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  プレス・リリース 〜 03-05 〜 For immediate release:2003年11月13日  
 
大強度陽子加速器、初段加速に成功
 
 
2003年11月13日  
高エネルギー加速器研究機構  
日本原子力研究所  
 
高エネルギー加速器研究機構(KEK、機構長:戸塚洋二)と日本原子力研究所(原研、理事長:斎藤伸三)が、共同で茨城県東海村に建設を進めている大強度陽子加速器施設(J-PARC)建設プロジェクトチームの加速器グループは、11月6日、加速器初段部で、負水素イオンビーム30ミリアンペアを1970万電子ボルトまで加速することに成功した。これは、ドリフトチューブ型リニアック(DTL)第一空洞(全長9.9m)のビーム試験をKEKで行っていたものであり、エネルギー、電流値ともに当初の目標を達成し、J-PARC加速器施設の完成に向けて大きな第1歩を踏み出した。

J-PARCは物質・生命科学に革新的成果をもたらすと世界から期待されている中性子源である。米国でもほぼ同時にスタートしたSNS計画が進められており、J-PARCとともに世界の二大中性子源となる。J-PARCでは、さらに高エネルギーまで陽子を加速する加速器も備えており、ニュートリノ研究など素粒子原子核の分野でも、世界をリードしうるユニークな計画となっている。

今回試験したDTLでは、ドリフトチューブの中に小型で強力なビーム収束用電磁石を埋め込んである。狭い空間に大電流を流し、強力な収束磁場を作る必要があることから、電鋳法とワイヤーカッティング法を組み合わせた特殊な製法を開発したもので、これは現在他の追随を許さない技術である。

このDTLはKEKでのビーム試験を終了した後に、日本原子力研究所東海研究所に移設され、J-PARC施設の一部として使用される。

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【図1】
KEK内の陽子リニアック棟の地下トンネル内に設置されたDTL(右側の黄色の円筒)。ビームは左隅のRFQリニアックから入射される。DTL内には76個のセルが内蔵されている。
 
 
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【図2】   【図3】
DTL用324MHz大電力高周波システム。クライストロンは大型なので横置きになっている。高周波システムは地上にあり、大電力高周波は導波管で地下のDTLまで導かれる。   最初のビーム試験中に観測された電流モニター出力波形。 (a) はDTLに入射するビームの電流波形。横軸は時間。縦軸は電流値。 (b) はDTLからの出射ビーム波形。電流モニターの測定誤差範囲内で透過率は100%である。
 
【関連サイト】 大強度陽子加速器計画(J-PARC)
【用語解説はこちら】
 
[ 本件問い合わせ先 ]
  高エネルギー加速器研究機構
  加速器研究施設加速器第一研究系 研究主幹
    小 林    仁
    TEL:029-864-5681  FAX:029-864-3182
    KEKHP:http://www.kek.jp
  日本原子力研究所東海研究所
  大強度陽子加速器施設開発センター 研究主幹
    山 崎  良 成
    TEL:029-284-3717  FAX:029-284-3719
    原研HP:http://www.jaeri.go.jp
 
 
 
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proffice@kek.jp
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