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J-PARCハドロン実験施設K1.8BRビームライン完成
− 二次ビーム取り出し開始 −
   
J-PARCセンター 

  茨城県東海村に建設された大強度陽子加速器施設J-PARCの原子核・素粒子実験施設(ハドロン実験施設)の二次粒子ビームラインのK1.8BRライン(図1)において、2月11日、二次粒子ビームの発生及びその輸送に成功しました。
 
1月27日の50GeVシンクロトロン(MR)からの30GeV(300億電子ボルト)陽子ビームのハドロン実験施設への入射の成功を受けて、2月10日より、二次粒子生成標的および二次粒子ビームラインK1.8BRの運転を順次開始しました。運転は、J-PARC建設チームとともにこのビームラインで最初に実験を行うE17とE15の2つの実験グループ(実験責任者、早野龍五東京大学大学院教授(E17)、岩崎雅彦理化学研究所主任研究員(E15)、東京大、理研、KEK、東京工業大、京都大、大阪大の合同チーム)で行いました。ビームライン電磁石群の設定を1.1GeV/cに設定し、検出器の調整後、2月11日には、ビーム粒子の通過位置を測定するワイヤーチェンバー及び時間情報を測定するプラスチックカウンターでビームの到達を確認し、4日後の2月15日には、7.7m離れて置かれたプラスチックカウンター間の飛行時間の測定に成功し、ビーム中にπ中間子および二次陽子を確認しました(図2)。
 
2月16日からはK1.8BRラインに設置されている静電分離装置(ESS)にビーム環境下で初めて高電圧を印加しました。この装置は、ビーム中のK中間子の濃度を高める働きをします。
 
また、2月19日には、原子力安全技術センターによる、ハドロン実験施設の放射線に係わる運転時検査を受け、「特段の指摘事項なし」と認められました。
 
50GeVシンクロトロンは2月26日で平成20年度の運転を終了しました。
 
ハドロン実験施設では今秋の運転再開に向け、現在1.8BRビームラインの下流にあたるK1.8ビームライン、中性K中間子(KL)ビームラインの建設作業、K1.8BRビームラインでは、E17実験開始に向けた実験装置の設置作業を進めています。


 
 
関連サイト:  J-PARCのwebページ
http://j-parc.jp/
関連記事:  News@KEK記事:ハドロン実験施設、稼働 〜30GeVまでの陽子加速に成功〜
http://www.kek.jp/newskek/2009/janfeb/J-PARC50GeV.html
プレス記事:J-PARC最終段加速器での加速とハドロン施設入射に成功 09.01.28
/ja/news/press/2009/J-PARC50GeV2.html
 

 
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図1 :実験中のK1.8BRビームライン
 

 
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図2 : K1.8BRビームラインで得られたTOFスペクトル
 

 
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図3 : すでに秋に向けて測定器のバージョンアップが始まったK1.8BR
 

 
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図4 : 各地から集まった若手研究者達。ヘルメット姿も板についてきました。
 
 
 
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