準備作業
- クライオモジュール1のコールドマス(超伝導加速空洞,ガスリターンパイプ(GRP),He供給ラ インなどの内蔵物)の真空容器への挿入が終了した(図1).
- CM2Aに組込む空洞,MHI23,24,25,26号機の2回目縦測定を行なった.結果は36,23,33,32 MV/mであった.23,25号,26機はQ値がやや低いが合格とする.24号機は3回目の 測定に回す.
・ 超伝導空洞内作1号機(KEK-01)は,HOMの溶接が完了.2014年3月上旬の完成を目指す.
・ 空洞製造設備(CFF)においてLarge GrainのNb材を用いた単セル空洞が完成した(図2).

1 ATF
・ 放射線遮蔽検査:5年毎の定例検査と申請内容変更(遮蔽材の整理)に対する施設検査に合格した.
・ IP-BPM,FONTのスタディ,EXT-FFの調整,IP-BSMの立上げ等を行なった.

1 会議等 
・ 第3回ILCを学び考える会 (加速器研究施設主催)が12月5日に開催され,加古永治氏から「超伝導加速空洞システムについて考える」と題する講演があった.ILCを日本が主導権をとって建設しようとするのであれば,pre-productionとして数百台規模の超伝導空洞を必要とする加速器,即ち3GeVERLを建設することが適切であるという提案があり,活発な質疑応答がかわされた.
・ 来年2月7日に第7回リニアコライダー加速器レビュー委員会を行なう予定.


図1)組立て中のSTF Phase2用クライオモジュール1.手前にGRP,空洞の一部が見える.

図2)CFFで完成したLarge Grain 単セル空洞.


リニアコライダー計画推進室(2013年11月)

1STF/CFF 
・ Phase 2の準備作業 
- CM(クライオモジュール)1用ガスリターンパイプ,吊り下げ治具等をトンネルに搬入し,組み立て,配線,アライメント作業を進めている(図1).入力カプラーのコンディショニングを開始した. 
- CM2Aに組込む空洞,MHI23,24,25,26号機の1回目縦測定の結果は31,23,33,26MV/mであり,いずれも目標の35MV/mを下回った.2回目の測定を行なう.なお,これら4台の空洞は,工業化を目的として,従来とは若干異なる方法により製造されたものである. 
・ Marx電源  米国DTI社の担当者が2週間滞在し,立上げ試験を行なった.いくつかトラブルがあったが,ク ライストロンを負荷として110kV,61A,5Hz,1.5msで約1時間運転した.本電源は,試作機の段階にあり,評価のためにも長時間の運転が必要と考えられる.

1 ATF
・ 12.6に予定の遮蔽検査に向けてビーム調整を行なった.比較的順調に調整が進んだのは,今夏に行なわれたクライストロンおよびクライストロン電源,ならびに冷却水冷凍機の 更新が大きく寄与したと考えられる.

1 会議等 
・ 10.23に,第2回ILCを学び考える会が開催され,村山斉カブリIPMU機構長から「ILC: the road to the future of particle physics」と題する講演があり,活発な質疑応答がかわされた.
・ 10.30に,第23回リニアコライダー計画推進委員会が開催され,各種報告の後,今後5年間の 技術的準備の展望に関して議論が行なわれた. 
・ LCWS13が11.11-15に,東京大学で開催され,ILCとCLICの検出器および加速器の設計に関 して議論が行なわれた.KEKからの参加者は42名,内加速器関係者は18名であった.


図1) 組み立て作業が進むCM1. 
 
図2)Marx電源,クライストロン,DC電源


リニアコライダー計画推進室(2013年10月)
1STF/CFF 
・ Phase 2の準備作業 
- CM1に組込む4連超伝導加速空洞を連結し,8連空洞とした(図1).アライメント,チューナーの取付け,  HOM調整まで終了した.また,伝導冷却4極電磁石の組立てをメーカーで行なって いる. 
- CM2Aに組込むMHI23号機の1回目縦測定を行なった.結果は31.3MV/mと,目標の35MV/mに届かなかっ  たので再処理,再測定を行なう予定.2セル,3セルのクエンチが原因. 
- 高周波源#1,  #2, #3ステーションの立体回路を改造中. 
・ 北京大学製空洞の縦測定 
PKU-04の4回目縦測定を行なった.最大電界は32.2MV/mと前回と同程度であった.
・ 空洞の内作  
- 電子ビーム溶接機が復旧し,KEK-01号機の製造 (HOMの組立て) を再開した.電子銃用高圧ケーブルにつ  いてはケーブルコネクタ部に応力がかからないように固定方法を改良した. 

図1) 8連化されたPhase2用超伝導空洞.

1 ATF
・ クライストロン,クライストロン電源,IP部のレーザー,真空系等に関する作業を行なった. 
・ ビーム運転は10/21に再開する予定. 
1 その他 
ILC計画・国際シンポジウム』が、東京大学伊藤国際研究センターにて、10月15日に開催された。LCC,AAA,東京大学が共催し、KEKが後援した。


リニアコライダー計画推進室 (2013年9月) 
1 STF/CFF
・ Phase 2の準備作業 
- CM1に組込む8台の超伝導加速空洞の内,4台の連結作業,カプラー装着が終了した(図1). 
- Phase2で用いる予定のMarx変調器の試験を進めている(図2).メーカー(米国DTI社)の立会い試験を10月末から行なう予定. 
・ 空洞の内作 
- 絶縁不良を起こした電子ビーム溶接機の電子銃用高圧ケーブルは新品と交換し,復旧した.KEK-01 号機用HOMカプラーの外導体とアンテナの溶  接を行なったが,孔があいたので補修溶接を行なう.また,工数低減を目的としてダンベル簡易研磨機を試作した. 
- 矯正不要なセル形状の開発を進めているが,詳細な寸法測定・分析の結果,プレス金型,強め輪に必要な修正量が定量的に把握できた.2号機以  降の製造に反映させる. 
・ シームレス空洞の製作 
単セル空洞の液圧成形にKEKでは始めて成功した(図3).素材となるシームレスパイプは日米協力事 業の一環としてFNALから供給された. 
1 ATF
・ クライストロンパルス電源1-4号機の更新作業が終了(図4). 今後クライストロンに繋げて試験を行なう.
 図1 4連化されたPhase2用超伝導空洞. 図2 Marx変調器.上部は制御系.

図3 単セルシームレス空洞.内表面はかなり粗い.

図4 更新されたATFクライストロン電源1-4号機.
1 その他
・  第21回LC 計画推進委員会が、8月23日に開催された。 日本学術会議のもとに設置された『国際リニアコ ライダー計画に関する検討委員会』での審議状況が報告された。また、高エネルギー研究者会議・ILC戦 略会議のもとに設置された『ILC国内候補地の立地評価会議」での評価結果が報告された。8/23 付け記 者会見等をとおして公表されたことが、報告された。『ILC の国内候補地として、北上サイトを最適と評価す る』ことが、報告された。また、6月に公表された「ILC技術設計書』と上記の進展を踏まえ、今後ILC が『設 計から実現へ」にむけて取り組むべき技術課題について意見交換が行われた。

リニアコライダー計画推進室 (2013年7月)  
1 STF/CFF
・ 空洞の縦測定
北京大学のPKU-04号機(Large Grain)の3回目の縦測定を行なった. 欠陥を局所研磨したものであ る. 加速電界強度は2回目と変わらず,32.7 MV/mであったが,X線が非常に多かった.なお,KEKでも Large Grain Nb製空洞(単空洞)の製造を開始した(図1).また,今年度後半は,Phase2 クライオモジュー ルCM2A用空洞4台の縦測定を行なうほか, 北京大学PKU-04,H社HIT-02,M社MHI-C,KEK-01な どの試験空洞にたいして縦測定のR&Dを実施する予定である.
・ Phase 2の準備作業
STF棟のトンネルでは,基準線のケガキ作業および床レベルの測量を行なった.下流の床レベルは, 上流の基準に対して2 cm程度低いことが判明した(今年度後半に予定しているクライオモジュールCM1 の設置に支障はない).
・ 空洞の内作
空洞製造設備では,KEK-01空洞用HOMアンテナの溶接を行なっていたが,途中で電子ビーム溶接 機の高圧ケーブルに絶縁不良が発生したため,現在作業は休止している.予備の高圧ケーブルを手 配し,再開は8月末の見込み.縦旋盤の立ち上げ,CP(化学研磨)室への緊急用シャワー設置を行なっ た.


図1 Large Grain Nb製のハーフセル.外周についているのはプレス型の厚さ調整用銅板.
1 ATF
・ 6/21で運転を停止し,夏期の保守期間にはいった. クライストロンパルス電源1-4号機の更新作業中. Linacのクライストロン1号機は内部で放電が発生しているので交換する予定.
1 その他
・ 今年の加速器・測定器合同の夏の合宿は,7/20-23に富山市で開催する.

リニアコライダー計画推進室 (2013年6月)  
1 STF/CFF
・ 空洞の縦測定
MHI-C空洞の3回目の縦測定を行なった. 前回の測定において発熱のあった箇所を局所研磨したも のである. Q値はILCスペックによりも若干低かったが,最大加速電界強度は36.4 MV/mに達した.

・ 空洞の内作
KEKの空洞製造設備(CFF:Cavity Fabrication Facility)で製作を進めている超伝導空洞KEK-01号機
は,8ダンベルが完成した(図1).溶接ビードは,表裏とも目視による限り問題ない.今後エンドグループ の製作等を行ない,7月中旬の完成を目指す.

図1 KEK-01号機用の8ダンベル.
1 ATF
・ ATF2ビームラインにおけるwake fieldを低減することを目的に,final focus 部のベローズにRFコンタクト シールドを追加した(35個中26個が終了).
・ リニアッククライストロン電源4号機パルストランスの高圧ケーブル接続部で放電が発生した.ネジの緩みが原因.他の号機も同様のトラブル発生の可能性がある.
1 その他
・ J-PARCでの放射線被曝事故を受けて,LC定例打合せにおいて,注意を喚起するとともに,ATF,STFについて,放射線等の事故の際の緊急連絡体制を確認し,制御室に掲示した.

1 ECFA-LC2013 からの報告:
5/27-31、DESY にて、ECFA-LC2013 ワーキショップが開催された。GDE によるILC 技術設計 書 が完成後、今年2月、新たに発足したLinear Collider Collaboration (LCC) としては初めての国際 ワークショップであり、今後の更なる技術開発、詳細検討、そして、『設計から実現』にむけた 様々な取り組みが建設的に話し合われた。 DESY で開催されたことから、現在建設中のEXFEL での超伝導加速空洞の製造過程での経験が、丁寧に報告、議論され、とても、充実なワーク ショップとなった。 次回ワークショップは、11/11-15に東京大学にて開催される。
1 ILC Event in Tokyo の開催:
6/12に、東京大学・山上会館において、『設計から実現へ』の活動を記念するイベントが開催さ れる。これは、ILC技術設計書の完成を受け、ILC実現にむけた今後の取り組み/立ち上げを記念 するイベントであり、東京、ジュネーブ、シカゴの三地域にリレーされるイベントとなる。 東京 でのイベントには、LCCディレクターであるL. Evans氏が参加される。


リニアコライダー計画推進室 (2013年5月) 
1 STF 
・ 空洞の縦測定 
北京大学が製作した空洞,PKU-4号機 (large grain Nb 製,TESLA型) の2回目の縦測定を行なった. 1回 目の測定において性能を制限していた欠陥を局所研磨により除去したものである. 最大加速電界強度は 
32.4 MV/mであったが,Q値は,Eacc=31.5 MV/mにおいて1.4x1010と通常のfine grain Nb 製の空洞に比べて 高い値を示した(図1).今後,内面検査,発熱個所の局所研磨後,3回目の縦測定を行なう予定. 
・ 量子ビームは,下流側ビームラインの分解,撤去が終了し,コンプトン共振器,レーザー用機器を撤去中.RF 電子銃の試験を行なうためクライオモジュール上流にビームダンプを設置する予定. 
・ KEK製空洞1号機 (KEK-01)の製作状況:ダンベルの多ダンベル化が進行中 (図2). 

1 ATF
・ ATF2では,Cavity BPM,ビームラインのベローズがwake fieldに与える影響の調査を行なっている.5/13から ビームサイズ37 nmを目指してATF2  Dedicated  Runを2週間連続で行なう予定. 
・ FONTは,機器の較正後,フィードバックの動作試験を行なった. ・ リニアッククライストロンパルス電源の独立化が終了し,エージングを実施した.

図1  PKU-04号機のQ-E曲線. 図2 KEK-01号機用の4ダンベル.

リニアコライダー計画推進室 (2013年4月)

1 STF
・ 空洞の縦測定
MHI-C号機の2回目の測定を行なった.Q値はわずかにILCの仕様を下回ったが,加速電界強度は36.5
MV/mに達した.この空洞は,1回目の測定後アイリス部の研磨を行なったもので,目論み通り,X線は検出さ れなかった.これにより,アイリス部の研磨が電界放出の抑制に有効であることが再確認された.
・ 量子ビーム
3/22,待望のコンプトンX線を検出した(図1,http://www.kek.jp/ja/NewsRoom/Release/20130322115000/ 参照) .また,X線のエネルギースペクトルも測定した(図2,28keVにピーク).今回の成果は,4枚ミラーの支 持機構の剛性を強化したことと,下流ビームラインの大口径化およびX線検出器の位置変更により検出器の バックグランドを低減したことが奏功したものと考えられる.イメージングも試みたが,強度不足のため画像は 得られなかった.「量子ビーム」は所期の目標をほぼ達成し,5年間のプロジェクトを終了した.今後STF棟トン ネルではPhase2の建設が開始され,2014年以降に14空洞によるビーム加速が開始される予定である.
・ IHEP製空洞入力カプラーの大電力試験が行なわれ,目標の仕様 (1.5 ms,  5 Hz,1 MW) が達成された.

1 ATF
・ IP-BSMにおいて,約65 nmのビームサイズ(目標の約2倍)が測定された (図3).ビーム(加速器)および測定 系の安定性向上が今後の課題の一つである. ・ 4/3-4にATF II Progress Review が開催され,最近の成果と今後の計画についてレビューが行なわれた.



リニアコライダー計画推進室 (2013年3月) 

1 STF 
・ 空洞の縦測定
北京大学が製造した9セル空洞, PKU-04(TESLA型,巨大結晶,化学研磨)のプリチューニング,表面処 理,縦測定を行なった.空洞内面に多くの傷があり,未貫通の溶接個所があるにもかかわらず,加速電界強 度は23.5 MV/mに達した(図1).クエンチでリミットされた.Q値は低かったが,フィールドエミッションは,クエ ンチ時を除き観測されなかった.現在,内面観察を行なっており,#3セルの大きな欠陥を確認した.レプリカ をとる予定.なお,この空洞のプリチューニングには,KEK-FNAL-DESY共同開発のチューニングマシンを 使用した.
・ 量子ビーム
4ミラーの振動対策などを実施したが,レーザー共振器は蓄積が不安定で,X線の検出には至っていない. 原因調査中.LLRFとHOMアライメントのスタディは順調.
・ IHEP製の空洞入力カプラーの大電力試験の準備(組立て,ベーキング)を行なった.今月後半に試験を行な う予定.
・ 空洞製造設備
電子ビーム溶接機の冷却水に藻が発生するトラブルが生じたため,溶接作業は休止している.対策を検 討中.KEK-01号機のエンドプレートが完成した.
・ PF-AR東第二実験棟内部の改装を行なっている.今後,各種超伝導加速空洞の縦測定等に用いる予定.

1 ATF
・ 2/9-17  保守:DR-LWのインストール,Linacパルス電源のインバーター化などを実施した.
・ 2/18-3/8 ビーム運転:EXT-WR,EXT-OTRの開発試験,ATF2(レーザー等)の調整.
・ クライストロンパルス電源充放電部2台が搬入された.現行機との入れ替えは夏期停止期間に行なう予定.

1 その他
・ 2/14に第20回リニアコライダー計画推進委員会が開催され,LCを取り巻く国際・国内状況の報告,STF・ ATF・測定器・量子ビーム等の進展の報告のあと,今後の活動に向けた議論,意見交換を行なった.
・ ILCとCLICの2プロジェクトを推進する新組織,LCC(Linear Collider Collaboration)が2月21日に発足し,ディ レクターに,LHCの前プロジェクトマネージャー,Lyn Evans氏が就任した.
  図1PKU-04号機のQ-E曲線

リニアコライダー計画推進室 (2013年2月) 
1 STF 
・ 空洞の縦測定
加速勾配のスタディの一環として,HIT-02号機の 5 回目縦測定を行なった.4回目の測定後にアイリス部 を全て局所研磨し,EP(電解研磨)2後の脱脂洗浄を省いたものである.結果は,38 MV/mであったが,フィー ルドエミッションが4回目の測定時よりも約一桁多かった.アイリス部に問題が残っている可能性がある.
・ 量子ビーム
3月中旬まで加速器の運転を延長することにした.コンプトンX線生成を目指すとともに,LLRF,HOMアライ メントのスタディなどを行なう.現在,4ミラーの振動対策などを実施中.
・ Phase 2 クライオモジュール1用の空洞入力カプラーのコンディショニングを行なった.投入電力は,パルス幅
1.5ms,繰返5Hzで950kWに達した.ドアノブ付近(内導体,外導体,テフロン絶縁板)で放電痕が見られた.
・ 北京大学製の空洞(巨大結晶,化学研磨)のEP,内面検査を行なっている.内面にはかなり傷があり,小さい ものはEPでほぼ消滅したが,大きいものはかなり残った(溶接が未貫通の箇所もある).今後,アニール,プリ チューニング,縦測定(2月末)の予定.
・ 空洞製造設備
KEK-01号機は,ダンベルの2ダンベル化を行なっている.1個目は正常に電子ビーム溶接できたが,2個 目は孔があいた (図1,赤丸部分).溶接個所(赤道部)が設計基準値よりも15%程度薄かったため,入熱過多 により孔があいたものと考えられる.寸法公差の見直しも含め検討が必要.予備のダンベルはないので,プレ ス済みカップからダンベルを製作する. 

図 1 KEK-01号機,2ダンベル.左:1個目(溶接成功)   
右:2個目(溶接失敗,数カ所孔があいた) 
図2 15th ATF2 Project Meeting.
1 ATF
・ 15th ATF2 Project Meeting が 1/23-25 に開催され,ビームサイズに対するWake fieldの影響に関する分 析,今後の計画などについて報告,議論が行なわれた (図2).参加者数はWebEXを含め44名であった.また Technical Borad Meeting が1/24に開催された.4月3,4日にKEKで今回のATF2の成果-特にビームサイズ
70nm達成-に対するGDEによるレビューが行なわれる.
・ 12月のビーム運転の結果,ATF2の6極電磁石(SLAC製)に異常があると推測されたので,調査したところ,6 台の内,1台の挙動がおかしいことが判明した.同種の磁石に交換した結果,IP-BSMのバックグランドが2桁 ほど減少した.
・ この他,FONT(IPでのフィードバック試験),EXT-LW(OTR機器の立上げ)のR&Dを行なった.

GDE
2/6-7に、ILC加速器技術設計書σDR) をベースとしたコスト見積もりについて、外部評価委員会(口 ンドン郊外にて開催)による評価を受けた


リニアコライダー計画推進室 (2013年1月) 
1 STF 
・ 空洞の縦測定
KEK-00号機 5 回目縦測定の結果は,22.4 MV/mであった (図1).フィールドエミッション(17 MV/m以上で 100 mSv/h 超)により制限された.再度測定するか,ジャケット溶接の練習に回すか検討中.
・ 量子ビーム
昨年最後のコンプトンX線生成実験を12/20に行なったが,X線は検出されなかった.原因としては,レー ザー蓄積器ミラーの振動による共振のずれ,RF電子銃レーザーとRFの位相同期のドリフトなどが考えられ る.LLRF関係のスタディなどの課題もあるので,2月以降も実験を続行することにした(1月は冷凍機の保守).
・ マルチビームクライストロンの大電力出力試験は,500μs,5Hz,8.6MWまでコンディショニングを行なった.
・ 空洞製造設備
KEK-01号機は,HOMカプラーの内導体と外導体の仮溶接,赤道部溶接試験を実施した.今年3月末完成を目指す.2号機(矯正不要プレス型の開発),3号機(高圧ガス対応)の検討も進めている.

1 ATF
・ 年内のビームサイズ70nm達成を目指し(最終目標は35 nm),12/10から21まで連続運転を行なった結果,IP- BSM(通称,新竹モニター,図2)により垂直方向のビームサイズ 約70nmを確認した(図3).ただし,バンチあた りの粒子数は目標である1x1010の1/10である1〜2x109であり,粒子数を増やすとビームサイズが急激に増大 するという問題があることが判明した.その原因としては,ベーター関数の大きな場所でのwake fieldが考えら れる.今後原因究明とその対策を進めていく.詳細は,http://accl.kek.jp/topics/topics130109.html参照.
・ 各種保守・維持作業,老朽化対策:ダンピングリング空調用冷却水圧縮機の復旧,リニアッククライストロン用 パルス電源のインバーター化(2, 3, 4号機),などを行なった.

1 会議等
・ ILC PACが12/13-14にKEKで開催され,TDR(のドラフト)完成が大きな評価を受けた.また,ILCシンポジウム とTDR完成発表会(12/15,秋葉原),第19回リニアコライダー計画推進委員会(12/27,KEK),KEK-IHEP SCRF Collaboration meeting (1/7-9,北京IHEP)が開催された. 
図 1 KEK-00号機のQ-E曲線 図2   ATFの全体配置

図3 ATF2  IP-BSMでの測定例.横軸:レーザー干渉縞の位相(ラジアン).縦軸:γ線信号強度.ビームサイズ約 
70nmに相当する.


リニアコライダー計画推進室 (2012年12月) 

1 STF 
・量子ビーム
電子ビームとレーザーの衝突を試みた.共振空洞内レーザーの位相を1度おきに変えてX線強度を測定し たが,現在のところコンプトンX線の確認には至っていない.12/5,6には先端加速器科学技術推進協議会 の加速器実習を行ない,16名が参加した. 12/21までは,HOM-BPM,LLRFデジタルフィードバック制御等 の加速器マシンスタディの時間とし.次のコンプトンX線生成実験は12/20に行なう. 
・ 空洞の縦測定 
MHI-C空洞(社内R&D空洞)の1回目縦測定を行なった.Q値は若干低かったが電界強度は36.1 MV/mで あり, 電解研磨のみで内面研磨未実施の空洞としては,過去最高の値であった.フィールドエミッションも少 なかった.この空洞は9ダンベルを縦置きにし,横打ち電子銃を用いることにより9カ所の赤道部溶接を1バッ チ(つまり1度の真空引き)で行なったものである.将来的には4空洞36カ所の溶接を1バッチで行なう予定であ り,大幅な溶接時間の短縮とコストダウンが期待できる. 
・ 空洞製造設備 
機械工学センターの職員2名が溶接技能者の認証を取得した.これにより,溶接施工法の確認試験を機構 職員が行なうことが可能となった. 


図 1 MHI-C号機のQ-E曲線. 図2 破損したトリガ抵抗.

1 ATF 
・ 11/9に発生したクライストロン2号機の故障原因については,その後の調査の結果,サイラトロンとトリガ回路と を接続するトリガ出力抵抗(図2)の破損が発端であったと考えられることがわかった.劣化などを考慮すると耐 圧が十分ではなかった可能性があるので高耐圧抵抗と交換し,復旧した.しかし,すぐにテールクリッパー抵 抗が損傷した.パルストランスを SLAC5045 のものに交換したため,マッチングがずれたことが原因と思われ る.応急措置として抵抗を2本直列にし,出力電力も下げて復旧した.9号機 (ECS用) を運転して定格エネル ギー (1.3 GeV) は確保した.年末12/21までATF2 Dedicated Run を行なう予定. 
・ 12/7 17:18の地震 (震度4) 発生時,ビーム運転中であったが手動で停止した.その後,扉開放等によりイン ターロックが作動.再立ち上げ後,ダンピングリングを3-4ターンしか回らないことが判明.リングのアライメント がずれたものと推測.12/10から測量を開始した.


リニアコライダー計画推進室 (2012年11月)  これまで

1 STF 
・ 量子ビーム: RF電子銃用レーザーが不安定であったが,外部で位相ロックすることによりほぼ安定化され た.また,衝突点下流におけるビームロスによるバックグランドを低減するため,ビームダクト,Q磁石を大口径のものに交換した.11.20からビームとレーザーとの衝突実験を行なう予定. 
・ 空洞の縦測定:MHI-20の3回目は35.0 MV/m, MHI-18の4回目は36.2 MV/m. いずれもQ値はILCスペッ クを若干下回ったが,合格とし,ジャケット装着へ回すことにした.これで,Phase2用空洞 (MHI14〜MHI22の 
9空洞) の縦測定をすべて終了した.加速電界強度は,16号機の33.8 MV/mを除き,他はすべて35 MV/m を超えたので,クライオモジュールに装着する8空洞は全数,35 MV/mを超えたことになる(図1).また,9空洞 の平均加速電界強度は36.4 MV/m (図2),31.5 MV/mにおけるQ0値の平均は1.03x1010といずれもILCの仕 様を上回った.いくつかの空洞でみられるフィールドエミッションを減らすことと,測定回数(平均で2.4回)を減らすことが,性能に関する今後の課題である.東芝製空洞2号機の3回目測定結果も36.1MV/mと好成績.
・ 空洞製造設備:内作1号機の強め輪溶接,ビームパイプの製作(HOM側,ピックアップ側)等を行なっている. 
・ シームレス空洞の開発:共同研究を行なっているA社製のニオブ材で製作したパイプ(3セル用)の液圧成形を
行なったところ,14.7 MPaで中央セルの赤道部がバーストした.肉厚の不均一性の改善と不純物の低減が
課題と考えられる.

1 ATF 
・ 10/15より秋のビーム運転を開始したが,直後にダンピングリング空調用冷凍機コンプレッサーの故障,ダン ピングリング電磁石電源受電装置の故障が発生した.(仮)復旧後,ビーム運転を再開したが,11/9にクライス トロン2号機が故障した (オイルタンク内で放電が発生.サイラトロンの異常発振が原因と思われる).応急措 置として,パルストランスを別機種のクライストロン(SLAC 5045)のものと交換することにした.

1 会議関係
・ 10.22-26に米国テキサス州アーリントンでLCWS2012が開催され,KEKから23名が出席した.また,11.5-8に 米国Jefferson Laboratoryで,TESLA Technology Collaboration  (TTC) Meeting が開催され,KEKから7名が 出席した.11.13-14にはGDEのInternal Cost Reviewが,11.14-16にはHiggs Factory Workshopがともに FNALで開催された.ILC-PACが12.13-14にKEKで,LCWS2013が2013.11.18-22に東京大学で開催される 予定. 
・ ILC 技術設計書 (Technical Design Report )の加速設計書(TDR-Part-II)ドラフトが纏まり、PAC (Project Advisory Committee) に、11/15付けで 提出された。このなかでは、これまで国際協力による5年間の設計、開発努力を踏まえた、加速器設計が記述されている。また、世界各地の立地候補地が、地域名を含め、紹介されている。ヨーロッパからは、CERN 近郊、デュブナ地域、アメリカからは、Fermilab 近郊、日本からは、北上、脊振地域が候補となっていることが紹介されている。さらに別冊として、上記を踏まえた詳細なコスト評価書が準備された。11/13, 14にFermilabで開催されたGDE 内部でのコストレビューを受けた後、来年1月には、LAL-Orsay研究所において、コストに対する外部評価を受ける予定である。


リニアコライダー計画推進室 (2012年10月)  これまで

1 STF 
・ 量子ビームの状況: RF電子銃の再アライメントを実施(導波管の接続により空洞が傾いたためズレが生じたと 考えられる).2台の空洞のコンディショニングは完了.レーザー共振用の4ミラーは,アライメントがX,Y,Z方 向に最大数mmずれていたため,再調整中. 
・ 空洞の縦測定:MHI-22の2回目は35.8 MV/m(1回目は32 MV/m).Q値はわずかにILCスペックを下回った. フィールドエミッションは若干多めだが合格とする.MHI-18の3回目は30.3 MV/m (2回目は9.7 MV/m),9セ ル以外では40 MV/mを超えている(惜しい).再処理後,再測定する.KEK-00の4回目の測定結果は19.8 
MV/mであった.フィールドエミッションも多かった. 
・ 超伝導空洞開発に関する北京大学への協力:北京大学で製造された空洞(巨大結晶)をSTFで表面処理(電 解研磨),縦測定する件について,中国側担当者 (J. Hao氏) が来訪し,事前打合せを行なった.年内に測 定する予定.
・ 空洞製造設備の状況:内作1号機 (KEK-01) はダンベル形状の矯正,ダンベル多連溶接用治具の設計,強 め輪の挿入,インプット側ビームパイプのバーリング等を行なった. 高圧ガス対応機 (3号機) については, 溶接士資格取得のための溶接練習,工程の検討(完成目標は2014年4月)等を行なっている. 
・ シームレス空洞の開発:単セル空洞でのネッキングが終了.しごいた部分の内表面はかなり荒れている.レプ リカを作製し,形状評価を行なう予定.

1 ATF 
・ ライナッククライストロン電源の更新:ATFでは全部で11台のクライストロン電源を使用しているが(図1),1-7号 機は集中電源となっていて,1台故障すると7台すべてが停止するため,非常に運転効率が悪く,また,老朽 化が著しいため故障頻度が高い.そこで,これら7つの電源を独立化し,あわせて電源の小型化と安定化を はかるためにインバーター化することとし,保守期間中に更新作業を進めている.0号機と電子銃も電源が共 通であるため調整しづらいので,予算が許せば独立化をはかりたい. 
・ 運転再開は10月15日の予定.年末までATF2 Dedicated Run とし,ビームサイズ35 nm達成を目指す.

1 GDE関係
・ TDR (Technical Design Report)の執筆,編集作業が進行中.今年中に完成する予定.

リニアコライダー計画推進室 (2012年9月) 
1 STF 
・ 量子ビームの状況: ミラー(平面,凹面)を用いた光共振器の組立てテスト(@ATF),STFでの共振器用真空ダ クトの組立て(図1)および真空引きを行なった.今後,現地での共振器組立て,ミラー用アクチュエーター制御系,フィードバック系構築等を行ない,10月からビームとレーザーの衝突実験を開始する予定. 
・ 空洞の縦測定:H社製空洞2号機(HIT-02)の2回目の測定結果は40.9 MV/mと9連空洞での国内最高値を達 成した.Q0値もILCの仕様を満足した(図2).特筆すべきは,フィールドエミッションがまったく観測されなかったことで,アイリス部の溶接シームを入念に研磨したことが奏功したものと考えられる.MHI-20の2回目縦測定の結果は,28.5 MV/mであった(1回目は9MV/m).フィールドエミッションは非常に大きかった. 
・ 空洞製造設備の状況:電子ビーム溶接の条件出しは,アイリス部については一応終了し,KEK-01号機のダ ンベルの溶接を行なった.今後赤道部の条件出し,溶接を行ない,10月にはセンターセルを完成させたい. 内作する空洞の高圧ガス規制対応のため,溶接士の資格取得の準備を進めている. 
・ 伝導冷却分割型4極電磁石の冷却試験をKEKにてFNALの技術者と共同で行なった.8日間で4Kに達した. 
・ シームレス空洞の開発:ニオブ材のアニール回数を2段階にすることで伸び率がかなり向上することがわかっ た.今月,単セルでのネッキングおよび液圧成形を行なう予定.
 
   図1 量子ビーム衝突点近傍.右側が上流.         図2 HIT-02空洞の2回目の縦測定結果.
1ATF 
・ 現在,夏期保守作業中.FF電磁石のアライメント,ライナッククライストロン電源のインバーター化の準備等   を行なっている.老朽化したリニアック冷却水冷凍機の修理・交換は来年夏に実施する予定. 
・ IP-BSMのレーザー交差系の改良:定盤上の光学機器を更新し,動作確認を行なった. 
・ ATF2 Weekly Meetingを再開した.

1 会議等 
・ LCレビュー委員会 (7/31-8/2),加速器・物理合同ILC夏の合宿(7/14-17),LC推進委員会 (8/30)が開催さ れた.  10/22-26にLCWS(テキサス),11/13にILCコストレビュー(FNAL)が開催される予定.


リニアコライダー計画推進室 (2012年7月)
1 STF 
・ 空洞の縦測定:M社製空洞19号機(MHI-19)の2回目の測定結果は37.2 MV/mであった.Q0値もILCの仕様を満足した.これで,加速勾配,Q0値ともにILC仕様を満たした空洞は,MHI-12,13,14,15,17,19,21の7台となった. 空洞製造:KEK-00号機については,6月末に3回目の縦測定を行なったが,RFケーブルの故障が発生したため中断した.秋(10月以降)に再測定する予定.KEK-01号機の電子ビーム溶接の条件出しは,始終端部の条件出しを開始した.図1にNbの平板を用いた始点でのスロープインの試験結果を示す.
・ Phase2でクライストロン電源として使う予定のマルクス変調器がSLACから空輸され,STF棟に搬入された (図2). 
s.
図1 平板を用いた始点でのスロープインの試験結果.L:lower focus,U:upper focus.
図2 マルクス変調器(STF棟).                   図3 ATF2 Project Meetingの様子.
1ATF 
・  ATF2 Project Meeting が6/26-28に開催され,6月までの運転状況について,報告,検討がなされた(図3).また,ATF Technical Board Meetingが6/27に開催された.
・ 放射線施設検査(対象は,ATF運転モードの一部変更および放射線遮蔽)が7月6日に行なわれた.
1 その他 
・ KEK-ILC Accelerator R&D reviewを7/30-8/1にKEKで開催する. 

リニアコライダー計画推進室 (2012年6月)  
1 STF 
・ 量子ビームの状況: ビーム加速の成功について,5月29日にプレス発表を行なった.
(http://www.kek.jp/ja/ NewsRoom/Release/20120529140000/).
・ 空洞の縦測定:M社製空洞22号機(MHI-22)の1回目の測定結果は31.5 MV/mであった.また,T社製2号機 (TOS-02,HOM無し)の2回目の測定結果は33 MV/mであった. 
・ 空洞製造:KEK-00号機については,新たに見つかった欠陥を局所研磨で除去した.6月末に3回目の縦測 定を行なう予定.KEK-01号機については電子銃横置き状態での電子ビーム溶接の条件出しを行なってい る (図2).
図2 電子ビーム溶接条件出し.左:横置き電子銃,右:横置きでの溶接条件出し用治具.
1ATF 
・ビーム運転(5/14-5/25):レーザーワイヤーBSMは目標1µmに対して1.2-1.4µmを達成した.その他FONT, 
IP-BSMなどの試験を行なった.次のビーム運転は,6/4-6/15で,6/16から夏期停止の予定.

1 会議等 
・ 5/15-16にILC-PACがFNALで開催された.Technical Design Report (TDR) にむけた加速器設計,技術開 発の進捗について,良好な評価.空洞電界性能,チューナ等の信頼性向上目指した更なるR&D 等につい て議論.


リニアコライダー計画推進室 (2012年5月)
1 STF
・ 量子ビームの状況:ビームモニター(BPM,ワイヤースキャナー,ビームロスモニター等)ならびに制御パ ネルの整備が進み,効率的なビーム調整が可能となった.ビームロスはほとんど無しで加速している. エミッタンスは6 mm mrad (目標 1 mm mrad).地上への放射線の漏洩が問題.発生源は主にビームダ ンプである.5月中に遮蔽を強化して施設検査を受け,出来るだけ早く加速器としての認可を得たい.5 月には,4ミラー光共振器の設置,RF電子銃の冷却水チラーの強化も行なう予定.
・ H社製空洞2号機(HIT-02,HOMカプラー付き)の縦測定:4/26に1回目の測定を行なった.内面に多く の欠陥が観察されたにもかかわらず,結果は 35 MV/mと予想外に高い値であった.RF電力の限界で 制限された.フィールドエミッションが非常に大きかったが,アイリスの傷や欠陥が原因と考えられる.
・ KEK-01号機は,引き続き,Nbの平板を用いた電子ビーム溶接の条件出しを行なっている.KEK-02号 機(高圧ガス対応)の検討を開始した.

1 ATF
・ ビーム運転(4/16-4/27):エミッタンス測定のほか,Cavity Compton,FONT,Cavity BPM,IP-BSM等の R&D.
・  運転停止(4/30-5/11):SLED用位相変調器の点検修理,レーザー用フラッシュランプの交換などの保 守作業を行なった.5/14運転再開予定.

1 GDE
・ GDE meeting (KILC12)が4/23-27に韓国大邱で開催された (図1).TDR (Technical Design Report)に 向けた基本方針を確定.URL :  http://kilc12.knu.ac.kr/
・ LC推進委員会を6/11に開催予定.議題は,STF,ATFの将来計画など.
・ 加速器,測定器合同 ILC夏の合宿を7月中旬に佐賀県で開催する予定.


図1 KILC12の参加者.
新体制:4/1付けで,リニアコライダー計画推進室長に,山本明教授,副室長に早野仁司教授が就任した.
 

リニアコライダー計画推進室 (2012年4月) 

1 STF 
・ 量子ビームの状況:3月22日のRF電子銃試験において,RF電子銃空洞内のRF振幅と位相にデジタ ル フィードバックをかけ安定化し,さらに照射レー ザーを調整する事によりビーム強度がフラットな1msビー ムを取り出す事に成功した(図1).さらに4月13日には,RF電子銃からのビームを2台の超伝導空洞で加 速し,ビームダンプまで輸送することに成功した(図2).エネルギー 40 MeV.バンチ数28,繰返し 5 Hz. 
・ KEK-00号機の縦測定.1回目の測定結果は 19 MV/mであったが,これはRF入力ケーブルのコネクタ における発熱が原因であり,空洞により制限されたものではなかった.翌週,ケーブル交換後,2回目の 測定を行なったところ,結果は 29 MV/mであった(図3).2セル湾曲部での発熱により制限された. 
・ MHI空洞の縦測定:20号機1回目の測定結果は 9 MV/mで歴代2位の低電界であった.21号機1回目の 結果は 39 MV/mで歴代2位の高電界(1回目の測定としては,過去最高値)であった. 
・ KEK-01号機は,Nbの平板を用いた電子ビーム溶接の条件出しを行なっている (図4).

絵をクリックすると拡大されます。
図1 電子銃から出た 1 ms 幅の電子ビーム 図2 衝突予定地点でのビームプロファイル. ビームサイズは 1 mm (FWHM)

図3 KEK-00号機の縦測定結果.1回目19 MV/m,2回目29 MV/m.

 図4 Nbの平板(厚さ2.0  mm)に対する溶接ビード.
1 ATF 
・ IP-BSM,Laser Wire,Cavity BPM等のR&Dを継続中.アッセンブリーホール外壁の修復工事は完了.

1 GDE 
ILC-GDEとの協力
・ILC Technical  Design Phase (5カ年計画)における技術開発成果を集約し,Technical Design Report (TDR)を2012年末までに完成すべく執筆作業を進めている.4/23〜26に韓国,Dageu にて,TDRにむけ たGDE-測定器の合同会議でTDR にむけた内容の集約が進められる.
国内での協力 
・ILC 国内候補地の地質調査を,KEK が要となり,九州および東北地域でコアとなる大学と協力し,地質 調査を進める準備が進められている.  

リニアコライダー計画推進室 (2012年3月)  

1 STF
・ 量子ビームの状況:2月27日,RF電子銃からのビーム取り出しに成功した.図1は2月29日の測定におけるシケイン下流に設置されたスクリーンモニター画像と電流モニター波形. バンチ数はビーム位置モニターの波形に示されているように,35バンチ/トレイン. ビームエネルギーは3.7 MeV,ビーム電荷量は5.0 nC (すなわち0.14 nC/バンチ). ビームの超伝導空洞による加速試験は4月に開始される予定であり,バンチ数は最終的には162,500バンチを目指している.
・ MHI-019号機の縦測定(1回目)の結果は,26 MV/mであった.一方,ERL入射部用2セル空洞2号機の5回目の測定結果は50.4 MV/mと初めて50 MV/mの壁を突破した(図2).HOMアンテナの改良が奏功したものと思われる.状況は,一歩後退,二歩前進.

1 ATF
・ IP-BSMによるビームサイズは,調整の結果, 震災前のデーター300  nm の約半分である  165 nmに達した (図3).測定結果の再現性確認,S/N比の改善等を進めている.

図1 STF量子ビーム用RF電子銃から取り出されたビームのスクリーンモニター画像(左)と電流モニター波形(右,水色はビーム位置モニターの信号,紫は積分型電流モニターの波形).
図2 ERL入射部用2セル空洞2号機の縦測定結果.   50 MV/mを突破した.  図3 ATF2 IP-BSMによるビームサイズの測定結果.     ビームサイズは約165 nm.

リニアコライダー計画推進室 (2012年2月)  

1STF 
・ 超伝導空洞の縦測定結果:MHI-016号機は35.0 (1回目),33.8 MV/m (2回目).T社製空洞2号機は 31.0 (1回目),31.2 (2回目) MV/m (図1).安定して高い勾配が達成されている. 
・ 量子ビーム実験用の加速器が完成した.冷凍機の完成検査は2月8日,ビームONは4月3日の予定. 
・ 超伝導空洞の内作0号機 (プレスはKEK,EBWは外部) が完成した (図2).1号機はハーフセルのプレス,EBWの条件出しを進めている.

1ATF 
・ IP-BSMによるビームサイズは,420 nmに達した.今年度内中に35 nm達成をめざす.

1会議等
・ 13th ATF2 Project Meetingが1.11-13に開催され,震災復旧状況・問題点の確認と解決への方策につ いて議論した(図3).URL:http://atf.kek.jp/collab/md/projects/project_frame.php?project_page=1 
・ ILC Main Linac & SCRF Baseline Technical Review が1.19-20に開催され,TDR(Technical Design Report)に向けて,主リニアックおよび超伝導加速に関する基本方針を固めた(図4).参加者は44名.URL :http://ilcagenda.linearcollider.org/conferenceDisplay.py?confId=5444

図1 T社製空洞2号機のQ-E曲線

図2. 完成したKEK製超伝導空洞0号機

図3 13th ATF2 Project Meetingの参加者 図4. ML&SCRF BTRの参加者

リニアコライダー計画推進室 (2012年1月)  
1 STF
・ 超伝導空洞の表面処理において,電解研磨後に空洞内面に傷が出現する現象が多発している.局所 研磨により修復可能ではあるが,コスト増,製造時間増につながるので,原因究明および対策が今後の 大きな課題である.
・ 量子ビーム実験の準備を進めている.図1にビームダンプ側から見た装置の配置図を示す.加速器の 完成目標は今月末.
・ 超伝導空洞の内作0号機(プレスはKEK,電子ビーム溶接は外部のジョブショップ)は最終段階のエンド グループの溶接で穴があいた.補修溶接を行なう予定であり,1月中の完成を目指している.

1 ATF
・ IP-BSMの測定において,現状のビーム状態で600 nmのビームサイズが測定できた (震災前は300 nm, 最終目標は35 nm).その他,FONT,IP-BPM,Cavity Compton 4 mirror等のR&Dを行なった.
・ LUCX(Laser Undulator Compton X-ray source)を用いたレーザーコンプトン散乱X線イメージング試験 において,図2に示すようなX線像が得られた.今後,電子ビームのバンチ数を増やすことによりX線の強度 を増強し,より短時間での測定をめざす.

1 会議等
・ 第15回リニアコライダー計画推進委員会が2012.1.10に開催された.議題は以下の通り.
1. LHCの最新結果を受けて (川越)
2. 加速勾配の現状と見通し (加古)
3. リングコライダーによるHiggs Factory (生出)
4. コストの現状と見通し (山口),およびコメント (山本明)
5. 意見交換

図1 量子ビーム実験用装置の配置図.右上から左下に向けて,電子銃,クライオモジュール,レーザー衝突点,X線測定器,ビームダンプ.

図2. イメージング試験の結果.資料は集積 回路.エネルギーは30 keV.測定時間は約1時間 (8,000 shot).


ballリニアコライダー計画推進室 (2011年12月) 

STF
・ 量子ビーム用のクライオモジュール(9連空洞が2台入る)がSTF棟地下トンネルに設置された(図1).
今後の予定は以下の通り.
2012年1月  ビームライン等の整備を完了.
2012年2月  クライオモジュールの冷却開始,空洞低電力試験.
2012年3月  空洞大電力試験,ビーム加速試験開始.
2012年10月 レーザーと電子ビームの衝突実験 (超伝導加速器による小型高輝度光子ビーム源の
性能実証試験).
2012.11月   量子ビーム実験終了.

・ S1-Globalで使用したクライオモジュールの内,ヨーロッパとアメリカの空洞を収納したクライオモジュール の解体作業を行なった.カプラーの解体はDESY,FNALの研究者により,また,チューナーの解体および チューナー不作動の原因調査はIFNF,FNALの研究者により行なわれた(図2).

図1 STF棟トンネルに設置された量子ビーム用クライオモジュール.                        

図2 S1-Global 空洞チューナーの解体作業.

ATF
・11.28から12.16までビーム運転.IP-BPM,FONT,ATF2,LW等のR&Dを行なう予定.
会議
・ TTC meeting (2011.12.5-8,IHEP). 
・ ILC-GDE SCRF Meeting (2011.12.8-9,IHEP).S1-Globalの結果についての議論も含む.
・ 第15回LC計画推進委員会 (2012.1.10,13:30-15:30).議題は,LHCの結果,空洞性能,コストなど. 
・ 機構の研究推進に関する意見交換会 (ILCについて)」 (2012.2.13,13:00-17:00).


リニアコライダー計画推進室 (2011年11月) 

1 STF
・ Phase2用超伝導空洞の電解研磨(EP1),アニール作業が進行中.
・ 「量子ビーム」プロジェクトの準備(各機器の設置,配線,配管,クライオモジュールの組立)が進行中.
- ビームとレーザーの衝突点近傍のCG図 (図1)
・ STF棟の空調機の修理が完了.
・ ERL入射部用2セル空洞3号機の縦測定(2回目)を行なった.
- 加速電界強度は,目標の15MV/mを2倍以上上回る33MV/mに達成. (図2)
- フィードスルーの改良(外導体をコバールから銅に 変更,アンテナのローだれをCP処理した)が奏功.

図1 「量子ビーム」衝突点近傍の図. 
電子ビームは右上から来て,左に出ていく.

図2 ERL入射部2セル空洞の縦測定結果

1 ATF
・昼間にビーム運転,夜間にアライメント作業を行なっている.
・ATF2のアライメント調整は終了した.
・ビーム運転:DRの入射・蓄積調整の結果,1x1010e-/バンチまで蓄積できた.
・IPBSM(新竹モニター)によるビームサイズ測定は11月中に300nm達成をめざす.


リニアコライダー計画推進室 (2011年10月)  

1 STF
㻿㼀F ・ Phase2用超伝導空洞(15, 16, 18, 19号機)の表面検査,電解研磨が進行中.
・「量子ビーム」プロジェクトの準備として以下の作業を行なった.
- 入射部の構築.
- ビームラインの構築 - 電磁石電源,真空機器,ビームモニター等の設置 (図1).
- 空洞の入力カプラーのコンディショニングが完了.空洞への取付け作業をクリーンルームで 行なっている.
- 㻾F電子銃空洞のコンディショニング中.目標の4MW, 1msまで到達.
- 高圧ガス設備としての変更申請.
- 管理区域の変更.フェンスの設置.
・「㻿㼀F加速器」の新設が9/28付けで承認された.来年1月に主任者検査を受検予定.

図1 量子ビーム用ビームライン. 左下のオレンジの架台の上にクライオモジュールが設置され,右側のブルーの架台周辺にコンプトンガ ンマ線発生用の機器が設置される予定.

図2 入力カプラーの取り付け作業.

ATF
・D㻾のアライメントを継続中.取出し部〜A㼀F2の水準測量を開始した.
・IPB㻿M(新竹モニター)安定化作業として,レーザーシステムの確認と光軸調整を行なった.
会議
・ 9月26〜30日に㼀he 2011 International Workshop on Future Linear Collider がスペインのグラナダで開催され,ILC,CLICの加速器,測定器に関するレビューが行なわれた.KEKからは関係者21名が出席した.


リニアコライダー計画推進室 (2011年 9月)  

1 STF
・加速器研究施設が機械工学センターと共同で整備を進めてきた空洞製造技術開発施設が開発共用棟の中に完成し,2011年7月13日、運用開始記念式典が行なわれた(図1).本施設には,電子ビーム溶接機をはじめ,プレス機,トリミング用縦旋盤,化学研磨装置,3次元形状測定器が設置されており,本施設の稼働により,リニアコライダー,ERLといった先端加速器の主要機器である超伝導加速空洞の製造・表面処理・性能測定がすべて機構内で実施できることになる.

図1 空洞製造設備運転開始記念式典におけるテープカット.

 図2 ATFの共同研究者受入延人数.


ATF
・電子銃単独運転モード(DR,ATF2は立入可能) への対応を行なっている.地震後の各機器の修理・動作確認・調整等を行なっている.
・過去5年間のATFにおける共同研究者の受入れ人数(単位:人・日)を図2に示す.2010年度は海外からの来訪者が約1,000人増加しているが,これはLALの研究者が増えたことによる.

会議
・ 7月12日に第14回リニアコライダー計画推進委員会が開催された.ATFの将来計画,STFの将来計画,ERLとの協力,組織・サイト決定の構想について報告,議論がなされた.
・ 7月25〜29日に5th International Conference on RF Superconductivity (SRF2011) がシカゴで開催された.KEKからはLC関係者の他,ERL関係者も出席した.また,会議の前日7月24日には,サテライト会議として,超伝導空洞の工業化に関するワークショップが開催され, 日本の超伝導空洞製造企業の技術者からも発表があった.
・ 8月8〜11日に加速器・物理合同ILC夏の合宿2011が志賀高原で開催された.67名出席.来年は九州で開催する予定.


リニアコライダー計画推進室 (2011年 7月) 

1 STF
・ S1-Global解体:RFシステム(クライストロン,クライストロン電源,LLRFシステム)の撤去に続き,クライオモジュールをトンネルから地上へ移動し,内蔵物の解体作業を行なった.また,冷却試験の際に動作しなく なったチューナーの故障原因についての調査を行なっている.
・ 超伝導空洞の内作0号機(プレスは機構内,EBWは外部のJob Shopを利用)は,2ダンベル4個→4ダンベル2個→8ダンベル1個が出来上がった(図1).エンド部を含め,9月末の完成をめざす.
・ ERL入射部用空洞(2セル)の3,4,5号機が納入され(図2),3号機に対し縦測定を行なった.1,2号機で は,HOMカプラーの発熱により加速勾配が制限されていたので,今回,HOMカプラーのRFコネクターに サーマルアンカー(銅製,図3)を取り付け,冷却効率の向上をはかった.縦測定の結果は25 MV/mであり, 2号機の13 MV/mから大幅に改善した.4号機では,さらなる改善を目指し,熱伝導の良いフィードスルーを用いて測定を行なう予定である.
・ 量子ビームの準備:トンネル内は,ほぼ更地にした.今後,RF電子銃用とコンプトン用のレーザーが搬入される予定.
1 ATF
・ ダンピングリングは1.2x1010 e-/バンチ蓄積できるまで回復した.エミッタンスも23 pmと予想外に良い値 が得られた.電磁石のアライメントについては現状の確認を行なっているところであり,今後夏期保守期間 中に精密アライメントを行なう予定である.
・ その他の復旧作業として,新竹モニター光学系の復旧,FONTシステムの動作確認(オックスフォード大 学),レーザーコンプトンシステム (LAL 4ミラー)の動作確認,Cavity BPMの稼働試験,常伝導小型電子加速器(LUCX)の試験等を行なった.ビーム運転は6/30に停止した.

図1 超伝導空洞内作0号機(8ダンベル).
図2 ERL用2セル空洞3,4,5号機  図3 サーマルアンカーを付けたRFコネクター.

リニアコライダー計画推進室 (2011年 6月) 1

1
◯ STF
・ 超伝導空洞MHI17号機の縦測を行なった (図1).これで12号機以降の歩留まりは,2回の測定で50% (=3/6)となった(目標は90%).表面処理方法は確立の域に近づいたものと思われるが,電子ビーム溶接の 方法には改善が必要と考えられる.
◯ ATF
・ 5/25にビーム調整運転を開始した.5/26にはリニアック終端までビームが到達し,5/31にはダンピングリ ングを1周した.さらに6/2にはATF2のビームダンプまでビームを輸送することができた.ビーム透過率は地 震前と比べるとかなり低い状態にあるが,夏期保守期間中にアライメント調整を行なって,秋の運転から は,地震前の状態を再現させたいと考えている.

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図1 超伝導空洞(MHI製1-17号機)縦測定の結果 図2 ATFのビーム試験結果

リニアコライダー計画推進室 (2011年 5月) 1 

1
◯ STF関係
・ 超伝導空洞の電解研磨処理,純水洗浄,内面検査を再開した.縦測定も近日中に再開する.
・ 大電力を使用するクライストロン,カプラー等の試験は冷却水が復旧する6月中旬開始予定.
・ 空洞の溶接シーム内側で電解研磨前には無かったピットが研磨後に見つかった問題に関し, メーカー側と対策を協議した.
・ 電子ビーム溶接機が4.12に開発共用棟 (旧PSエネセン)に搬入された (図1).据付調整および トレーニングを行なう予定のドイツ人技術者の来日が,渡航自粛のため遅れていたが, 5.23に来 日し,据付が開始されることになった.一方,外部の電子ビーム溶接機を使用して製作中の試作1 号機は,12個のダンベルが完成した.また,スティフナー(強め輪)の内作を開始した(図2).
◯ ATF/ATF2関係
・ 3.11の地震で崩落した電源ケーブルラックが復旧した (図3).
・ 破損したベローズ(DR)の修理・交換を行なった. 真空システムはすべて復旧した.
・ ビーム軸のアライメント,回転の測量, ATF2のコンクリートシールドブロック再設置を開始した.
・ 冷却水は5月下旬までに復旧の予定.その後,6月上旬にビーム調整運転を開始する予定.

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図1 搬入された電子ビーム溶接機. 図2 プレス加工で製作したNb製強め輪.
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図3 ATFのケーブルラック.左:復旧前(2011.3.14),右:復旧後(2011.4.22).

 


リニアコライダー計画推進室 (2011年 4月) 

地震被災状況・復興状況
◯ STF関係
・ STF棟建屋は,目視した限りでは無傷であり,装置も,ターボ分子ポンプが1台破損しただけで あった(図1).EP設備,HPR設備,クリーンルーム等は試運転を行ない,正常動作を確認した.
・ 機械棟に設置されている冷却水設備の一部に損傷があった (冷却配管の座屈(図2)等).冷凍 機,冷却塔にも損傷がみられ,これらの復旧には約1ヶ月を要するため,カプラーの大電力試験 等,冷却水を必要とする試験は6月以降(の夜間)に延期することになった.

◯ ATF/ATF2関係
・ 施設関係では,電源(420,210V)ケーブルがラックごと崩落した(図3).また,シャッター(全部), 窓ガラス,外壁等に損傷があった.アッセンブリーホールは現在も一部立ち入りを制限している.
・ リニアック下流の電磁石が北側に数cm移動したため,ビームダクトに亀裂が発生した(図4).ま た,ビーム輸送ラインの電流モニター絶縁用セラミックが破損した(図5).両者とも復旧済み.
・ ライナック,ATF2のコンクリートブロックにズレ(最大約5cm),隙間が多数発生した.
・ 連休開けの運転再開を目指して復旧作業,簡易アライメントを行なっている.
      
図1 ターボ分子ポンプの羽根.  図2 機械棟冷却水配管.  図3 崩落したケーブルラック
   
図4 ビームダクトの亀裂.           図5 電流モニター絶縁用セラミックの破損.


リニアコライダー計画推進室 (2011年 3月) 

1 STF
・ S1-Global:
DRFSシステムのRF制御試験を行なった.パルス内の振幅位相安定度は0.017%,0.027°であり目標の0.1%,0.1°を十分下回った(図1).さらに,サーキュレーターを省いた場合の特性試験,空洞特性(Q値,離調)の診断の試験などを行ない,2/25にS1-Global全ての試験を終了した.
・ 空洞縦測定:
#14,#15号機は電界強度が低かったが(既報),空洞内面で見つかったピット,キズが原因と考えられる.修復して再測定する予定.

図1 DRFSシステムにおけるパルス内振幅位相安定度(0.017%,0.027°).

1 ATF/ATF2
・ 2/16 午後0:35,クライストロン電源(#0号機)から火災が発生した(コンデンサー1台が焼損.ハード,ソフト(ロジック)両面に不具合があった.当該電源は取り外し,代替電源と入れ変えた.現在,立ち上げ作業中.

1 3. 会議
・ Tesla Technology Collaboration (TTC) Meeting が2/28-3/3にMilanoで開催され,SCRFならびに関 連する加速器に関する報告,議論が行なわれた. また,S1-Globalの機器の解体.チューナー不具合 確認作業等についての打合せを行なった.



リニアコライダー計画推進室 (2011年 2月) 

1 STF
S1-Global:
MAクライストロンと空洞を接続し,DRFSの実証試験を開始した(図1).投入RF電力は,2/4現在,CM-Cの2空洞が18MV/m,CM-Aの2空洞が32MV/m.S1-Globalは今月で終了する予定.
・ 空洞縦測定:
MHI-15(Phase2用)の縦測定が行なわれたが,22.5MV/m,Q0=1×1010でクエンチした.原因を調査中.
・ LL空洞:
ICHIRO#7空洞の表面処理(電解研磨(EP)および洗浄),縦測定をJLabで行なってきたが,3回目の縦測定において,40 MV/mを達成した(図2).フィールドエミッションの開始電界強度は約18MV/m.今回は,エンドグループの洗浄を入念に行なった.クエンチ箇所は,Second soundsensor の測定から8セルの湾曲部と同定され,内面検査の結果,欠陥らしきものが見つかった.縦測定後のフィールドフラットネスは94%であった.今後,測定を続行し,45MV/mを目指す予定.

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図1 S1-GlobalのクライオモジュールとDRFS用MA-クライストロン

1 ATF/ATF2
・ 1/13-14にATF2 Project Meetingが,1/14にATF Technical Boardmeetingが,SLACで開催され,現状報告,将来計画に関する意見交換が行なわれた.

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図2 LL空洞のJLabにおける縦測定の結果.

1 Baseline Assessment Workshop 2が1/18-21にSLACで開催され,ReducedBeam Parameter set および PositronSource Location についた議論された.


リニアコライダー計画推進室 (2011年 1月) 

1 STF
- 空洞の高電界性能試験は2010年12月で終了した.7空洞運転時(~26MV/m)におけるRF の安定度は,振幅0.007%,位相0.017°であった. - 引き続きDRFSシステム実証試験のため,Modulating Anode (MA)Klystron (最大ピー ク電力 800kW)2台をSTF棟トンネル内に設置した.また,立体回路の配管をほぼ終了した (図1).2011年1月中旬から 実験開始の予定.
・ ラボEP装置の設置:超伝導空洞の電解研磨における条件の最適化,素過程の解明等を目的 に,微小サンプルに対する電解研磨を行なうラボEP装置を化学実験棟に設置した.今月中旬に 稼働開始の予定(図2).
・ シームレス空洞の開発:超伝導空洞の赤道部およびアイリス部のシーム(通常,電子ビーム溶 接により接合する)を無くした空洞の開発を再開した.従来の材料は,プレス絞り成形後,溶接され たものであったが,今回の材料は溶接箇所の無いものである.第一段階の工程であるネッキング が終了し,2月下旬に第二工程である液圧成形を行なう予定.
・ IHEPとの協力:昨年末に行なわれた,IHEP-KEK間の超伝導空洞に関するワークショップでの 議論を受けて,IHEPにおいてもKEKが提案しているTESLA-like型空洞の開発を行なうこと,KEK はそれに協力することが合意された.

1 ATF/ATF2
・ 12/17でビーム運転は終了.その後,以下の試験を行なった.新年の運転開始は1/24(月)の予定.
- 4極永久電磁石の設置とそのビーム試験 (京大).
- 3.5セルRF電子銃のビーム試験.

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図1 STF棟に設置されたDRFS用MAクライストロン.     図2 化学実験棟に設置されたラボEP装置.


ballリニアコライダー計画推進室 (2010年 11月) 1

1 STF
・ S1-Global:クライオモジュール(CM)に組み込んだ超伝導空洞8台 (FNAL 2台,DESY 2 台,KEK 4台) のプロセスを終了した.加速電界強度Eaccは,縦測定での平均値が30MV/mで あったのに対し,CM内のテスト(HT)では28MV/mとなり,10%以内の低下におさまった(図1).その 後,LFD (Lorenz Force Detuning) の試験,ピエゾチューナーの試験等を行なっている.
・ 空洞の量産化に向けた新工法の検証・確立を目的にMHI社が試作した試験空洞 (MHI-A) の 表面処理,縦測定を行なった.結果はEacc=28.7 MV/m,Q0=1.0x1010であった.またMHI-12の 縦測定結果は37.5 MV/mとなり,1回目の測定としては過去最高値を記録した.
・ 事故:ERL主空洞の縦測定後の昇温時に,液体Heのトランスファーチューブを損傷する事故が 起きた(10/4).また,液体Heデュワーへトランスファーチューブを挿入する際,Heガスが噴出し, 作業員が手に軽い凍傷を負った(10/27).10/29に関係者に対する安全教育訓練が行なわれた.

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図1 S1-Global用超伝導空洞の縦測定=VT(青)と横測定=HT(クライオモジュール内)(赤)の比較.
Eacc [MV/m]:FNAL&DESY空洞:31.4(VT)→25.1(HT),KEK空洞:28.8(VT)→30.3(HT).


1 ATF/ATF2
・ Fast Kickerで30バンチの連続取出し試験を行った.ビーム蓄積率が漸次減少する問題あり.
・ Cavity Compton : Laser Free Run 測定(DR周回にlockさせない状態)でCompton信号を確認.


ballリニアコライダー計画推進室 (2010年 10月) 1 

1 STF
・ S1-Global:超伝導空洞のプロセスを行なっている.縦測定の値を上回ったものもあるし,下回ったものもある (原因は何らかのコンタミと考えられる).途中で,2台運転中のクライストロン電源の内1台が故障 (IGBTが全数破損) したため計画に遅れが生じている.
・ 空洞縦測定:量子ビーム用の空洞2台が納入され,受け入れ検査を行なった.
・ 内作を進めている超伝導空洞のプレス加工を,空洞製造設備に整備されたプレス機を用いて行なった.ダイスの修正加工を数回繰り返した結果,±300μmの寸法精度で成形することができ
た (図1参照).


1 ATF/ATF2
・ 新型RF電子銃 (モード分離型,3.5セル) をATFリニアックにインストールした.RF processingは12MWまで完了 (ビーム運転は 9 MW).エミッタンスの改善が期待できる.
・ ATF2のFinal Doublet,QF1およびQD0が,機械的水平面に対し,各々約-5.2 mrad,+2.7mrad 回転していることが判明したため,再アライメント (回転) することにした.

 

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図1 KEKでプレス加工されたNb板
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図2 ATFリニアックに据え付けられた新型RF電子銃

ballリニアコライダー計画推進室 (2010年 9月報告:7,8月分)  

1 STF
・ S1-Global:クライオモジュールの冷却試験,超伝導空洞/チューナの低電力高周波特性の 測定を行なった.図1に冷却試験の結果(LDSとWPMの比較:必ずしも一致しない)を示す.

・ DESY-FNAL-KEK共同開発のプリチューナーがFNALからKEKに納入された(図2).

・ 空洞縦測定:MHI10号機の3回目縦測定を行なった.結果は19.5 MV/mで前回より低下した.ま た,LL空洞7号機の縦測定をJLABで行なった.3回測定し,結果は15,21,27 MV/mであった.

1 ATF/ATF2:
・ 老朽化したリニアックのクライストロン電源2台を昨年度の補正予算で購入した新品と交換した.
・ レーザーコンプトン散乱による陽電子生成のためのLAL 4ミラー蓄積空洞がダンピングリングに 据え付けられた.

1 会議など
・ 第12回リニアコライダー計画推進委員会が7月13日に開催された.前回委員会以降の研究活動 報告が中心であった.機構長から2012以降のILC(ATF+STF)の活動の提案をせよとの宿題が出さ れた.
・ 加速器・物理合同ILC夏の合宿が8月9~12日,宮城県鎌先温泉で開催された.参加人数59名. 専門家による15件の講義と学生による11件の研究発表があった.
・ 1st Baseline Assessment Workshop (BAW-1)が9月7~10日,4号館セミナーホールで開催され た.BAWは,ILC設計見直しの第一歩としてまとめられたSB2009提案の内,主要な4項目を検討 するためのもので,BAW-1では,以下の2項目について議論された.参加者は63名.
1) Single-tunnel main linac design and high level RF system
2) Accelerator field gradient for SCRF cavity 

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図1 クライオモジュール冷却試験の結果
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図2 STF棟に納入されたプリチューナー装置.

ballリニアコライダー計画推進室 (2010年 6月分) 1

1 STF
・ S1-Global:クライオモジュールAおよびCの冷却試験,ならびに収納された8台の超伝導空洞 (日本製4台,DESY製2台,FNAL製2台) の低電力高周波特性の測定を行なっている (図1).
・ 空洞縦測定:日立製空洞 (HOM無し),IHEP製空洞 (巨大結晶,化学研磨,HOM無し),東芝 製空洞 (HOM無し)に対し,1回目の縦測定を行なった.結果は各々,35MV/m,20MV/m, 8.6MV/mであった.日立製空洞は,内面に茶色のシミが多数あったにもかかわらず,歴代2位の 高勾配であった.IHEP製空洞の縦測定準備風景を図2に示す.

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図1 クライオモジュールA(奥)とクライオモジュールC(手前)での低電力高周波特性測定. 図2 縦測定の準備中のIHEP製9セル超伝導空洞.
1 ATF/ATF2:
・ Fast Kickerによる30バンチ取り出しに成功した.しかし, バンチ強度が低く,かつ一定ではない.
・ 運転は,6/18で終了.現在夏期保守作業中.クライストロ ン電源の内の2台(#0,#8)の更新作業を行なっている.
・第10回ATF2 Project Meetingが6/30-7/2に,TB (Technical Board)が7/2に,KEKにおいて開催され,ATF/ ATF2の現状および将来計画について議論が行なわれた. 参加者は51名.

ballリニアコライダー計画推進室 (2010年 5月分)

1 STF
・ S1-Global:日本製空洞を収納したクライオモジュールAとDESY,FNALの空洞を収納したモ ジュールCの組立て作業が完了 (図1),真空リークチェックも終了.6/7から冷却開始の予定.ま た,地上では,導波管系の仮組立てが進行中(図2 ).
・ 空洞縦測定:MHI-010の1回目の縦測定を行なった.結果は24 MV/m.#1セルでクエンチの模 様.
・ RF電子銃のRFコンディショニング(磁場を印加),第二電解研磨設備の全配管の分解検査およ びシール交換等を行なった.

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図1 連結されたクライオモジュールA(左)とクライオモジュールC(右).

1 ATF/ATF2:
・ 5/17-21,ATF2ビーム調整専用運転.衝 突点における垂直ビームサイズを最小 310nmまで調整した.
・ダンピングリングのビーム位置モニター用 読出しシステムの変更,ATF2へのOTRモニ ターのインストールなどを実施した.

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図2 S1-Global用立体回路(仮組).

1 その他
・ “Review on Design Study of the ILC Conventional Facility in Mountain Regions”が6/1-2にKEKで開催された. レビューアーは,議長のVictor R. Kuchler (FNMAL)以下11名.

ballリニアコライダー計画推進室 (2010年 4月分)
STF
・ S1-Global:日本製空洞を収納したクライオモジュールAとDESY,FNALの空洞を収納したモジュールCの配管接続作業をトンネル内で行なっている.組立て完成は5月末の予定.
・空洞縦測定:MHI11号機の測定結果は,5MV/mであった.内面検査を行なって,原因究明中.
・H社,T社が製造を進めていた9セル空洞が完成した.6,7月に縦測定を行なう予定.
・ RF電子銃(図2)のRFコンディショニングを行なっている.現在,パルス幅500μs,ピーク電力 1.6MWまで到達.今後は仕様の1ms幅で1.6MWまで行なったあと,ソレノイド磁場をかけて再度プ ロセスする.

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(図1)納入されたMBK

1 クライオモジュールAとCの連結作業
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RF電子銃とRF電力給電用導波管

ATF/ATF2:
・ 4/12-26運転.衝突点でのwake fieldに起因すると思わ れるビームサイズ増大を低減するため,IP-BPMを撤去し たところ,ビームサイズ(y方向)は1.8μmから0.9μmに減 少した.
・ 4/26から保守.クライストロン関係の故障対策など.
・ 5/10運転開始.5/17-21はATF2ビーム調整の予定.

1その他
TESLA Technology Collaboration (TTC) Meeting が,2010.4.19-22にFNALで開催された.KEKからの参 加者は10名.会議後,FNALにて超伝導空洞内欠陥の レプリカ製作のデモを行なった(下). 
1

ballリニアコライダー計画推進室 (2010年 3月分)
STF
・ S1-Global:DESY,FNALの空洞を収納したクライオモジュールCは,トンネルに設置され,配管作業を行なっている.日本製空洞用のモジュールAは,チューナー取り付け作業を行なった.
・ マルチビームクライストロン(MBK)が納入された(図1).また,MBK用パルストランス本体の組立てが完了した(図2).
・ 空洞製造設備:PS エネルギーセンター内にクリーンルームが完成.プレス機,縦型旋盤が納入された.
・ LL空洞:Ichiro空洞のJ-Labにおける縦測定結果は22MV/mであった.横型緩衝化学研磨(BCP)装置が完成した.

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(図1)納入されたMBK

1 図2 組み立てられたパルストランス
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図3 ATFのFast Kicker 試験結果

ATF/ATF2:
・Fast kickerによるマルチバンチ取出し試験を行ない,27バンチまで問題なく取り出せることを確認した(一部既報,図3参照).

1その他
・International Linear Collider Workshop 2010 (LCWS10 andILC10)&が, 2010.3.26-30に北京で開催された.KEKか らの参加者は19名.B.Barishの基調講演 では,Cost containmentが強調された.
・第5回リニアコライダー加速器レビュー 委員会のレポートが公開された. http://kds.kek.jp/conferenceDisplay.py?confId=4094


ballリニアコライダー計画推進室 (2010年 2月分)
STF: ベースライン(BL)空洞の縦測定:S1-Global用の縦測定は12 月に終了したが,クライオモジュールに組み入れない空洞(8号機)の4回目の測定を2/18に行なった.最大加速電界強度は,37.8 MV/mであり,これまでの9連空洞の中で最大であった
S1-Global用クラオモジュールの組立て:クライオモジュールC用コールドマスをINFN製真空容器に挿入した.これでモジュールCは,常温カプラーの組込みを残しほぼ完成した
空洞製造設備:PS エネルギーセンター内にクリーンルームを建築中

ATF/ATF2:
・ 2/27-3/7は運転休止.ワイヤースキャナー張替え等を行なった.
・ 3/8-3/12運転.Fast kickerによるマルチバンチ取出し試験を行ない,不均一ながらも30バンチの取出しを確認した.
第5回リニアコライダー加速器レビュー委員会が,2010.2.12に開催されました。


ballリニアコライダー計画推進室 ('10 1月分)
STF: S1-Global 用空洞(DESY 製2 台とFNAL 製2 台)の組み立てのためFNAL,DESY から技術者が
来所し,作業は予定通り無事終了した。現在,INFN,FNAL の職員が来所して, チューナー,磁気シールドの取り付け 作業を行なっている。


 
クリーンルーム内での組立作業 組み上がった4連空洞
ATF/ATF2: ダンピングリングのレーザーワイヤーモニターの調整,ATF2 のoptics 試験,Fast Kicker の試験などを実施した


ballリニアコライダー計画推進室 ('09 12月分)
STF: イタリアINFN 製のクライオスタットがSTF 棟に到着


S1-Global用のINFN製クライオスタット; 真空容器 コールドマス
ATF: 9th ATF project meeting が2009.12.14-17 にKEK で開催され,ATF/ATF2 の現状,将来計画について議論された.

ballリニアコライダー計画推進室 ('09 11月分)

ATF:
高速キッカーによるATF DR からATF2 ビームラインへのビーム引出しに成功した (図 参照).

関連記事 ~ ATFで開発が進む先端加速器技術 ~

  図 ATF高速キッカーのパルス波形.

ballリニアコライダー計画推進室 ('09 10月分)

STF:
ベースライン空洞の縦測定は,9 号機1 回目が25.0 MV/m,7 号機2 回目が33.6 MV/m,8 号機2 回目が27.0 MV/m と好調な結果が続いている(図1,2 参照).

図1 ベースライン空洞7 号機の縦測定結果.
赤:1 回目,青:2 回目.
図2
ベースライン空洞全数の縦測定結果.

ATF/ATF2:
高速キッカーによるATF DR からATF2 ビームラインへのシングルバンチビームの引き出しに成功した.


ballリニアコライダー計画推進室 ('09 9月分)
STF
: ベースライン空洞6 号機の2 回目縦測定の結果は,29.1 MV/m であった (図1 参照).9 号機の 27.0 MV/m に続き30 MV/m に近い値が出たわけだが,EP 後の超純水洗浄を入念に行なったこ となどがきいているものと思われる.これまでに製作した空洞の縦測定結果の全体的傾向と しては,シミ問題の発生した7, 8 号機を除き,ゆるやかに上昇している (図2 参照).


会議等
・ SRF Workshop が9/21-25,Berlin で開催された.11 名が出席し,発表および講義を行なった.
・ GDE meeting が9/29-10/3,Albuquerque で開催され,20 名が出席し,発表,議論を行なった.




ballリニアコライダー計画推進室 ('09 7月分)
TTC(Tesla Technology Collaboration) Meeting が6/15-19,Orsay,LAL で開かれ,空洞性能,製造技術について議論.今回から陽子・イオンリニアック用空洞のセッションが設けられた.





関連WEB:国際リニアコライダー計画/ILC NewsLine トピックス(日本語版)

 

 

 
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