4月の活動報告 : 短寿命核グループ
2018年4月12日
KEKが理化学研究所(埼玉県和光市)内に設置した和光原子核科学センター(センター長、宮武宇也教授)を拠点とする短寿命核グループがこのほど、2018年4月の活動報告を行いました。
KEKの元素選択型質量分離装置(KISS)の共同利用では、136Xe(キセノン136)ビームを198Pt(プラチナ198)の標的に衝突させた実験が2017年9月15-18日に行われ、198Os(オスミウム198)がβ崩壊する寿命の測定に初めて成功し、195,197Os (オスミウム195と197)が長寿命の準安定状態を持つことを突き止めたことが報告されています。
また、新開発の多重反射型飛行時間測定式質量分光器(MRTOF-MS)を駆使し、2017年にスタートした日本学術振興会(JSPS)の科研費・特別推進研究「革新的質量分光器を用いた重元素の起源の研究」(和田道治教授)の進捗に言及。目標とする1000個におよぶ原子核質量の精密測定の手始めに、80核種におよぶ質量の精密測定を実施し、このうちメンデレビウム同位体など6個の超ウラン元素の質量を直接測定した成果が国際物理学誌「Physical Review Letters」に掲載され、日本の報道機関向けにプリスリリースしたことに触れています。
また、KISSで行われているレーザー共鳴イオン化による超微細構造測定の分光分解能を二桁程度よく出来るIn-gas-jetレーザー共鳴イオン化装置や、KISS専用の小型MRTOF装置の開発現況などについても報告しています。
詳しくはこちらをどうぞ。