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2019年七夕講演会「最新の電波観測で宇宙のナゾをとく!」をつくばエキスポセンターで開催
2019年7月11日
2019年7月7日に、つくばエキスポセンターで2019年七夕講演会「最新の電波観測で宇宙のナゾをとく!」が開催され、約60名が来場しました。会場は定員を超えて立ち見の参加者も多く、賑わいました。
本講演会はKEKと公益財団法人つくば科学万博記念財団(つくばエキスポセンター)の主催イベントで、全国同時七夕講演会2019に登録しています。全国同時七夕講演会とは、七夕の前後の期間に全国各地の科学館や研究機関などで天文・宇宙関連の講演会を行う、日本天文学会主催のイベントです。
KEKとつくば科学万博記念財団は2011年から共催で七夕講演会を実施しており、9回目となる今年はKEK理論センターの郡 和範 准教授(高エネルギー加速器研究機構・総合研究大学院大学)とKEK CMBグループの田邉 大樹さん(総合研究大学院大学 博士課程)が講師を務めました。
郡 准教授は「ブラックホールは見えるか?」というタイトルで講演しました。郡 准教授は七夕伝説のお話から始め、天の川と銀河系の関係や天文学研究で使用する光の波長の違いなど、天文学の基本情報を分かりやすく解説しました。その後、2019年4月に話題となった、イベント・ホライズン・テレスコープ(注)で撮影されたブラックホールの影に関する話題も踏まえながら、ブラックホール研究で現在分かっている基本的な性質や大きさ、現在も議論されている謎などを解説しました。最近特に注目の集まっているブラックホールの研究の話に、参加者は熱心に聞き入っていました。
田邉さんは「ビッグバンの前は見えるか?」というタイトルで、誕生の頃には超高温・超高密度の火の玉だった宇宙が膨張して広大な宇宙になったというビッグバン理論と、ビッグバンが起こる直前に起きたと考えられている極めて小さい宇宙の急膨張、インフレーションの理論を初めに解説しました。その後、インフレーション理論の証拠となる宇宙マイクロ波背景放射(CMB)という宇宙からの電波のうち、特定の渦模様(Bモード偏光)の史上初観測を目指してKEK CMBグループなどが中心となり進めている地上観測実験POLARBEAR-2プロジェクトも紹介しました。チリの動物リャマの毛で編んだマントに身を包んだ田邉さんが、電波望遠鏡POLARBEAR-2が設置されているチリのアタカマ砂漠の環境やそこでの研究生活などにも触れると、子供も大人も興味津々といった様子でした。
講演後にも両講師に質問する列が絶えず、研究者になるためにはどうすればいいのか尋ねる子供の参加者や、講師と話し込む大人の参加者がしばらく見られました。
用語解説
(注)イベント・ホライズン・テレスコープ
世界中の8つの電波望遠鏡を用いた国立天文台などの国際協力プロジェクト
Event Horizon Telescope Japan 公式ページ
Event Horizon Telescope 公式ページ(英語)