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第6回「KEKスチューデント・デイ」開催 素核研から2名がKEKスチューデントデイ機構長賞を受賞
2019年11月20日
2019年11月12日にKEKつくばキャンパスにて第6回「KEKスチューデント・デイ」が開催されました。このイベントは、KEKで学ぶ総合研究大学院大学(総研大)の学生、連携大学院生、特別共同利用研究員などが集まり、研究成果発表と共に交流を深めることを目的として毎年開催されています。今年は学生と教職員等が合わせて約120人参加しました。その内、約70名の学生が自身の研究をポスターセッションで発表し、KEKで研究している様々な分野の学生同士や教職員と活発に議論していました。
ポスターセッション後には、参加者投票により優秀なポスター発表者3名が選ばれ、KEKスチューデント・デイ機構長賞が授与されます。今年の受賞者の内2名は素核研からで、KEK 素核研 理論センターの福地 晋さん(総研大 素粒子原子核専攻 5年一貫制博士課程4年(注))と、素核研ミューオングループの安田 浩昌さん(東京大学大学院 理学系研究科 物理学専攻 学際理学講座 博士課程2年)が受賞しました。
福地さんは、点だと考えられている素粒子が一次元的なひも(弦)であるとする超弦理論の研究をしており、今回は「Elliptic genus of three and five E-strings(日本語訳:3本および5本のEストリングの楕円種数)」というタイトルで、通常のひもには存在するはずの張力を持たない、Eストリングという不思議な弦が現れる理論の研究を発表しました。一方、安田さんは「Spin Dynamics Study For J-PARC Muon g-2/EDM Experiment(日本語訳:J-PARC ミューオンg-2/EDM実験におけるスピンダイナミクスの研究)」というタイトルで、線形加速器中でミューオンのような重い粒子のスピンの動き方がどのように振る舞われているか世界で初めてシミュレーションした結果を発表しました。
受賞に際し、福地さんは「このような賞をいただけるのは初めてなのでとても嬉しいです。励みになります。」、安田さんは「J-PARC ミューオンg-2/EDM実験は現在、実験装置の設計を考える段階で、実験での物理成果を示すのはこれからですが、この段階でも新しい発見があった事は非常に驚きました。その発見を評価された事は嬉しいです。」と双方喜びの声を聞かせてくれました。今後の目標を尋ねると「海外で活躍できる研究者になりたいです。(福地さん)」、「現在取り組んでいる研究をやりきり論文化することを、今一番目指しています。(安田さん)」とやる気に満ちた顔で答えてくれました。
KEKスチューデント・デイではポスターセッションの他に、4人の学生による自国紹介・海外インターンシップ経験発表も行われ、発表者は自国で行われている物理研究や海外インターンシップ先での研究開発の様子、その国の文化や食生活などを紹介しました。
(注) 総研大は5年一貫制博士課程制度を採用しているため、総研大での博士課程3年は通常の大学院における博士課程1年となります。