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第15回 総研大・KEK 夏期実習

素粒子原子核・物質構造科学・加速器科学 実習生募集

2004年6月14日(月)〜6月16日(水)

主催 大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
国立大学法人 総合研究大学院大学

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高エネルギー加速器研究機構では、高エネルギー加速器を用いて、物質の究極的構造、素粒子の相互作用など自然の法則の探究、及び加速器によって作られる「放射光」「パルス中性子」そして「ミュオン」を用いて、物理、化学、生物、医学などの先端科学技術の研究を行っています。また、本研究機構は、総合研究大学院大学の教育の場として、これまで、加速器科学専攻、物質構造科学専攻及び素粒子原子核専攻を設けユニークな活動を行っており、総数101人の博士を送り出しました。なお、本年4月からは、この3専攻で構成する「高エネルギー加速器科学研究科」として新たな一歩を踏み出しました。この現場で加速器の実際に触れ、また素粒子原子核、物質構造科学の実験及び加速器科学の実験を自らの手で行うことによって、高エネルギー加速器が拓く新分野を体験し、理解し、楽しんでいただく3日間の実習を企画いたしました。


開催場所   高エネルギー加速器研究機構
 
開催日時   6月14日(月)9:00(受付開始)〜6月16日(水)16:00頃
  (※のテーマは、12:30受付開始)
 
内  容   高エネルギー加速器研究機構及び総合研究大学院大学紹介
    放射線安全講習
 
講義1 「素粒子物理学の現状と展望」
講義2 「μSR法による磁性・超伝導研究の最前線」
講義3 「リニアコライダー加速器開発の現状と展望」
        (講義は、上記3題のうちから、1題を選択して受講)
   

 
実習 「素粒子原子核実習」
「物質構造科学実習」
「加速器科学実習」
        (実習は、下記22テーマのうちから、1テーマを選択して受講)
  施設見学(希望者のみ)
 
    素粒子原子核実習テーマ
    A-1 素粒子論入門 - 標準模型から究極の理論へ -
  A-2 BELLE実験:モンテカルロシミュレーションを用いたCP非保存実験の体験
    A-3 ファイバー検出器の EL calibration 実習と宇宙線データ取得解析
  A-4 GLC実験:ヒッグスボゾンや超対称性粒子を見つけてみませんか
      A-5 荷電粒子の飛跡検出実験
      A-6 ワイヤーチェンバーを作って宇宙線を捕まえる
      A-7 高エネルギー陽子ビームのエミッタンス測定
   
  物質構造科学実習テーマ
      B-1 DNA中のリン原子軟X線吸収による鎖切断の検出
      B-2 蛋白質X線結晶構造解析  
      B-3 光電子分光で探る物質のバンド構造
B-4 電子蓄積リングにおける光学的ビーム計測
      B-5 蛍光X線スペクトル測定
      B-6 円偏光を利用した軟X内殻磁気円二色性
      B-7 粉末回折を極める その2
      B-8 パルスX線を使ったX線回折実験
      B-9 ダイヤモンド・アンビル・セルによる超高圧下回折実験
      B-10 μSR(ミュオンスピン回転)法による物性研究
B-11 中性子非弾性散乱による水素のハーモニックポテンシャルの直接観測
B-12 熱外中性子を用いた磁気構造
   
  加速器科学実習テーマ
C-1 フォトカソードRF電子銃による電子ビーム生成とマイクロ波加速空胴の実習
C-2 PC-Farmによる計算の高速化実習(注意:受講者は、Fortran言語でプログラムが作成できること。)
    C-3 磁場計算と磁場測定の基礎
      C-4 希ガスシンチレーションとその放射線位置検出器への応用
         
    ※印のテーマは、放射線業務に従事しないテーマです。
    ※印のないテーマは、放射線業務に従事するテーマです。
応募資格   大学院生及び学部高学年の学生、または民間企業等の若手研究者
 
募集人員   約100名(応募者多数の場合は選考による)
   
参 加 費   無料 (懇親会費 1,000円 但し参加希望者のみ)
(交通費・宿泊費は、自己負担となります。) 
   
申込方法  
本ホームページの申込み画面から申し込めます。(受付終了しました。)又は、e-mail、葉書または FAX(1人1葉)でお申し込みください。
申し込みに際しては
     1) 氏名(フリガナ)、性別、生年月日
     2) 所属(大学名、研究科・専攻・学年、学部・学科・学年、勤務先等)
     3) 連絡先(住所、電話番号、電子メールアドレス等)
     4) 希望講義番号
     5) 希望実習テーマ番号(第2希望まで)
 6) フィルムバッジの有無(フィルムバッジのない方は、実習テーマにより、健康診断書等を提出していただきます。下記「注意」参照)
   7) 宿泊施設の利用希望日(1泊510円〜740円:ツイン部屋となります)6月13日、6月14日、6月15日、6月16日
     8) 応募の動機
  を記入してください。
 
申込締切   平成16年5月7日(金)必着

 

申 込 先   〒305−0801 茨城県つくば市大穂1−1
    高エネルギー加速器研究機構 大学院教育係 e-mail: skarube@mail.kek.jp
                        FAX: 029-864-4602
注意:受講決定後にあらためてお知らせしますが、放射線業務に従事するテーマに参加する場合は、諸手続が必要となりますので、あらかじめ御承知おきください。

 

問合せ先
 
事務手続: 大学院教育係 (軽部) TEL:029-864-5128
             e-mail: skarube@mail.kek.jp
  実習内容: 素粒子原子核実習 (宇野) TEL:029-864-5333
             e-mail: shoji.uno@kek.jp
物質構造科学実習 (足立) TEL:029-879-6022
             e-mail: shinichi.adachi@kek.jp 
加速器科学実習 (早野)  TEL:029-879-6117
             e-mail: hitoshi.hayano@kek.jp
       

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講義1 素粒子物理学の現状と展望
 素粒子の標準模型をめぐる研究の現状について解説し、さらにその先を目指す研究の動向について説明する。またKEKで行われている主要な実験の目的や成果についても解説する。
 

 
講義2 μSR法による磁性・超伝導研究の最前線
 μSR(ミュオンスピン回転)法は物性研究の手段としては比較的新しいが、今や中性子散乱や核磁気共鳴と並んで磁性・超伝導など物質の電子状態を微視的に研究するための不可欠な手段となってきている。本講義ではμSR法の原理を分りやすく解説するとともに、その適用例として磁性・超伝導研究に関連した最近の研究成果をいくつか紹介する。
 

 
講義3 リニアコライダー加速器開発の現状と展望
 リニアコライダーは全長30km以上のエネルギーフロンティア素粒子物理学実験用電子・陽電子衝突型線形加速器であり、2009年度から国際協力により建設するための色々な活動が活発に行われている。超高品質電子ビーム源・陽電子ビーム生成法・大電力高周波源・高電界高周波線形加速技術・ナノメータービーム収束衝突技術及び高精度ビーム診断に関する研究は16年ほど前から開始され、加速器科学史上注目すべき新しい成果が得られてきた。その現状を紹介し、リニアコライダー巨大実験装置の運転上解決しなければならない問題点について検討を試みる。最後にエネルギーフロンティアの電子・陽電子衝突実験が開始されることで得られる物理学上の成果について、私が期待し得る内容を報告したい。
 

実習テーマ別内容説明  

 

[素粒子原子核実習テーマ]


 
A-1 素粒子論入門 - 標準模型から究極の理論へ -
 第一線で活躍しているKEKの研究者3人が、素粒子理論の現状を一般向けにわかりやすく解説する。素粒子の標準模型は、ほとんどすべての高エネルギー実験の結果を矛盾なく説明できる理論だが、「究極の理論」と呼ぶには多くの問題点を含んでいる。第一章では素粒子の標準模型について解説し、標準模型を越える物理を探索するいくつかの試みを紹介する。第二章では「究極の理論」として1980年代から精力的に研究されてきた超弦理論の最近の発展を紹介する。特に行列を用いた定式化により、我々の時空が何故4次元なのか、といった深遠な問題に迫る。超弦理論は重力も含めたすべての力を統一的に記述する理論であるが、量子重力のすべての問題が解決されたわけではない。第三章では量子重力にどのような未解決問題があり、超弦理論がそれらの問題にどこまで迫っているのかを解説する。
 

 
A-2 BELLE実験:モンテカルロシミュレーションを用いたCP非保存実験の体験
 我々は4年前の夏以来B-ファクトリー実験を行ない、CP非保存現象の解明に取り組んでいる。この実験ではB-ファクトリーと呼ばれる加速器を用いて、大量の電子と陽電子を正面衝突させることにより、B中間子と呼ばれる重い素粒子とその反素粒子である反B中間子の対を大量に作る。次にこれらのB中間子と反B中間子が、ある特定の素粒子群に崩壊する反応を選びだし、崩壊までに経過した時間分布を測る。そしてその時間分布が、B中間子と反B中間子の間に違いがあるかどうかを調べる。このようにして、物理法則が粒子と反粒子に対して対称(CPが保存)であるか、非対称(CPが非保存)であるかどうかを決定することができる。
 この実習では、モンテカルロシミュレーション技法を用いて、このような事象を作成して、実際の実験データの解析に使われるプログラムを用いてデータ解析をおこない、いかにしてCP非保存実験が行なわれるか体験する。
 

 
A-3 ファイバー検出器 EL calibration 実習と宇宙線データ取得解析
 現在進行中のニュートリノ振動実験の現場を見学しつつ、検出器の原理を説明する。典型的なファイバー検出器を用いて微小光の同定と宇宙線観測を実習する。
 

 
A-4 GLC実験:ヒッグスボゾンや超対称性粒子を見つけてみませんか
 リニアコライダーでのこれら粒子の検出方法について、測定器性能、バックグランドなど実際の実験状況を再現し検討する。また、測定器の開発研究の状況を見学する。
 

 
A-5 荷電粒子の飛跡検出実験
 電気量を帯びた素粒子を荷電粒子と総称しているが、これは空中のいたるところを無数に飛び交っている。空中の荷電粒子は(1)地球外から来る宇宙線が地上に届いた時に観測されるミュー粒子や電子で比較的運動エネルギーが高いものと、(2)地上に存在する原子核が崩壊した際に放出されるアルファー線、ベータ線のように運動エネルギーが低いものに大別される。いくつかの種類の原子核において、ベータ線を2本同時に放出(二重ベータ崩壊)するものには、ニュートリノ質量の絶対値と関係する崩壊モードの存在が理論的に期待されている。しかし、実験的には未発見である。この崩壊モードの発見を目的としてDCBA(Drift Chamber Beta-ray Analyzer)と呼ばれる二重ベータ崩壊電子飛跡検出器の開発がKEKで進んでいる。実習では荷電粒子の飛跡検出原理を学び理解した上で、DCBAテスト機を使って、空中を飛び交う荷電粒子の飛跡を観測し、上記(1)と(2)の区別を行う 
 

 
A-6 ワイヤーチェンバーを作って宇宙線を捕まえる  
 この研究所では、物質の根源である素粒子(クォークやレプトン)を研究しています。 どんなによい電子顕微鏡を使って拡大しても、素粒子は見えません。では一体、私たち研究者はどうやってそれらの素粒子を研究しているのでしょうか? 素粒子を「見る」道具の一つであるワイヤーチェンバーの発明で、G. シャルパック博士(仏)は ノーベル物理学賞を1992年に受賞しています。このワイヤーチェンバーの構造は、実は驚くほど簡単で、ハンダ付けさえできれば、 あなたでも製作できます。 この実習ではワイヤーチェンバーを部品から作ってもらい、2時間くらいで製作に成功すれば、空から降ってくる宇宙線の飛跡をあなたの作ったワイヤーチェンバーで見る事が出来ます。実習ではまた、ワイヤーチェンバーの原理を懇切丁寧に説明します。
 

 
A-7 高エネルギー陽子ビームのエミッタンス測定
 加速器やビーム輸送システム等における荷電粒子ビームの制御は、イオン光学理論に基づいている。この理論では、しばしば、ビームを類似的に非圧縮性流体とみなしてビームの運動を記述することがある。エミッタンスは、ビーム流体の位相空間における体積に相当し、ビームの運動を決定し制御するための最も重要な量である。本実習では、本機構の陽子ビーム輸送システムを用いて、エミッタンスを測定し、ビームの運動を記述するパラメータを決定する。実際に、研究の第一線で活躍している高エネルギー陽子ビームを制御し、ビームの動きを生で体験してもらう。
 

 

 

[物質構造科学実習テーマ]

  B-1 DNA中のリン原子軟X線吸収による鎖切断の検出
 放射光から得られる単色軟X線を照射すると、生体構成分子を構成している特定元素の内殻に選択的にX線を吸収させることが出来る。これを利用してDNA分子内のリン原子にX線吸収を起こさせ、それによって生成した一本鎖切断と二本鎖切断を電気泳動法によって定量分析する。
 
  B-2 蛋白質X線結晶構造解析
最先端の放射光実験装置を利用し、リゾチームという蛋白質の立体構造を決定する。
(注意:実験課題をもっている研究室からの参加は認められない。ただし、当グループへの進学希望の場合は参加しても構わない。)
 

 
B-3 光電子分光で探る物質のバンド構造
 角度分解光電子分光は物質のバンド構造を実験的に決定することが出来る手法である。実習では実際に角度分解光電子分光を用いて物質のバンド構造を決定し実験結果をバンド計算の結果と比較し考察する。
 

 
B-4 電子蓄積リングにおける光学的ビーム計測
 電子蓄積リングにおいては、リングの中を運動するビームの空間的、時間的なダイナミクスを理解することが非常に重要な課題である。このためにリングにはビームダイナミクスを研究するための色々な計測装置が設置されている。この中に電子蓄積リングにおいて発生する放射光を用いて光学的な手段でビーム計測を行うシステムがある。この光学的ビーム計測システムは、ビームの大きさ、長さのような基本的なパラメータを測定するものをはじめとして、リングの中を周回するビーム位置のダイナミカルな運動の様子や、電子の集団的な運動の様子の観測など多岐にわたる計測システムから構成されている。実習では光学的ビーム計測システムの中から、放射光干渉計の実験を主に取り上げる。放射光干渉計を組み立ててもらい、ビームの一番基本的なパラメータである横方向のエミッタンスを評価する実験を行ってもらう。また合わせて、ビームのダイナミカルな運動の計測も体験する。
 

 
B-5 蛍光X線スペクトル測定
 蛍光X線は元素固有の波長を持っていると教科書には書かれていますが、スペクトルを詳しく調べると実はそう単純ではないことが判ります。この課題では、固体試料から発生する蛍光X線を分光し、物性(特に磁性)との関係を調べます。
 

 
B-6 円偏光を利用した軟X内殻磁気円二色性
 リング内電子軌道面の上下方向からの軟X線域(楕)円偏光を利用して、ナノスケール磁性体(磁性人工格子・超薄膜)の内殻吸収磁気円二色性(XMCD)の測定を実習する。実験と並行して、XMCDの特徴・長所、原理、測定法、および原子磁気モーメント導出の解析法を学ぶ。原理と解析法に関しては、量子力学におけるFermiの(第二)黄金則、Clebsch-Gordan係数、およびGaunt係数の意味と使い方が解りやすく説明される。
 

 
B-7 粉末回折を極める(その2)
 放射光X線粉末回折を用いた測定を行い,Rietveld解析とMEMの解析を行い、結晶の電子情報がどのように見えるのかを体験してもらう
 

 
B-8 パルスX線を使ったX線回折実験
 放射光は連続光ではなく、パルス光です。パルス繰り返しがMHzオーダーなので通常は連続光のように扱うことが多いのですが、パルスをうまく間引いてやれば、100ピコ秒程度の時間幅を持つパルスX線として利用することができます。実習では、100ピコ秒幅のパルスX線を取り出して、レーザーと同期した単結晶のX線回折実験を行います。
 

 
B-9 ダイヤモンド・アンビル・セルによる超高圧下回折実験
 物質に圧力をかけていくとどんどん体積が小さくなって行く。これは物質を構成している原子、分子が近づいていくことを意味しているが、ある程度まで小さくなると普通に考えられているような状態とは全く違った状態に変化し、性質自体も大きく変わる。その変化の様子は、地球中心と同じ圧力さえも発生可能なダイアモンドで作られた超高圧発生装置によって、放射光と肉眼で観測することが出きる。
 

 
B-10 μSR(ミュオンスピン回転)法による物性研究
 μSRとはスピン偏極した素粒子であるミュオンを物質に注入し、その偏極が回転したり失われたりする過程を観測する事により、対称物質の内部磁場の様子を原子レベルで明らかにする手法です。この実習ではバルク測定では分からない銅酸化物の反強磁性状態や、第2種超伝導体の磁束格子形成に伴うミクロな磁場分布をμSRで測定します。ミュオンビームが利用できるのは国内ではこのKEKだけですので、この機会をお見逃しなく!
 

 
B-11 中性子非弾性散乱による水素のハーモニックポテンシャルの直接観測
 水素のハーモニックポテンシャルは大学院入試にもしばしば出題されるものです.本テーマは,数式を理解するのとは異なり,量子力学を体験する数少ない機会であり,実習生にとっても重要だと思います。
 
B-12 熱外中性子を用いた磁気構造
 Gd、B、Cdなどの元素は中性子を非常に良く吸収し、遮蔽材として広く利用されている。一方で、これらの元素を含む化合物の物性や特性を研究することがしばしば重要となることがある。特に近年、希土類化合物はいわゆる4f電子系が特異な性質を示し、「近藤効果」、「超伝導」、「量子臨界点」、「重い電子」、「非フェルミ液体」など様々な新しい物理のキーワードとともに多くの研究がなされている。このような中性子高吸収元素においても高エネルギーの中性子(熱外中性子)に対する吸収散乱断面積は極端に小さくなることが知られている。EXCEDはこの熱外中性子を積極的に用いた回折計で、国内外を問わず非常に独創的な装置である。実習ではTOF法の基礎を紹介し、Gd化合物を例に熱中性子では捕らえることのできない散乱を観測することによってその磁気構造を決定することをテーマとして行う予定である。

 

 

[加速器科学実習テーマ]


 
C-1 フォトカソードRF電子銃による電子ビーム生成とマイクロ波加速空胴の実習
 リニアーコライダー加速器試験施設(ATF)を使用し、高品質の電子ビーム生成に使用されている最新のフォトカソードRF電子銃と引き続く14MV/mという高電界加速により得られる電子ビームの調整法および特性測定法について実習を行う。このビーム実習では実習者自らコンピューター制御画面を通じて直接加速器各部の調整を行い、それによるビーム特性の応答を実感しながら高品質ビームの生成を体験する。また、そのビームの特性も最新のビームモニター装置を駆使して測定し、自らの調整がうまくいったかどうかを体験する。その他にも、フォトカソードの生成実験を行い光子から電子への変換効率である量子効率の高いカソードを生成し、さらに高電界加速の基本であるマイクロ波空胴の特性測定実習を通じて電子を加速する原理を考察してもらう。加速器の予備知識の講義と加速器設備の見学も含まれる。
 

 
C-2 PC-Farmによる計算の高速化実習
 複数のPCをネットワークで接続したPC-Farm上で、デモ用プログラムを並列化し、その性能を測定する。 
  (注意:受講者は、Fortran言語でプログラムが作成できること)
 

 
C-3 磁場計算と磁場測定の基礎
 高エネルギー加速器では種々の電磁石(常伝導磁石、超伝導磁石)が使用されている。本実習では、これら磁石の基礎について学ぶ。特に、 磁場計算及び磁場測定の基本を習得することに重点をおく。磁場計算コードを用いた計算実習、ホール素子を用いた磁場測定実習を通して計算値と実測値の差についての理解を深め、正しい計算コードの使い方についても学ぶ。
 

 
C-4 希ガスシンチレーションとその放射線位置検出器への応用
 希ガスは高エネルギー粒子検出器をはじめとする放射線検出器において最も基本的な媒体の一つであり、放射線と物質の相互作用のうちで最も基礎的な電離と励起の2過程が同時に観測できる数少ない物質である。ここでは、この2つの過程が関与して起こる発光現象(シンチレーション)に焦点をあて、はじめに真空紫外分光器を使用した発光スペクトル測定等を通して発光メカニズムに関する知見を得るとともに、その応用としてドリフトチェンバー・光電子増倍管からなる放射線位置検出器を構築し、放射線検出器の物理を理解する。 

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