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スペシャルナイト 「巨大加速器LHCで探る宇宙-Phantom of the Universe」を開催 大阪市立科学館で

大阪市にある大阪市立科学館で、2019年11月24日にスペシャルナイト 「巨大加速器LHCで探る宇宙-Phantom of the Universe」が開催され、147名が来場しました。本イベントは大阪市立科学館、高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所主催で行われました。

 

本イベントは、大阪市立科学館の江越航学芸員による講演「日本初の加速器」から始まりました。江越学芸員は、大阪大学に国内最初の加速器であるコッククロフト型加速器が建設され、その建設跡地に大阪市立科学館が建てられたことなどを紹介しながら、日本の加速器の歴史について説明しました。

続いて、スイスのジュネーブ近郊にある欧州合同原子核研究機関(CERN)が作成した大型映像「Phantom of the Universe」がプラネタリウムで上映されました。「Phantom of the Universe」では、CERNにある世界最大の粒子加速器LHCなど、世界最先端の様々な装置を用いて正体不明の物質「暗黒物質」の正体を探る実験などが紹介されています。「Phantom of the Universe」は、これまで多摩六都科学館やつくばエキスポセンターといった全国の科学館で上映され、好評を博しています。

イベント後半では、LHCに設置されているATLAS測定器を用いたATLAS実験に携わっている2名の研究者による講演が行われました。

大阪大学の南條創准教授は「宇宙を満たす謎の暗黒物質」というタイトルで、観測できないにもかかわらず宇宙に暗黒物質が存在することがなぜわかったのか、その証明に関連する様々な研究を解説しました。現在、様々な方法で暗黒物質の正体の解明を目指していますが、光らない巨大重力源(たとえばブラックホール)だけでは暗黒物質を説明できないことや、超対称性粒子という未知の重い粒子が暗黒物質の有力候補であることを説明しました。

続いて、KEK素粒子原子核研究所の花垣和則教授(ATLAS日本共同代表)が「LHCで暗黒物質を作れるか」というタイトルで講演し、巨大な加速器で暗黒物質を作り観測することを目指すATLAS実験の紹介をしました。花垣教授は、加速器で非常に重い暗黒物質を作るにはLHCのような巨大な加速器が必要であること、生成された暗黒物質を観測するには生成された粒子を全て観測する必要があることを説明し、そのために加速器や検出器がどのような原理で動作するのかを解説しました。

講演の後には30分ほど質疑応答の時間がありました。重力とヒッグス粒子との関係や超対称性と超弦理論との関係、陽子と陽子をどのように衝突させるのか等々、全ての質問に回答する時間が無いほど非常に多くの質問があり、イベント終了後も講演者に質問する行列ができました。他にも講演者にサインや写真撮影、握手を求める参加者が続出し、本イベントは大盛況のうちに幕を閉じました。

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