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ハイパーカミオカンデのインタビュー動画公開
2021年5月27日
ハイパーカミオカンデの新しいインタビュー動画が公開されました。ぜひご覧下さい。
ハイパーカミオカンデ計画とは、前身のスーパーカミオカンデ検出器を高性能化した装置を用いてニュートリノ(注1)を観測し、その性質を探る国際共同での実験計画です。実験の舞台はハイパーカミオカンデ検出器の建設予定地である岐阜県飛騨市神岡町と、茨城県東海村の大強度陽子加速器施設(J-PARC)です。
ハイパーカミオカンデ計画では、J-PARCでニュートリノを大量に生成し、295km離れた神岡のハイパーカミオカンデ検出器で検出します。検出器の大きさはスーパーカミオカンデ検出器の約10倍で、スーパーカミオカンデ検出器の100年分のデータを約10年で取得可能です。
この巨大な検出器を用いて、ニュートリノのCP対称性の破れ(物質・反物質の性質の違い)の発見を目指しています。誕生直後の宇宙には物質と、電荷の正負以外の性質は全く同じ反物質が同量存在していました。ところが現在の宇宙にはなぜか反物質が存在しません。「反物質がなぜ消滅したのか」という素粒子物理学最大の謎を解明する鍵となるのがCP対称性の破れです。ニュートリノのCP対称性が大きく破れていれば現在の宇宙にある物質の量を十分説明可能で、反物質が消滅した謎を解明できると近年注目されています。ハイパーカミオカンデ計画では他にも、3種類あるニュートリノ質量の大きさの順番の決定や、宇宙から降り注ぐニュートリノを観測して宇宙で星や重元素が誕生する過程の解明、陽子崩壊の発見を目指しています。
用語解説
注1. ニュートリノ
物質を構成する素粒子の1つで、レプトンと呼ばれる電子の仲間ですが電荷を持っていません。物質を通り抜けやすい性質があるため、地中を295km移動して検出器の壁を通っても、さらには宇宙から降り注いできても消滅しません。ニュートリノには観測できる状態で電子型、ミュー型、タウ型の3種類存在すると分かっています。質量によっても3種類(m1,m2,m3)に分けることができますが、それぞれの質量の値や大小の違いはまだ分かっていません。T2K実験やハイパーカミオカンデ計画では、J-PARCでミュー型のニュートリノを生成して、スーパー/ハイパーカミオカンデ検出器でミュー型と電子型のニュートリノを検出します。タウ型のニュートリノを検出するには高いエネルギーのニュートリノが必要なので、本実験の条件では検出されません。ミュー型からタウ型に変化するニュートリノ振動は、もともとあったミュー型のニュートリノの数の減少から測定できます。