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世界最長のリニアコライダー

電子や陽子などを加速する装置である加速器には色々なタイプがあります。今回は全長 30 km に達する直線型で世界最大・最長の加速器の話題です。この加速器はリニアコライダーと名づけられています。

全長30kmというと、東京と新横浜の距離くらいです。そんなに長い加速器がどこにあるか、まだ聞いたことがありませんね。残念ながら、まだどこにもありませんが、実は建造の構想が煮つまりつつあります。昨年11月の始め、この巨大なリニアコライダー建造を目指す研究者たちが、北京の清華大学に集まりました。

アジアには加速器研究者の組織ACFA(アクファ)があります。正式にはアジアン・コミッティー・フォー・フューチャー・アクセレレーター (Asian Committee for Future Accelerator)と呼ばれています。英語を訳すと、 「アジア地区における将来の加速器のあり方を検討する委員会」です。

ACFA は、素粒子研究をアジアで協力し合って大きく発展させることを目指し、リニアコライダー建設をめざした会議を、1998年から毎年開いてきました。第1回目は北京、そのあとソウル、台北と続き第4回はまた北京に戻ったのです。



開会を告げるコリア大学 J.S. Kang 教授
拡大写真(29KB)

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北京で燃えた科学者たち
北京の街は今ものすごい勢いで発展中です。空港ビルもすばらしくきれいに新築されていました。出席者の多くは、3年前の第1回会議に来た時の少し暗い空港ロビーを覚えていたので、その変貌に驚いていました。高速道路もどんどん良くなっています。

また会場である精華大学は、近くに北京大学や、ハイテク産業の集積が著しい中関村地区にあります。この地区は小売店もあり、シリコンバレーと秋葉原を合わせたような雰囲気があります。まさに最近の中国の著しい発展を象徴する場所で会議が行われました。

北京会議では、アジア地区を中心に、9ヶ国/地域から約130人が会議に参加し、どのようにリニアコライダーを作るか、それでどんな素粒子研究の発展が望めるか熱心に議論されました。休憩時間にも熱い議論が行われ、リニアコライダーに対する研究者の熱意がヒシヒシと伝わってくる会議でした。

リニアコライダーは、これからの素粒子研究をになう加速器です。その実現を目指し、これまでの会議は北京のようにアジアの研究者が集まりやすい場所で行われてきました。今年はいよいよ国際的に活躍する日本の科学者たちが主催し、7月ごろ東京で開かれる予定になっています。

この新しい加速器で科学者が何を調べようとしているのかは次週にお話しましょう。

 

リニアコライダー計画に燃えた北京会議(2)

新装となった北京空港にて
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会議で発表する研究者
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