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竹園東中学校の生徒10名、KEKで研究者を体験

2011年7月1日

6月24日(金)、つくば市立竹園東中学校の2年生10名が、職場体験のためKEKを訪れました。

午前中は放射光科学研究施設フォトンファクトリー(PF)で「加速器の真空」をテーマとして真空をつくるための作業を行いました。加速器の実験では、大気圧の1000億分の1という超高真空を扱っています。中学生は、真空テスト用の真空容器の口(フランジ)の取付け・取外しをトルクレンチと呼ばれる専用の工具を使って実施した後、ヘリウムガスを使って漏れている箇所が無いか確認する作業を体験しました。漏れが見つかった箇所については、再度フランジの締め直しを行うとともに、排気ポンプ起動後の真空容器内部の圧力変化を測定してデータをグラフにまとめました。

午後からは、超伝導リニアック試験施設棟(STF)で、超伝導空洞の内面を観察し、欠陥を探す実習を行いました。超伝導空洞はニオブと呼ばれる金属でできています。内面に突起やくぼみなどの欠陥や、不純物が付着していると超伝導状態が破られてしまうため実験を行う前に、欠陥の有無を確認する必要があります。STFでは、京都大学とKEKが合同で開発した特殊なカメラを使って空洞内面の検査を行っています。中学生らは、このカメラを使って空洞の中を丁寧に観察し、見つけた欠陥部分の画像を取得するという一連の作業を体験しました。

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空洞の中の欠陥をモニターで確認する中学生ら

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真空容器にフランジを取りつける作業の様子


盛りだくさんの内容の職場体験に、参加した中学生は少し疲れを見せていましたが「もっと簡単に作業できるものがあれば良さそう。そのようなしくみ考えたい」「とても地道な作業でびっくりした」と感想を述べていました。今回の職場体験を担当した山本将博助教は「圧力の測定も熱心で、特に指示しなくてもずっと記録を取り続けている生徒さんもいました」と語り、早野仁司教授は「コントローラーやコンピュータの使い方もすぐに習得してしまい、驚きました」と、中学生たちの熱心な様子に感心していました。

※ 職場体験とは
職場体験は、文部科学省の推進のもと行われている学習活動です。生徒が直接働く人と接することで、学ぶことや働くことの意義や生きることの尊さを実感し、生徒が主体的に進路を選択決定する態度や意志、意欲など培うことを目指しています。