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KEK一般公開に3860人、BelleⅡだけで2059人と最多に

KEKつくばキャンパスの一般公開が2017年9月3日に開催され、県内外から約3860人が参加しました。一般公開は、KEKの研究活動に理解を深めてもらうことを目的に、毎年夏に開かれています。今年は晴天に恵まれ、昨年を上回る参加者を集めることができました。大変ありがとうございます。

今年の一般公開も、普段では見られないKEKの加速器群や大型測定器の見学、研究者の講演・サイエンスカフェ、科学の工作教室など子供から大人まで楽しめる多種多様なイベントが企画されました。素粒子原子核研究所でも、各グループが取り組みを知ってもらうためのイベントをそれぞれ開催しました。

Belle研究グループは、原隆宣・素核研准教授が研究本館・小林ホールで、「宇宙の始まりに何が起こったか〜失われた反物質の謎に迫る〜」と題して講演。原准教授は「加速器で人工的に小さいビックバンを起こし、物質と反物質の振る舞いの違いを調べているが、まだわからないことが多い。より多くの事象を調べ、量子力学的効果による新物理の影響を見るのが、日本のBelleⅡ実験」と説明しました。ホールを埋めた出席者からは「新しい物理の理論はもうあるのか」「宇宙ができる前から物理法則は存在したのか」「物質と反物質はどのように区別しているのか」などの質問が出ていました。

BelleⅡ測定器のある筑波実験棟では、多くの人々が地下1階の通路に集まり、研究者の説明に耳を傾けながら写真を撮影していました。現場の集計によりますと、筑波実験棟を訪れた見学者は2059人と、これまでで最も多く、いよいよ来年2月からBelleⅡ実験が始まることを受け、高い関心が寄せられたと考えられます。

CMB(宇宙マイクロ波背景放射)研究グループの長谷川雅也・素核研助教は、1号館で開かれたサイエンスカフェに登壇。「ビックバンの前にも宇宙はあった。それをどのように探すかについてお話したい」と語りかけました。先端計測実験棟では、カナリア諸島に設置予定のCMB偏光観測設備「GroundBIRD」の展示や、電波や超電導の実験などが行われていました。

先端加速器試験棟では、加速研究施設の国際リニアコライダー(ILC)グループが、電子、陽電子のビームラインをナノサイズまで絞り込む研究を行うATF2ナノビームラインを公開。研究本館でも、素核研のILCグループが、体験型ゲーム「新粒子を探せ」を企画し、子供たちを楽しませていました。

理論グループも研究本館で、各種展示や物理ファン向けのクイズラリーや量子色力学カードゲームを開催。東海村のJ-PARCを舞台に行うニュートリノ実験「T2K」グループも企画展示を行いました。また、3号館では、ATLAS実験、短寿命核による科学研究の両グループがパネル展示を行いました。

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